日本の月の天候 ------------------ 対象期間:
2022年(令和4年)8月の特徴:
○気温は沖縄・奄美でかなり高かった
暖かい空気に覆われやすかった沖縄・奄美では、月平均気温がかなり高かった。
○降水量は北・東日本日本海側と北日本太平洋側でかなり多かった一方、沖縄・奄美でかなり少なかった
北・東日本日本海側と北日本太平洋側では、前線や湿った空気の影響を受けやすかったため月降水量はかなり多かった。一方、沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かったため、月降水量はかなり少なかった。
○日照時間は沖縄・奄美でかなり多かった
沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かったため、月間日照時間がかなり多かった。
概況

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
北・東日本日本海側と北日本太平洋側では、上旬から中旬にかけて前線や湿った空気の影響を受けやすかったため月降水量がかなり多く、月間日照時間が少なかった。3日から4日にかけては北・東日本日本海側の各地で線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となった所があった。また、中旬には停滞前線の影響などで北・東日本日本海側では旬降水量が記録的に多くなった。東日本太平洋側では、暖かく湿った空気の影響を受けやすく、また、13日に伊豆半島に上陸した台風第8号の影響でまとまった雨が降ったため、月降水量が多く、月間日照時間は少なかった。西日本では、上旬を中心に太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多く、その後も暖かい空気に覆われたため月平均気温が高かった。沖縄・奄美は、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多く、暖かい空気に覆われやすかったため、月平均気温がかなり高く、月降水量がかなり少なく、月間日照時間がかなり多かった。
平均気温:沖縄・奄美でかなり高く、西日本で高かった。北・東日本で平年並だった。
降 水 量:北・東日本日本海側と北日本太平洋側でかなり多く、東日本太平洋側で多かった。一方、沖縄・奄美でかなり少なかった。西日本日本海側と西日本太平洋側では平年並だった。
日照時間:沖縄・奄美でかなり多かった。一方、北・東日本日本海側と北・東日本太平洋側で少なかった。西日本日本海側と西日本太平洋側では平年並だった。
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2022年8月の地域平均気候表
※本文中の北・東・西日本の降水量・日照時間の特徴は、地域平均気候表における日本海側・太平洋側の階級に基づいて記述している。
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月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 | 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
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天候経過
上旬
北日本では、低気圧や前線、湿った空気の影響を受けやすかったため曇りや雨の日が多く、北日本日本海側と北日本太平洋側の旬降水量はかなり多かった。東日本では、旬の中頃は前線や湿った空気の影響で曇りや雨となったが、旬のはじめと終わりは太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かった。3日から4日にかけては青森県、秋田県、山形県、新潟県、福井県で線状降水帯が発生するなど、記録的な大雨となった所があった。一方、西日本と沖縄・奄美では太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多く、沖縄・奄美の旬間日照時間はかなり多かった。気温は、西日本を中心に暖かい空気に覆われやすく、晴れて気温が平年を上回った日が多かったため、西日本の旬平均気温はかなり高かった。
旬平均気温:西日本でかなり高く、東日本で高かった。北日本と沖縄・奄美では平年並だった。
旬降水量:北日本日本海側と北日本太平洋側でかなり多く、東日本日本海側で多かった。一方、沖縄・奄美で少なかった。西日本日本海側と東・西日本太平洋側では平年並だった。
旬間日照時間:沖縄・奄美でかなり多く、西日本日本海側と西日本太平洋側で多かった。一方、北日本日本海側と北日本太平洋側で少なかった。東日本日本海側と東日本太平洋側では平年並だった。
中旬
北・東・西日本では、低気圧や前線、湿った空気の影響を受けやすかったため、曇りや雨の日が多く、各地で大雨となった。また、13日は伊豆半島に上陸した台風第8号の影響で東日本太平洋側を中心にまとまった雨が降った。このため、旬降水量は北・東・西日本日本海側と北・東日本太平洋側でかなり多く、平年比は北日本日本海側で249%、東日本日本海側で347%となり、それぞれ1946年の統計開始以降、8月中旬として1位の多雨となった。一方、沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多く、また、暖かい空気に覆われやすかったため、旬平均気温はかなり高かった。
旬平均気温:沖縄・奄美でかなり高く、西日本で高かった。北・東日本では平年並だった。
旬降水量:北・東・西日本日本海側と北・東日本太平洋側でかなり多く、西日本太平洋側で多かった。一方、沖縄・奄美で少なかった。
旬間日照時間:東・西日本日本海側と東・西日本太平洋側で少なかった。一方、沖縄・奄美で多かった。北日本日本海側と北日本太平洋側では平年並だった。
下旬
北日本では、天気は数日の周期で変化したが移動性高気圧に覆われた日が多かったため、北日本日本海側は旬降水量が少なかった。東・西日本では、旬の前半は低気圧や暖かく湿った空気の影響を受けて大雨となった所があった。旬の後半は、動きの遅い前線の影響などで、東日本では曇りや雨の日が多い一方、西日本では移動性高気圧に覆われて晴れた所が多かった。沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われて、晴れて気温が高い日が多かったため、旬平均気温がかなり高く、平年差は+1.4℃となり、1946年の統計開始以降、8月下旬として1位の高温となった。
旬平均気温:沖縄・奄美でかなり高く、西日本で高かった。北・東日本では平年並だった。
旬降水量:北日本日本海側で少なく、東・西日本日本海側と北・東・西日本太平洋側、沖縄・奄美では平年並だった。
旬間日照時間:東日本日本海側と東日本太平洋側で少なかった。北・西日本日本海側と北・西日本太平洋側、沖縄・奄美では平年並だった。
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
極東循環場の特徴
500hPa天気図:中国東北区付近の気圧の谷に伴って偏西風が日本海北部で南に蛇行して強かったため、北日本と東日本日本海側では低気圧や前線の影響を受けやすかった。一方、亜熱帯高気圧に相当する高度5880m以上の領域が西日本と沖縄・奄美を覆った。このため、西日本と沖縄・奄美では暖かい空気に覆われ、また、沖縄・奄美では太平洋高気圧に覆われやすかった。
海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、華南から日本の南海上で正偏差、本州付近では負偏差で、太平洋高気圧が日本の南海上で平年より強く西に張り出す一方、本州付近への張り出しが弱かった。一方、上空の気圧の谷に対応して沿海州付近には低気圧があった。これらにより、北日本と東日本日本海側を中心に前線や湿った空気の影響を受けやすい一方、沖縄・奄美を中心に太平洋高気圧の影響を受けやすかった。外向き長波放射量偏差は、太平洋赤道域の西部から日付変更線付近にかけて正偏差が見られ、対流活動が不活発だった。一方、インド洋熱帯域の東部からインドネシアにかけては負偏差で、対流活動が活発だった。
850hPa気温:北日本の一部に負偏差域がかかるものの、日本付近はほぼ全域で正偏差。特に、華中から東シナ海にかけては正偏差が強く、沖縄・奄美を中心に暖かい空気に覆われた。
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月平均500hPa高度・偏差分布図 | 月平均850hPa気温・偏差分布図 |
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月平均海面更正気圧・偏差分布図 | 月平均外向き長波放射量・偏差分布図 |
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
記録と台風
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函館 深浦 青森 むつ 八戸 福井
室戸岬
父島
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第8号(静岡県伊豆半島付近13日)