オゾンホールの状況(2018年)

平成31年1月21日更新

診断

  (注意)2018年のオゾンホールの実況を9月~翌年1月頃まで毎月更新して報告しています。掲載したデータは速報値ですので、今後値が見直される場合があります。

オゾンホール

  オゾンホールは、南極上空のオゾン量が極端に少なくなる現象で、オゾン層に穴の空いたような状態であることからその名が付けられました。 南半球の冬季から春季にあたる8~9月ごろ発生、急速に発達し、11~12月ごろに消滅するという季節変化をしています。1980年代初めからこのような現象が観測されています。

2018年の南極域上空のオゾン層・オゾンホール

  衛星観測によると、2018年の南極オゾンホールは8月中旬に観測され、その面積は8月下旬に急速に拡大しました(図1)。 8月下旬以降、最近10年間の平均値より大きく推移し、最大面積は9月20日に2,460万km2 (南極大陸の約1.8倍)を記録しました(図2)。 今年は、南極上空に形成される極渦が大きく、ほぼ円形で安定していたため、極渦内部の高度約20km付近の気温が低く(図3)、オゾン層破壊を促進させる極域成層圏雲が例年より発達したことが要因と考えられます(オゾンホールができるしくみを参照)。 11月に入ると、極渦の円形が崩れ渦が弱まったことで、極渦の外側のオゾン濃度の高い空気と混合したため、オゾンホールの面積は急速に縮小し、12月上旬に消滅しました。
  南極昭和基地(図2中の印)で行われたオゾンゾンデ観測によると、 9月に入り、南極昭和基地上空で顕著なオゾン破壊が観測されるようになりました。 9月以降の南極昭和基地は、南極オゾンホールの内部に位置することが多く、9月の月平均オゾン分圧は、高度約13kmから22kmで 参照値(オゾン量の減少傾向が止まり、少ない状態で安定していた期間の平均値)よりも低く、また10月と11月は参照値並となりました(図4)。

オゾンホールの面積の推移 オゾン全量南半球分布図

図1 オゾンホールの面積の推移

  オゾンホールの規模を示す要素の一つであるオゾンホールの面積(オゾン全量が220m atm-cm以下の領域の面積)の推移を示しています。
    赤線:2018年、橙線:2017年
    黒線:最近10年間(2008~2017年)の平均値
    濃い紫色の領域:最近10年間の最大値と最小値の範囲
    緑色の破線:南極大陸の面積
  米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星(OMI)観測データをもとに作成。

図2 2018年09月20日のオゾン全量南半球分布図

  中央の灰色の部分がオゾンホール。図の放射状に細長く広がっている白い領域は、衛星データが欠測となった領域です。 図中の印は、昭和基地の位置(南緯69度、東経39度付近)を示しています。 米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星(OMI)観測データをもとに作成。


南極上空の平均気温の推移

図3 南極上空(50hPa)における南緯60度以上の領域平均気温の推移

  赤線:2018年、黒線:最近10年間(2008~2017年)の平均値
  灰色領域:最近10年間の標準偏差の範囲
  紫色領域:最近10年間の最大値と最小値の範囲
気象庁の長期再解析(JRA-55)をもとに作成。


南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ 右矢印 南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ 右矢印 南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ 右矢印 南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ

図4 2018年8~11月の月平均オゾン分圧の高度分布グラフ(南極昭和基地)

赤線:観測値の月平均値
細実線:月の参照値(1994~2008年平均)、横細実線:参照値の標準偏差。
細破線:オゾンホールが明瞭に現れる以前の月平均値(1968~1980年平均)。
オゾン分圧(横軸)が高いほど、その層のオゾン量が多いことを示します。



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