日本の季節の天候 ------------------ 対象期間:
地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
2017年夏の天候の特徴をまとめると、
*気温は、東・西日本で高く、沖縄・奄美でかなり高かった
日本の南海上では太平洋高気圧の西への張り出しが強く、本州付近には西よりの暖かい空気が流れ込みやすかったため、東・西日本で夏の平均気温は高かった。沖縄・奄美では太平洋高気圧に覆われて晴れる日が多かったため、夏の平均気温はかなり高かった。
*降水量は、北・東日本日本海側で多く、東日本太平洋側と西日本日本海側で少なかった
低気圧や前線の影響を受けやすかったため、夏の降水量は東日本日本海側でかなり多く北日本日本海側で多かったが、梅雨前線の影響を受けにくかった東日本太平洋側と西日本日本海側の夏の降水量は少なかった。
*「平成29年7月九州北部豪雨」が発生するなど、大雨となった所があった
梅雨前線の活動が活発となった時期があり、また湿った気流や上空の寒気などの影響で、全国的に大雨となった所があった。7月5〜6日には「平成29年7月九州北部豪雨」が発生した。
*オホーツク海高気圧が出現し、北・東日本太平洋側では不順な天候となった時期があった
北・東日本太平洋側では、6月と7月は梅雨前線の影響を受けにくく月間日照時間が多かったが、8月上旬から中旬を中心にオホーツク海高気圧が出現したため、北・東日本太平洋側の8月の日照時間はかなり少なかった。
6月は太平洋高気圧の北への張り出しが弱く、梅雨前線が日本の南海上に停滞することが多かったが、6月下旬には梅雨前線は本州南岸に停滞した。このため、沖縄・奄美では6月中旬を中心に梅雨前線の影響を受けやすく、本州付近は全般に梅雨前線の影響を受けにくかった。7月になると太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、梅雨前線は日本海に停滞することが多く、北・東日本日本海側では活発な梅雨前線の影響を受けやすかった。その後は梅雨前線は不明瞭となったが、8月の上旬から中旬にはオホーツク海高気圧が出現した。8月下旬は天気は数日の周期で変わったが、日本海で前線の活動が活発だった。
この夏に発生した台風は計14個で、このうち7月には8個の台風が発生した。台風第3号は、7月3〜5日にかけて先島諸島から本州付近へ進んだ。台風第5号は、7月28日に小笠原諸島に接近した後、8月4日に奄美地方に接近し、9日には山形県沖で温帯低気圧に変わった(速報値)。
沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かったため、夏の平均気温はかなり高く、降水量は少なく、日照時間は多かった。7月以降は少雨となった所があったが、奄美地方では台風第5号の影響で大雨となった所があった。
本州付近では、7月から8月を中心に西よりの暖かい空気が流れ込みやすく、また高気圧に覆われやすかった時期があり、東・西日本の夏の平均気温は高かった。梅雨前線の活動が活発となった時期があり、また湿った気流や上空の寒気などの影響で、本州付近では各地で大雨となった。梅雨前線に向かって大気下層で暖かく湿った空気が南から流れ込み、また上空に寒気が流入したため、7月5〜6日には「平成29年7月九州北部豪雨」が発生した。低気圧や前線の影響を受けやすかったため、夏の降水量は東日本日本海側でかなり多く北日本日本海側で多かったが、梅雨前線の影響を受けにくかった東日本太平洋側と西日本日本海側の夏の降水量は少なかった。
北・東日本太平洋側では、6月と7月は梅雨前線の影響を受けにくく月間日照時間が多かったが、8月上旬から中旬を中心にオホーツク海高気圧による北東からの冷たく湿った気流の影響を受けやすかったため不順な天候となり、北・東日本太平洋側の8月の月間日照時間はかなり少なかった。
平均気温:沖縄・奄美でかなり高く、東・西日本で高かった。北日本で平年並だった。
降水量:東日本日本海側でかなり多く、北日本日本海側で多かった。一方、東日本太平洋側、西日本日本海側と沖縄・奄美で少なかった。北・西日本太平洋側では平年並だった。
日照時間:東日本日本海側、西日本と沖縄・奄美で多かった。北日本と東日本太平洋側では平年並だった。
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3か月平均気温平年偏差、3か月降水量平年比、3か月間日照時間平年比の分布図 |
地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
6月: 梅雨前線は日本の南海上に停滞することが多かった。東・西日本では、上・中旬は梅雨前線の影響を受けにくく、移動性高気圧に覆われやすかったため、平年に比べて曇りや雨の日が少なかった。このため、月間日照時間は東日本でかなり多く西日本で多くなり、月降水量は東日本太平洋側でかなり少なく東・西日本日本海側で少なかった。東・西日本では4月下旬から少雨の状態が続いた所があり、取水制限が行われた河川があった。
低気圧の影響を受けやすかった北日本では、北海道を中心に平年に比べて曇りや雨の日が多く、月降水量はかなり多かった。また、西日本は冷涼な高気圧に覆われやすく、月平均気温が低かった。
沖縄・奄美では梅雨前線や湿った気流の影響で曇りや雨の日が多く、月間日照時間が少なかったが、下旬は太平洋高気圧に覆われて晴れる日が多かった。
なお、梅雨前線の活動が活発化したため、中旬には九州南部から沖縄・奄美で、下旬には東日本太平洋側や西日本を中心に大雨となった所があった。
7月: 本州付近は暖かい空気が流れ込みやすく、また高気圧に覆われやすかった時期があり、月平均気温は北・西日本でかなり高く、東日本で高かった。北日本では、上旬から中旬にかけて気温が特に高くなった時期があり、北海道でも各地で真夏日を観測した。また、梅雨前線の影響を受けにくかった北日本太平洋側では晴れる日が多く、月間日照時間がかなり多くなった。
梅雨前線は日本海から北陸地方や東北日本海側に停滞することが多く、太平洋高気圧は日本の南海上で北西への張り出しが強かった。太平洋高気圧の縁を回って西から暖かく湿った空気が流れ込みやすく、梅雨前線の活動が活発になった時期があったために、北・東・西日本日本海側を中心に大雨となった所があった。5?6日には西日本日本海側で「平成29年7月九州北部豪雨」などの記録的な大雨が発生し、23日には梅雨前線に伴う大雨によって秋田県では雄物川などが氾濫するなど、各地で河川の氾濫や土砂災害などが発生した。月降水量は東日本日本海側でかなり多く、北日本日本海側で多かった。一方、梅雨前線の影響を受けにくかった東・西日本太平洋側の月降水量は少なかった。
7月には8個の台風が発生した。そのうち、2日に沖縄の南で発生した台風第3号は、5日にかけて沖縄地方から本州付近へ進んだ。21日に南鳥島近海で発生した台風第5号は28日に小笠原諸島に接近した。先島諸島では、29日に台風第9号が、30日に台風第10号が接近した。
沖縄・奄美では太平洋高気圧に覆われやすかったため、月平均気温は高く、月降水量は少なかった。
8月: 太平洋高気圧は、日本の南海上で平年に比べて西への張り出しが強かった。このため、沖縄・奄美では晴れる日が多く、また太平洋高気圧の縁辺に沿って西よりの暖かい空気が流れ込みやすかったため、月平均気温はかなり高く、月間日照時間はかなり多かった。沖縄・奄美の月平均気温平年差は+1.4℃で、1946年の統計開始以来の8月として1位の高い記録となった。また、沖縄地方を中心に7月から少雨の状態が続いた所があった。西日本でも晴れて気温が高い日が多く、月平均気温は高かった。
上旬から中旬にかけて、オホーツク海高気圧が出現したため、北・東日本太平洋側では北東からの冷たく湿った空気が入りやすかった。また、太平洋高気圧の北・東日本への張り出しは平年に比べて弱く、前線や湿った気流の影響を受けやすかった。このため、北・東日本太平洋側では曇りや雨の日が多い不順な天候となって月間日照時間がかなり少なくなり、特に北日本太平洋側では気温の低い日が多かった。北・東・西日本では大気の状態が不安定となった時期があり、各地で大雨となった。25日には秋田県の雄物川が7月に続き再び氾濫した。東日本日本海側では、台風第5号の影響も受けたため、月降水量がかなり多かった。
台風第5号は4日に奄美地方に接近し、7日には和歌山県北部に上陸して9日には山形県沖で温帯低気圧に変わった。発生から消滅までの寿命は18日18時間となり、1951年の統計開始以来3番目の長寿台風となった(速報値)。この台風の影響で、東・西日本や奄美地方では大雨となった所があった。
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