オゾン全量の経年変化

令和5年4月26日更新

診断

日本上空のオゾン全量

 札幌とつくばのオゾン全量は、主に1980年代を中心に1990年代はじめまで減少した後、緩やかな増加傾向がみられていました。また、那覇のオゾン全量は、1990年代半ば以降、緩やかな増加傾向がみられていました。近年はいずれの地点も増加傾向が鈍化しています。
 最近5年間(2018~2022年、札幌及び那覇は2017~2021年)の累年平均値を、オゾン層破壊現象が顕著に現れる以前の1970~1980年(那覇は1975~1980年)の累年平均値と比較すると、札幌とつくばでは依然として少ない状況にあります。
 札幌、つくば及び那覇における1993年を中心とした一時的なオゾン全量の減少は、1991年のピナトゥボ火山噴火にともない、成層圏エーロゾルが増加し、オゾン層破壊が促進されたためと考えられます。

オゾン経年変化

日本のオゾン全量年平均値の経年変化

札幌、つくば、那覇におけるオゾン全量の年平均値を示す。なお、札幌と那覇は2022年1月をもってオゾン全量観測を終了した。
緑破線は1970~1980年(那覇は1975~1980年)の累年平均値と最近5年間(2018~2022年、札幌及び那覇は2017~2021年)の累年平均値。

世界のオゾン全量

 世界平均のオゾン全量は1980年代から1990年代前半にかけて大きく減少が進みましたが、1990 年代後半に減少傾向が止まり、2000 年以降は変化が比較的小さくなっています。地上観測によると、近年(2017~2021 年)はそれ以前(1994~2008 年)に比べわずかに増加(回復)傾向がみられますが、オゾン層破壊が顕著に現れる以前(1970~1980 年)と比較して依然少ない状態が続いています。この状態は、衛星観測によるデータからも確認されています。

世界のオゾン経年変化

世界のオゾン全量の経年変化

世界平均のオゾン全量の1970~1980年の平均値と比較した増減量を%で示す。
緑実線:地上観測データ、青丸:北緯70度~南緯70度で平均した衛星観測データ。
赤線:地上観測データの累年平均値。
         1970~1980年(オゾン全量が減少する前)
         1994~2008年(オゾン全量の減少傾向が止まった1990年代後半を含む過去15年間)
         2017~2021年(最近5年間)
長期変化を正確に求めるため、季節変動成分を除去している。
地上観測点のデータには「世界オゾン・紫外線資料センター」が収集したデータを、衛星観測のデータには米国航空宇宙局(NASA)提供のデータをそれぞれ使用している。

北半球高緯度のオゾン全量

 春季の北半球高緯度におけるオゾン全量は、1990年以降、それ以前と比べて少ない状態が続いており、気象状況によって顕著に少なくなることもあります。衛星観測で示される1997年、2011年及び2020年の顕著なオゾン全量の減少は、下部成層圏気温が低く、比較的規模の大きなオゾン層破壊が起こったことが要因と考えられます。

世界のオゾン経年変化

北半球高緯度の3月のオゾン全量の経年変化

はNASA提供の衛星観測データをもとに作成した北半球高緯度(北緯60度以北)における3月の月平均オゾン全量偏差(ただし、1995年及び1996年はTOMSデータが欠測のため値がない)。
○印はラーウィック(英国、北緯60度、西経1度)における3月の月平均オゾン全量偏差(ただし、1999年及び2015年はデータが欠測のため値がない)。
偏差の基準には1979~1989年の累年平均値を用いている。


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