日本の季節の天候 ------------------ 対象期間:

概況 | 各月の経過

概況

地域平均気温経過図

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図


2016年夏の天候の特徴をまとめると、

*全国的に暑夏で、特に沖縄・奄美では記録的な高温となった
日本付近は暖かい空気に覆われやすく、全国的に夏の平均気温は高かった。特に、沖縄・奄美では、日照時間が多く強い日射を受けて、夏の平均気温は平年差+1.1℃と夏として1位の高温となった(統計開始は1946年)。
*北日本太平洋側は記録的な多雨となった
北日本では、6月は低気圧の影響を受けやすく、8月は台風が相次いで接近・上陸したことや前線や湿った気流の影響で、降水量がかなり多かった。特に、北日本太平洋側では、夏の降水量は平年比163%となり、夏として1位の多雨となった(統計開始は1946年)。
*ほぼ全国的に多照となった
高気圧に覆われやすかったため、夏の日照時間はほぼ全国的に多かった。

6月から7月にかけては、太平洋高気圧の勢力が日本の南海上で強く、沖縄・奄美では暖かい空気に覆われやすく、気温がかなり高かった。太平洋高気圧の北縁にあたった西日本付近では、西から湿った空気が流れ込み梅雨前線の活動が活発となりやすく、6月は西日本の各地方で、7月は九州を中心に降水量が多かった。東日本と東北地方では、6月は平年並の降水量となったが、7月は梅雨前線の活動が弱まり、降水量の少ない地方が多かった。北海道地方では低気圧の影響を受けやすく、降水量は6月はかなり多く、7月も多かった。
7月後半は、千島近海で高気圧の勢力が強まり、北・東日本を中心に気温の低い時期があった。一方、日本の南では高気圧の勢力が引き続き強く、沖縄・奄美を中心に気温の高い状態が続いた。
8月は、日本付近は暖かい空気に覆われやすかったため、月平均気温は全国的に高く、沖縄・奄美ではかなり高かった。その結果、夏の日照時間はほぼ全国的に多く、夏の平均気温は全国的に高かった。特に、沖縄・奄美では夏を通して気温の高い状態が続き、夏の平均気温は平年差+1.1℃となり、夏として1位の高温となった(統計開始は1946年)。
一方、8月は日本の南海上で対流活動が活発になった。月の後半は、日本のはるか東で高気圧の勢力が強く、その西縁にあたる東日本太平洋側から北日本を中心に台風や湿った気流の影響を受けやすかった。特に、北日本では台風第5号、第6号、第7号、第11号、第9号、第10号が相次いで接近または上陸し、前線や湿った気流の影響も加わり、顕著な多雨となった。北日本太平洋側では、夏の降水量が平年比163%となり、夏として1位の多雨となった(統計開始は1946年)。
なお、この夏に日本に上陸した台風は4個で、すべて8月に上陸した。8月の上陸数4は、ひと月の上陸数の多い方から1位タイとなった(統計開始は1951年)。また、この夏に日本に接近した台風は6個で、このうち5個は8月に接近した。


平均気温:沖縄・奄美でかなり高く、北・東・西日本でも高かった。
降水量:北日本でかなり多く、西日本太平洋側でも多かった。一方、沖縄・奄美で少なかった。東日本、西日本日本海側では平年並だった。
日照時間:北・東日本日本海側、西日本、沖縄・奄美で多かった。北・東日本太平洋側では平年並だった。


季節TRS分布図 旬別RS経過図
3か月平均気温平年偏差、3か月降水量平年比、3か月間日照時間平年比の分布図 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図

各月の経過


6月: 月の前半は、梅雨前線は沖縄・奄美付近から本州南岸の間で南北に変動した。月の後半は、太平洋高気圧が日本の南から沖縄付近で強く、日本付近には南から暖かく湿った空気が流れ込みやすかったため、梅雨前線の活動は活発だった。月の後半は、梅雨前線は本州付近に停滞し、特に西日本で活動が活発化したため、月降水量は西日本太平洋側ではかなり多く、西日本日本海側では多かった。19日から月末にかけて、西日本では広い範囲で大雨となり、19日0時から月末までの総雨量は、九州の広い範囲及び中国地方・四国地方の一部で300mmを超え、熊本県や宮崎県では1000mmを超えた所もあり、各地で土砂災害や浸水害等が発生した。

 北日本では低気圧が通過しやすかったため、降水量はかなり多く、日照時間は、北日本日本海側では少なかった。東日本の降水量は平年並だったが、降水量が平年を下回り5月から少雨の状態が続くところもあり、取水制限がとられる河川もあった。

 一方、沖縄・奄美では、月の後半を中心に梅雨前線の南側に入ることが多く、太平洋高気圧に覆われやすかったため、降水量は少なく、日照時間は多かった。また、晴れて日射が強かったことに加え、南から暖かい空気が流れ込みやすかったため、気温はかなり高かった。


7月: 月の前半は、本州付近に南からの暖かく湿った空気が流れ込みやすく、梅雨前線の活動が西日本付近で活発だったため、西日本では九州を中心に所々で大雨となり、九州南部の月降水量はかなり多くなった。また、日本海から北日本付近を低気圧がたびたび通過したため、北日本日本海側でも大雨となった所があった。一方、東日本付近では梅雨前線の活動は全般に不活発だったため、東日本太平洋側と東北地方の月降水量は少なかった。月の後半は、本州付近は北に偏った高気圧に覆われたため、北日本日本海側を中心に日本海側で晴れの日が多かった一方、北・東日本太平洋側では冷たく湿った東よりの風の影響で曇りの日が多かった。月の終わり頃は、本州付近は太平洋高気圧に覆われ、東北以南では晴れたが、北海道では前線や低気圧の影響で雨が降り、大雨となった所があった。

 沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多かったが、7日から8日にかけて沖縄の南を西北西へ進んだ台風第1号や南からの暖かく湿った気流の影響で月降水量は多かった。

 気温は、北日本では、月の初めや終わり頃は暖かい空気に覆われて高温だったが、上旬の中頃の寒気や月の後半に冷たく湿った東よりの風の影響を受けた影響で、月平均気温は平年並となった。東日本では、月の前半は暖かい空気に覆われて高温だったが、月の後半は冷たく湿った東よりの風の影響で低温となる時期があり、気温の変動が大きく、月平均気温は高かった。西日本では、上旬と月の終わり頃に暖かい空気に覆われ猛暑日となった所もあり、月平均気温は高かった。沖縄・奄美では、台風第1号や湿った気流の影響があった上旬の後半を除いて、太平洋高気圧に覆われて晴れて暖かい空気に覆われたため、月平均気温は平年差+0.9℃で1946年の統計開始以来1位タイの高温となった。


8月: 高気圧に覆われてほぼ全国的に月間日照時間が多く、強い日射を受けて全国的に月平均気温は高かった。特に、黄海付近を中心に高気圧の勢力が強く、上空も気圧の尾根となり背の高い高気圧に覆われたため、月平均気温は沖縄・奄美でかなり高かった。西日本でも下旬の中頃までは背の高い高気圧に覆われやすく気温はかなり高く経過し、下旬の終わりは寒気が流れ込みかなりの低温となった日もあったものの月平均気温は高かった。また、北日本日本海側と西日本では、月間日照時間はかなり多く、西日本太平洋側と沖縄・奄美では月降水量が少なかった。

一方、日本の南海上では対流活動が活発だった。月の後半は日本のはるか東で高気圧の勢力が強まり、その西縁にあたる東日本太平洋側から北日本を中心に台風や湿った気流の影響を受けやすかった。月降水量は、台風第5号、第6号、第7号、第11号、第9号、第10号が相次いで接近・上陸し、前線や湿った気流の影響も加わり北日本でかなり多く、東日本太平洋側でも多かった。北日本太平洋側の月降水量は、平年比231%となり、8月として1位の多雨となった(統計開始は1946年)。

なお、日本に上陸した台風は4個(第7号、第11号、第9号、第10号)で平年値0.9個を大きく上回り、ひと月の上陸数の多い方から1位タイとなった(統計開始は1951年)。また、日本に接近した台風は5個で平年値3.4個を上回った。

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