エルニーニョ監視速報(No.356)
2022年4月の実況と2022年5月〜2022年11月の見通し
気象庁 大気海洋部
令和4年5月12日

  • ラニーニャ現象が続いている。
  • 夏にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高い(70%)。その後、秋にかけてラニーニャ現象が続く可能性と平常の状態になる可能性は同程度である(50%)。

エルニーニョ/ラニーニャ現象の経過と予測

エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値の実況と予測を示した時系列グラフ
図1 エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値
2月までの経過(観測値)を折れ線グラフで、大気海洋結合モデルによる予測結果(70%の確率で入ると予想される範囲)をボックスで示している。指数が赤/青の範囲に入っている期間がエルニーニョ/ラニーニャ現象の発生期間である。エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値はその年の前年までの30年間の各月の平均値。

エルニーニョ/ラニーニャ現象の発生確率(予測期間:2022年3月〜2022年9月)

平均期間
2022年 3月2022年1月〜2022年5月
4月2022年2月〜2022年6月
5月2022年3月〜2022年7月
6月2022年4月〜2022年8月
7月2022年5月〜2022年9月
8月2022年6月〜2022年10月
9月2022年7月〜2022年11月
エルニーニョ現象 平常 ラニーニャ現象
図2 5か月移動平均値が各カテゴリー(エルニーニョ現象/平常/ラニーニャ現象)に入る確率(%)
エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が+0.5℃以上/-0.4℃〜+0.4℃/-0.5℃以下の範囲に入る確率を、それぞれ赤/黄/青の横棒の長さで月ごとに示す。気象庁の定義では、5か月移動平均値が+0.5℃以上(-0.5℃以下)の状態で6か月以上持続した場合にエルニーニョ(ラニーニャ)現象の発生としているが、エルニーニョ監視速報においては速報性の観点から、実況と予測を合わせた5か月移動平均値が+0.5℃以上(-0.5℃以下)の状態で6か月以上持続すると見込まれる場合に「エルニーニョ(ラニーニャ)現象が発生」と表現している。

解説

エルニーニョ/ラニーニャ現象

  • 4月の実況:ラニーニャ現象が続いている。 4月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は-1.0℃で、基準値より低い値だった。ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の2月の値は-1.0℃となり、6か月連続して-0.5℃以下となってラニーニャ現象の基準を満たした(図3)。太平洋赤道域の海面水温は中部から東部で平年より低かった(図4図6)。海洋表層の水温は西部で平年より高く、東部で平年より低かった(図5図7)。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強かった(図8図9図10)。このような大気と海洋の状態はラニーニャ現象時の特徴を示しており、昨年秋からラニーニャ現象が続いている。
  • 今後の見通し:夏にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高い(70%)。その後、秋にかけてラニーニャ現象が続く可能性と平年の状態になる可能性は同程度である(50%)。 実況で太平洋赤道域の西部に見られる海洋表層の暖水は今後東進し、東部の海面水温を一時的にやや上昇させるとみられる。大気海洋結合モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、今後はやや上昇するものの、秋にかけて基準値よりも低い値か基準値に近い値で推移すると予測している(図11)。以上のことから、夏にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高く(70%)、その後、秋にかけてラニーニャ現象が続く可能性と平常の状態になる可能性は同程度である(50%)。

西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況

  • 西太平洋熱帯域: 4月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値だった(図3)。今後、夏から秋にかけて基準値より低い値か基準値に近い値で推移すると予測される(図12)。
  • インド洋熱帯域: 4月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値に近い値だった(図3)。今後、夏から秋にかけて基準値より低い値か基準値に近い値で推移すると予測される(図13)。

4月の日本と世界の天候への影響

  • 日本: ラニーニャ現象の影響は明瞭には見られなかった。今後の日本の天候については、最新の季節予報を参照されたい。
  • 世界: インドシナ半島、ペルーからチリ北部の低温がラニーニャ現象時の特徴に一致していた。

エルニーニョ/ラニーニャ現象の発生確率値(図2)と主文における見通しの表現

* エルニーニョ/ラニーニャ現象の発生や持続の見通しについては、季節単位で記述することとし、 原則として、現象の発生を記述する場合はその季節の最後の月の発生確率値を、 現象の持続を記述する場合はその季節の最初の月の発生確率値を用いて下表のように表現する。 ただし、発生確率値の推移によってはこの原則を用いないことがある。
発生確率
エルニーニョ平常ラニーニャ主文における表現(発生確率は例)
現象現象
50%以上30%以下エルニーニョ現象が発生する(続く)可能性が高い(50%)
60%40%0%平常の状態が続く(になる)可能性もある(40%)が、
エルニーニョ50%40%10%エルニーニョ現象が発生する(続く)可能性の方がより高い(60%)。
現象の発生50%50%0%エルニーニョ現象が発生する(続く)可能性と
(持続)40%40%20%平常の状態が続く(になる)可能性が同程度である(50%)。
40%50%10%エルニーニョ現象が発生する(続く)可能性もある(40%)が、
40%60%0%平常の状態が続く(になる)可能性の方がより高い(60%)。
30%以下50%以上ラニーニャ現象が発生する(続く)可能性が高い(50%)
0%40%60%平常の状態が続く(になる)可能性もある(40%)が、
ラニーニャ10%40%50%ラニーニャ現象が発生する(続く)可能性の方がより高い(60%)。
現象の発生0%50%50%ラニーニャ現象が発生する(続く)可能性と
(持続)20%40%40%平常の状態が続く(になる)可能性が同程度である(50%)。
10%50%40%ラニーニャ現象が発生する(続く)可能性もある(40%)が、
0%60%40%平常の状態が続く(になる)可能性の方がより高い(60%)。
平常の状態
への移行30%以下50%以上30%以下平常の状態になる(が続く)可能性が高い(50%)。
(持続)
次回発表予定日時:6月10日14時

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