日本の季節の天候 ------------------ 対象期間:
地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
2020年夏の天候の特徴をまとめると、
*「令和2年7月豪雨」など、全国各地で大雨が発生した
7月は活発な梅雨前線の影響で、東・西日本を中心に各地で長期間にわたって大雨となった(「令和2年7月豪雨」)。このため、東・西日本の夏の降水量はかなり多かった。沖縄・奄美では、期間を通して前線や湿った空気の影響を受けやすかったため、降水量はかなり多かった。
*全国的に気温は高く、東日本と沖縄・奄美ではかなり高かった
暖かい空気に覆われる時期が多かったため、全国的に夏の気温は高かった。特に、8月に太平洋高気圧に覆われて厳しい暑さが続いた東日本と、期間を通して暖かい空気に覆われやすかった沖縄・奄美ではかなり高かった。
*東日本日本海側と沖縄・奄美では日照時間が少なかった
7月に梅雨前線や湿った空気の影響を受けやすかった東日本日本海側と、期間を通して前線や湿った空気の影響を受けやすかった沖縄・奄美では、夏の日照時間は少なかった。
北日本から西日本にかけては、6月上旬は高気圧に覆われて晴れの日が多かったが、6月中旬からは梅雨前線が本州付近に停滞しやすく、曇りや雨の日が多かった。特に7月になると梅雨前線の活動がたびたび活発になり本州付近に停滞した日が多かったため、東・西日本を中心に各地で長期間にわたって大雨となり、河川の氾濫や土砂災害などの甚大な被害が発生した(「令和2年7月豪雨」)。また、東・西日本では、記録的な多雨・寡照となった。8月は、東・西日本では一転して太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多くなったが、北日本では低気圧や前線の影響をたびたび受けたため、天気は数日の周期で変わった。
沖縄・奄美では、6月上旬は梅雨前線の影響で曇りや雨の日が多かったが、6月中旬は高気圧に覆われて晴れの日が多かった。その後7月までは、前線や湿った空気の影響でこの時期としては晴れの日が少なかった。8月は、中旬は太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多くなったが、上旬と下旬は台風や湿った空気の影響を受けやすかった。各月とも前線や湿った空気の影響を受けやすかったため、降水量はかなり多くなり、日照時間は少なくなった。
夏の平均気温は、6月と8月に記録的な高温となった東日本と、期間を通して暖かい空気に覆われやすかった沖縄・奄美ではかなり高かった。北・西日本は、夏の平均気温は高かった。6月と8月はかなり高かった一方、7月はかなり低くなった西日本などで、気温の変動が大きかった。
この夏に発生した台風は8個だった。台風第4号と第5号、第8号、第9号は沖縄地方に接近して東シナ海を北上した。(第9号は、9月になってから東シナ海を北上した)
平均気温:東日本と沖縄・奄美でかなり高く、北・西日本で高かった。
降水量:東・西日本と沖縄・奄美でかなり多く、北日本日本海側で多かった。北日本太平洋側では平年並だった。
日照時間:東日本日本海側と沖縄・奄美で少なかった。北・西日本と東日本太平洋側では平年並だった。
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3か月平均気温平年偏差、3か月降水量平年比、3か月間日照時間平年比の分布図 |
地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
6月: 北・東・西日本では、上旬を中心に高気圧に覆われて晴れの日が多かったが、中旬は梅雨前線が本州付近に停滞しやすく、曇りや雨の降る日が多かった。沖縄・奄美では、上旬は梅雨前線の影響で曇りや雨の日が多かったが、中旬を中心に高気圧に覆われて晴れの日が多かった。このため、月間日照時間は東日本日本海側でかなり多く、東日本太平洋側と西日本日本海側、沖縄・奄美で多かった。一方、太平洋高気圧は日本の南海上で西へ張り出しやすく、高気圧の縁を回って日本付近に湿った空気が入りやすい時期もあったことから、梅雨前線の活動が一時的に活発となって、沖縄・奄美と西日本では土砂災害や浸水害を伴う大雨となった所があった。このため、月降水量は沖縄・奄美でかなり多く、東日本太平洋側と西日本で多かった。また、下旬を中心に北日本では低気圧の影響を受けやすい時期があったため、北日本日本海側の月降水量も多かった。
気温は、太平洋高気圧が日本の南海上で西へ張り出し、日本付近には暖かい空気が入りやすく、晴れて強い日射の影響を受けた日もあったため、全国的にかなり高かった。東・西日本では平年差がそれぞれ+1.9℃、+1.4℃で、東日本では1946年の統計開始以来6月として1位の高温となり、西日本では2005年と並び最も高温となった。
7月: 太平洋高気圧は日本の南海上で強く、その縁辺を回る湿った空気が流れ込みやすかったため、活動が活発な梅雨前線が本州付近に停滞した日が多かった。特に、上旬は日本付近で偏西風の蛇行が続いて黄海付近が気圧の谷となり、梅雨前線の活動が非常に活発となって東・西日本付近に停滞し続けたため、東・西日本を中心に各地で長期間にわたって大雨となり、7月を通して断続的に河川の氾濫や土砂災害などの甚大な被害が発生した(「令和2年7月豪雨」)。東・西日本の月降水量はかなり多く、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側の月降水量はそれぞれ平年比245%、222%、240%となり、7月として1946年の統計開始以来1位の多雨となった。
梅雨前線や東からの湿った気流の影響を受けやすかったため、東北地方から東・西日本では曇りや雨の日が多かった。このため、月間日照時間は北日本太平洋側と東・西日本でかなり少なく、東日本日本海側、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側ではそれぞれ平年比40%、41%、50%、57%となり、7月として1946年の統計開始以来1位の寡照となった。
曇りや雨の日が多く、北からの冷たい空気の影響を受ける時期もあったため、月平均気温は西日本でかなり低く、東日本で低かった。
沖縄・奄美では、暖かく湿った空気が流れ込みやすく曇りや雨の日が多かったため、月降水量は多く、月間日照時間は少なかったが、上旬後半から中旬前半や下旬を中心に太平洋高気圧に覆われて晴れた時期もあり、月平均気温は高くなった。
8月: 東・西日本では、勢力の強い太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かった。一方、北日本では、天気は数日の周期で変わり、前半は低気圧や前線の影響で日本海側を中心に曇りや雨の日が多かった。全国的に暖かい空気に覆われやすかったため、気温は高かった。月平均気温は、東・西日本ではかなり高くなり、東日本は平年差+2.1℃で、1946年の統計開始以来、8月として1位の高温となり、西日本でも平年差+1.7℃で2010年と並んで1位タイの高温となった。17日には浜松(静岡県)で歴代全国1位タイの41.1℃を観測し、全国の気象官署のうち11地点で通年の日最高気温の高い方から1位の値を記録した。また、50地点で、通年及び8月としての月平均気温の高い方から1位の値を記録した (日最高気温、月平均気温ともタイを含む)。
湿った空気の影響を受けにくく晴れた日が多かったことから、東・西日本太平洋側では月降水量がかなり少なく、月間日照時間がかなり多かった。月降水量は、東日本太平洋側で平年比29%で1946年の統計開始以来、8月として1位、西日本太平洋側で平年比32%で1967年と並んで1位タイの少雨となった。また、月間日照時間は西日本太平洋側で平年差131%となり1947年と並んで1位タイの多照となった。
沖縄・奄美では、上旬と下旬に台風や湿った空気の影響を受けやすく、月降水量はかなり多かった。特に22日から24日にかけては、台風第8号の影響で大雨や大荒れとなった。
- 月平均500hPa高度・偏差分布図
- 月平均海面更正気圧・偏差分布図
- 月平均850hPa気温・偏差分布図
- 月平均外向き長波放射量(OLR)偏差分布図
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
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