開花日の標本木(2025/04/04) | |
満開日の標本木(2025/04/09) |
ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台の入場です。昨年の10月に採用され、早くも入庁して半年が経ちました。現在は主に観測・測器の業務を担当しながら、予報業務に関する知識の習得に励んでいます。
さて、今回は4月ということでさくらに関して取り上げます。気象台では、生物季節観測業務としてさくらの観測を行っています。各気象台では標本木という観測の対象となる木を決めており、その標本木で5~6輪の花が開いた状態となった最初の日をさくらの開花日、標本木で約80%以上の蕾が開いた状態となった最初の日をさくらの満開日としています。彦根地方気象台の標本木(そめいよしの)は敷地内にあり、1953年から観測を行っています。今年の彦根地方気象台では、さくら(そめいよしの)の開花を4月4日(平年より3日遅い)、満開を4月9日(平年より1日遅い)に観測し、近畿地方にある気象台の中ではさくら(そめいよしの)の開花・満開が共に最も遅い官署となりました。
さくらは前年の夏ごろに翌春咲く花のもととなる花芽を形成し、休眠状態に入ります。秋から冬にかけて低温にある一定期間さらされると、休眠状態から覚めます。このあとに春先の気温の上昇に合わせて花芽が発育し、開花に至ります。このため、さくらの開花は春先の気温と密接な関係があります。
ところで簡易的なさくらの開花予想の手法として、「600 度の法則」と「400 度の法則」という手法があるのをご存じでしょうか。「600 度の法則」は、2月1日からの日最高気温を足し合わせていって 600 度を越えた日にさくらが開花するというものです。「400 度の法則」は、2月1日からの日平均気温を足し合わせていって 400 度を越えた日にさくらが開花するというものです。
実際に過去3年間の彦根で計算してみました。一昨年は開花日が3月23日で、「600 度の法則」と「400 度の法則」で求まった開花日がそれぞれ3月24日、3月26日でした。昨年は開花日が4月2日で、「600 度の法則」と「400 度の法則」で求まった開花日が共に3月30日でした。そして今年は開花日が4月4日で、「600 度の法則」と「400 度の法則」で求まった開花日がそれぞれ4月2日、4月6日でした。調べた範囲内ではありますが、実際の開花と3日以内の誤差に収まっており、この簡易的な計算がおおよそ合っていることが分かります。誰でも簡単に予想できますので、興味があればぜひやってみて下さい。ただし、これらの法則は開花直前に強い寒気に見舞われる等の影響で大きくずれることがありますので、あくまで一つの目安と思って頂ければと思います。
※なお気象庁は2009年まで開花予想を行っていましたが、現在は行っていません。
令和7年4月
彦根地方気象台
入場