2005年 No.13 火山の概況 (平成17年3月24日〜平成17年3月30日)
- 雌阿寒岳、十勝岳及び樽前山では、噴煙の状況に変化はなく、火口の高温状態が続いていたと推定される。
- 浅間山では火映が観測され、多量の火山ガスの放出が続いた。火山活動度レベル(以下レベルと記載)は3。
- 三宅島では噴煙活動が継続した。
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阿蘇山では熱的な活動のやや活発な状態が続いた。レベルは2。 - 口永良部島では地震活動のやや活発な状態が続いた。レベルは2。
図1 各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)
表1 最近1か月に記事を掲載した火山(上)及び各火山のレベル(下)
注1 記号の意味
▲:噴火した火山
●:活動が活発な状態にあるか、もしくは観測データ等に変化があった火山
◆:前期間まで▲や●で掲載し、その後の状況等を掲載した火山
◇:その他記事を掲載した火山
□:記事を掲載していないレベル対象火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
注2 記事は、▲、●及び◆(注1参照)に該当する火山及びレベル2以上の火山について掲載する。
その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。
注3 本文の火山名の後ろの[噴煙・噴気・地震・微動・空振・地殻変動・熱・火山ガス等]は、
変化があった観測データ項目を、数字は火山活動度レベルを示す。
● 雌阿寒岳 [熱]
ポンマチネシリ96-1火口の噴煙の状況に変化はなく、高温の状態が続いていたと推定される。
● 十勝岳 [噴煙・熱]
62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、高温の状態が続いていたと推定される。遠望カメラによる噴煙の高さは火口縁上おおむね200mで推移した。
● 樽前山 [熱]
A火口およびB噴気孔群の噴煙の状況に変化はなく、高温の状態が続いていたと推定される。
● 浅間山 [噴煙・火映・地震・微動・火山ガス] レベル:3 (山頂火口で小〜中噴火の可能性)
今期間、噴火は観測されなかった。
白色噴煙は山頂火口より連続して噴出しており、最高で火口縁上約400mまで上がった。また、微弱な火映が27〜30日の夜間に山麓の高感度カメラで観測され、30日夜には火口の北北東4km付近から肉眼でも観測された。
火山性地震は1日あたり56〜84回、火山性微動は0〜3回観測された。
29日に実施した二酸化硫黄放出量の観測では、放出量は1日あたり2,300〜4,700トンと引き続きやや多い状態であった(前回(3月10日)は3,300〜4,900トン)。
● 三宅島 [噴煙・火山ガス]
白色噴煙は山頂火口より連続して噴出しており、最高で火口縁上約200mまで上がった。今期間は二酸化硫黄放出量の観測は行わなかったが、三宅村の火山ガス濃度観測によると、山麓ではたびたび高濃度の二酸化硫黄が観測されており、火口からの多量の火山ガス放出が継続していると推定される。
火山性地震は1日あたり0〜3回と少ない状態であった。
● 阿蘇山 [熱・土砂噴出・微動・地震] レベル:2 (やや活発な火山活動)
29日に阿蘇山測候所が行った現地観測によると、中岳第一火口の状況は、湯だまりの色は灰色、量は約3割で、表面温度は68℃と前回(3月16日、77℃)より低下したもののやや高い状態であった。湯だまりの中央部付近で約10m、その他数箇所で2〜3mの高さの土砂噴出が観測された。
噴煙は白色で噴煙の高さの最高は火口縁上約200m(前期間は600m)であった。
孤立型微動の発生回数は670回で前期間(554回)より増加した。火山性微動の発生はなかった(前期間もなし)。火山性地震の発生回数は318回で前期間(247回)より増加し、やや多い状態であった。
地殻変動等その他の観測データには特段の変化はなかった。
◆ 霧島山 レベル:御鉢:2 (やや活発な火山活動)・新燃岳:1 (静穏な火山活動)
今期間、監視カメラによる観測では、御鉢火口の噴気は観測されなかった。また、28日に継続時間の短い振幅の小さな火山性微動が1回発生したが、噴気活動、地震活動等その他の観測データに特に変化はなく、火山活動は全般的に静穏な状態で経過した。
◇ 桜島 レベル:2 (比較的静穏な噴火活動)
期間中、噴火はなかった(前期間もなし)。25日及び26日に灰白色の噴煙が観測されたが(最高は25日の火口上約300m)、噴煙活動は比較的低調で、鹿児島地方気象台(南岳の西南西約11km)で降灰は観測されなかった(前期間もなし)。
◇ 薩摩硫黄島 レベル:2 (やや活発な火山活動)
地震活動、噴煙活動等の観測データには特段の変化はなかった。
● 口永良部島 [地震・微動・噴気] レベル:2 (やや活発な火山活動)
火山性地震は日回数に増減があるもののやや多い状態で推移し、期間中の回数は46回であった(前期間は52回)。火山性微動は、継続時間の短いものが時々発生し、期間中の回数は3回であった(前期間は4回)。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では、30日に火口縁上約10mの高さに上がっている白色、ごく少量の噴気が観測された(前期間は19日に同規模の噴気を観測)。
◆ 諏訪之瀬島 レベル:3 (小規模な噴火の可能性)
期間中、噴火はなかった(前期間は21日に集落(御岳の南南西約4km)で降灰が確認された)。地震活動も静穏で、噴煙活動等の観測データにも特段の変化はなかった。
火 山 名 | 情報の種類及び号数 | 発表日時 | 概 要 |
---|---|---|---|
浅 間 山 | 火山観測情報第86号 ↓(1日1回発表) 火山観測情報第92号 |
24日16:00 ↓ 30日16:00 |
前日及び当日00時〜15時の活動状況(噴火はなし、噴煙・火映・鳴動・地震・微動・地殻変動の状況・火山ガス観測結果(92号)及び上空の風の予想)。レベルは3。 |
三 宅 島 | 火山観測情報第163号 ↓(1日2回発表) 火山観測情報第176号 |
24日09:30 ↓ 30日16:30 |
前日15時〜当日09時もしくは当日09〜15時の活動状況、及び上空の予想。 |
阿 蘇 山 | 火山観測情報第12号 | 25日11:00 | 火山活動は引き続きやや活発(地震やや多い)。レベルは2。 |
口永良部島 | 火山観測情報第14号 | 25日14:00 | やや活発な火山活動継続。レベルは2。 |