日本の季節の天候 ------------------ 対象期間:
地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
2020年秋の天候の特徴をまとめると、
*秋の気温は北日本と沖縄・奄美でかなり高く東日本で高かった
秋の気温は、北・東日本では、9月前半と11月後半を中心に南から暖かい空気が流れ込みやすかったため、北日本でかなり高く東日本で高かった。また、沖縄・奄美では、11月を中心に暖かい空気に覆われたため、かなり高かった。
*秋の降水量は西日本太平洋側で多く、北日本太平洋側、東日本日本海側、沖縄・奄美で少なかった
西日本太平洋側では、秋の前半を中心に台風や低気圧と前線などの影響を受けたため、秋の降水量は多かった。一方、北日本太平洋側と東日本日本海側では、秋の後半を中心に低気圧の影響を受けにくく、また、沖縄・奄美では、11月を中心に低気圧の影響を受けにくかったため、秋の降水量は少なかった。
*秋の日照時間は、北日本で少なく、東・西日本日本海側で多かった
北日本では、秋の前半に低気圧や前線または寒気の影響を受けたため、秋の日照時間は少なかった。一方、東・西日本日本海側では、秋の後半を中心に移動性高気圧に覆われることが多かったため、秋の日照時間は多かった。
秋の前半は、低気圧や前線及び台風の影響で、全国的に曇りや雨の日が多かった。西日本太平洋側では9月上旬に大型で非常に強い勢力で接近した台風第10号をはじめ、低気圧や前線などの影響を受けたため、降水量は多かった。日照時間は、低気圧や前線または寒気の影響を受けることが多かった北日本で少なかった。
秋の後半は、低気圧と高気圧の影響を交互に受けて、全国的に天気は数日の周期で変わったが、東・西日本を中心に移動性高気圧に覆われて晴れる日が多く、また、北日本太平洋側を含めて低気圧の影響を比較的受けにくかった。このため東・西日本日本海側の日照時間は多く、北日本太平洋側と東日本日本海側の降水量は少なかった。また、沖縄・奄美では11月を中心に低気圧の影響を受けにくかったため、降水量は少なかった。一方、北日本日本海側では低気圧や寒気の影響を受けたため、曇りや雨または雪の日が多かった。
気温は、9月前半は北・東日本を中心に高気圧周辺を回る暖かい空気が入り8月に引き続き高く、残暑が厳しかった。11月後半は全国的に北日本以北を通過する低気圧に向かう南からの暖かい空気が流れ込み顕著な高温となった。沖縄・奄美では11月を中心に暖かい空気に覆われやすかった。このため、秋の平均気温は北日本と沖縄・奄美でかなり高く、東日本で高かった。西日本では平年並だった。
この秋に発生した台風は13個、日本に接近した台風は4個で、日本に上陸した台風はなかった。
平均気温:北日本と沖縄・奄美ではかなり高く、東日本で高かった。西日本で平年並だった。
降水量:西日本太平洋側で多かった。一方、北日本太平洋側、東日本日本海側、沖縄・奄美で少なく、北日本日本海側、東日本太平洋側、西日本日本海側で平年並だった。
日照時間:北日本で少なかった。一方、東・西日本日本海側で多く、東・西日本太平洋側と沖縄・奄美で平年並だった。
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3か月平均気温平年偏差、3か月降水量平年比、3か月間日照時間平年比の分布図 |
地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
9月: 本州付近に前線が停滞しやすく、高気圧の縁辺を回って湿った空気が入りやすかったため、太平洋側を中心に、曇りや雨の日が多かった。また、上旬には台風第9号と第10号が相次いで沖縄・奄美を通過し東シナ海を北上した。6日には西米良(宮崎県)で日降水量が364.5mm、7日には野母崎(長崎県)で日最大瞬間風速が59.4m/sと、ともに観測史上1位の値を更新するなど、西日本や沖縄・奄美を中心に大雨や大荒れとなった所があった。このため、月降水量は西日本日本海側で多かった。月間日照時間は西日本太平洋側と沖縄・奄美でかなり少なく、北・東日本太平洋側と西日本日本海側で少なかったが、湿った空気の影響を受けにくかった東日本日本海側では多かった。
気温は、上旬を中心に高気圧の縁辺を回って暖かい空気が流入しやすかったことや、台風に向かって強い南風が吹き込んだ時期があったため北・東日本でかなり高く、西日本で高かった。また、北陸地方を中心にフェーン現象が発生し、3日には三条(新潟県)で日最高気温が40.4℃と、全国の気象官署及びアメダスで、9月として初めて40℃を超えた。
10月: 北・東日本では、上旬を中心に低気圧や前線、湿った空気の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多かったため、月間日照時間は北日本と東日本太平洋側で少なかった。また、台風第14号が10日頃にかけて本州の南海上をゆっくり東進し、本州南岸に停滞する前線の活動が活発化した影響等で、東・西日本太平洋側を中心に大雨となった所があったため、月降水量は東・西日本太平洋側で多かった。一方、上旬は沖縄・奄美、中旬は東日本日本海側、下旬は西日本を中心に高気圧に覆われやすかったため、月降水量は東日本日本海側でかなり少なく、月間日照時間は西日本と沖縄・奄美で多かった。
気温は、中旬を中心に北・東・西日本で寒気の影響を受ける時期があったものの、北日本を中心に断続的に暖かい空気が流れ込んだため、北日本で高かった。
11月: 日本付近は高気圧と低気圧や前線の影響を交互に受けたため、全国的に天気は数日の周期で変わったが、低気圧は北日本以北を通過することが多く、本州付近は移動性高気圧に覆われた日が多かった。このため、北日本日本海側で曇りや雨または雪の日が多かったほかは、全国的に晴れた日が多く、東日本日本海側の月間日照時間はかなり多かった。また、日本付近は低気圧の影響を受けにくかったため、月降水量は北日本日本海側と西日本太平洋側を除いて全国的に少なく、東日本太平洋側ではかなり少なかった。
気温は、日本付近に一時的に寒気の流れ込んだ日があったが、中旬の後半を中心に北日本以北を通過する低気圧に向かって南から暖かい空気が流れ込んだため、全国的に高く、東・西日本と沖縄・奄美ではかなり高くなった。特に、18日から20日にかけては本州の広い範囲で夏日となり、11月としての日最高気温の高い方からの1位の記録を更新した所もあった。
- 月平均500hPa高度・偏差分布図
- 月平均海面更正気圧・偏差分布図
- 月平均850hPa気温・偏差分布図
- 月平均外向き長波放射量(OLR)偏差分布図
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
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