日本の月の天候 ------------------ 対象期間:
2022年(令和4年)6月の特徴:
○東・西日本の気温はかなり高く、下旬は記録的な高温となった
月の前半はオホーツク海高気圧の影響などで冷たい空気が流れ込み、全国的に気温が平年を下回ったが、月の後半は太平洋高気圧が強まり暖かい空気が流れ込みやすかったため、月平均気温は東・西日本でかなり高かった。特に下旬は東・西日本で記録的な高温となった。
○西日本太平洋側の降水量はかなり少なく、東日本日本海側と西日本太平洋側の日照時間はかなり多かった
本州付近は低気圧や梅雨前線の影響を受けにくかったため、西日本太平洋側の月降水量はかなり少なく、東日本日本海側と西日本太平洋側の月間日照時間はかなり多かった。下旬には太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、梅雨前線が北上したため、東・西日本の各地と東北南部では記録的に早く梅雨明けしたとみられる(速報値)。
○北日本日本海側と北日本太平洋側の降水量はかなり多く、沖縄・奄美の降水量は多かった
気圧の谷や湿った空気の影響を受けやすかったため、北日本日本海側と北日本太平洋側の月降水量はかなり多かった。また、梅雨前線が沖縄付近に停滞することが多かったため、沖縄・奄美の月降水量は多かった。
概況

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
上旬から中旬にかけて、北・東日本では、低気圧や気圧の谷、オホーツク海高気圧から流れ込む冷たく湿った空気の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多かった。太平洋高気圧の張り出しが弱く、梅雨前線は沖縄付近に停滞することが多かったため、沖縄・奄美では曇りや雨の日が多かった。西日本は、梅雨前線や前線上を東進した低気圧の影響を受けた時期があり、曇りや雨の日があったが、日本海側を中心に高気圧に覆われて晴れた日もあった。東・西日本では、まとまった降水とならなかった所が多かった。下旬は、太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、梅雨前線が北日本まで北上した。このため、北日本は梅雨前線や低気圧の影響を受けて曇りや雨の日が多く、大雨となった所があった。一方、東・西日本と沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多かった。東・西日本の各地と東北南部では記録的に早く梅雨明けしたとみられる(速報値)。月降水量は、北日本日本海側と北日本太平洋側でかなり多かった一方、西日本太平洋側でかなり少なく、月間日照時間は東日本日本海側と西日本太平洋側でかなり多かった。気温は、月の前半は冷たい空気が流れ込みやすかったため、全国的に平年を下回ったが、月の後半は太平洋高気圧が強まり、全国的に暖かい空気が流れ込みやすく、高気圧に覆われて晴れた東・西日本を中心に平年を上回った。月平均気温は東・西日本でかなり高く、特に下旬は東・西日本で記録的な高温となり、地点でみると、全国の914の観測地点のうち、12地点で通年の日最高気温の高い方からの1位の値を記録(タイを含む)し、338地点で6月の日最高気温の高い方からの1位の値を記録(タイを含む)した。
平均気温:東・西日本でかなり高く、沖縄・奄美で高かった。北日本では平年並だった。
降 水 量:北日本日本海側と北日本太平洋側でかなり多く、沖縄・奄美で多かった。一方、西日本太平洋側でかなり少なく、東・西日本日本海側と東日本太平洋側で少なかった。
日照時間:北日本太平洋側で少なかった。一方、東日本日本海側と西日本太平洋側でかなり多く、東日本太平洋側と西日本日本海側で多かった。北日本日本海側と沖縄・奄美では平年並だった。
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2022年6月の地域平均気候表
※本文中の北・東・西日本の降水量・日照時間の特徴は、地域平均気候表における日本海側・太平洋側の階級に基づいて記述している。
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月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 | 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
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天候経過
上旬
北日本では、低気圧や気圧の谷、オホーツク海高気圧から流れ込む冷たく湿った空気の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多かったため、旬平均気温はかなり低かった。東・西日本では、旬のはじめは高気圧に覆われて晴れた日が多かったが、関東地方を中心に大気の状態が不安定となった日があり、各地でひょうの被害が相次いだ。旬の中頃は低気圧や前線の通過によりまとまった降水となったが、旬の終わりは西日本を中心に高気圧に覆われて晴れた日が多かった一方、東日本太平洋側では気圧の谷や湿った空気の影響を受けやすく曇りや雨となった所があった。このため、旬間日照時間は西日本太平洋側でかなり多かった。また、関東甲信地方は6日ごろに梅雨入りしたとみられる。気温は、期間の後半を中心に冷涼な空気の影響を受けやすく平年を下回った。沖縄・奄美では、梅雨前線や湿った空気の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多く、旬間日照時間はかなり少なかった。気温は、旬の前半は暖かい空気が流れ込み平年を上回ったが、旬の後半は冷涼な空気の影響を受けやすく平年を下回った。
旬平均気温:北日本でかなり低く、東日本で低かった。西日本と沖縄・奄美では平年並だった。
旬降水量:北・東・西日本日本海側、北・東日本太平洋側と沖縄・奄美で多かった。西日本太平洋側では平年並だった。
旬間日照時間:西日本太平洋側でかなり多く、西日本日本海側で多かった。一方、沖縄・奄美でかなり少なく、北日本太平洋側で少なかった。北・東日本日本海側と東日本太平洋側では平年並だった。
中旬
北日本では、天気は数日の周期で変化した。東・西日本と沖縄・奄美では、東シナ海から本州南岸付近に停滞した梅雨前線や前線上を東進した低気圧の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多かったが、東・西日本ではまとまった降水とならなかった所が多く、日本海側を中心に高気圧に覆われて晴れた日もあった。九州南部、九州北部地方では11日ごろ、四国地方では13日ごろ、中国地方、近畿地方、東海地方、北陸地方では14日ごろ、東北南部、東北北部では15日ごろに梅雨入りしたとみられる。一方、沖縄地方では、旬の終わりに太平洋高気圧に覆われて晴れた所が多くなり、20日ごろに梅雨明けしたとみられる。気温は、北・東・西日本では旬の前半は冷涼な空気の影響で平年を下回る日が多かったが、旬の後半は暖かい空気が流れ込み平年を上回る日が多かった。沖縄・奄美では旬のはじめと終わりを中心に暖かい空気が流れ込み平年を上回る日があった。
旬平均気温:全国で平年並だった。
旬降水量:東・西日本日本海側と東・西日本太平洋側で少なかった。一方、沖縄・奄美で多かった。北日本日本海側と北日本太平洋側では平年並だった。
旬間日照時間:東・西日本太平洋側で少なかった。北・東・西日本日本海側、北日本太平洋側、沖縄・奄美では平年並だった。
下旬
旬のはじめは梅雨前線が本州付近に北上し、東・西日本を中心に曇りや雨となった。一方、奄美地方では太平洋高気圧に覆われて晴れた所が多くなり、22日ごろに梅雨明けしたとみられる。24日から25日にかけては前線を伴った低気圧が北日本を通過し、北日本から西日本で雨となった。その後、太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、梅雨前線は北日本まで北上した。このため、北日本では低気圧や梅雨前線の影響を受けて曇りや雨となり、大雨となった所があった。一方、東・西日本と沖縄・奄美を中心に太平洋高気圧に覆われて晴れの日が続いた。九州南部、東海、関東甲信は27日ごろ、九州北部、四国、中国、近畿、北陸は28日ごろ、東北南部は29日ごろに梅雨明けしたとみられ、1951年以降で最も早い記録となった地方が多かった(速報値)。高気圧に覆われやすかったため、旬間日照時間は、東・西日本日本海側と東・西日本太平洋側でかなり多く、沖縄・奄美で多かった。東日本太平洋側の旬間日照時間は平年比207%で、1946年の統計開始以降、6月下旬として1位の多照となった。また、旬降水量は西日本太平洋側でかなり少なく、東・西日本日本海側と東日本太平洋側で少なかった。一方、北日本は低気圧や前線の影響で大雨となった所があり、旬降水量は北日本日本海側と北日本太平洋側でかなり多く、北日本日本海側の旬降水量は平年比317%で、1946年の統計開始以降、6月下旬として1位の多雨となった。暖かい空気が流れ込みやすかったため、旬平均気温は北・東・西日本でかなり高く、平年差は東日本で+4.0℃、西日本で+3.2℃となり、それぞれ1946年の統計開始以降、6月下旬として1位の高温となった。23日以降は東・西日本を中心に猛暑日となった所があり、群馬県伊勢崎市で25日に日最高気温40.2℃、29日に40.0℃を観測した。
旬平均気温:北・東・西日本でかなり高く、沖縄・奄美で高かった。
旬降水量:北日本日本海側と北日本太平洋側でかなり多かった。一方、西日本太平洋側でかなり少なく、東・西日本日本海側と東日本太平洋側で少なかった。沖縄・奄美では平年並だった。
旬間日照時間:東・西日本日本海側と東・西日本太平洋側でかなり多く、沖縄・奄美で多かった。一方、北日本日本海側で少なかった。北日本太平洋側では平年並だった。
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
極東循環場の特徴
500hPa天気図:寒帯前線ジェット気流は東シベリア付近で北に蛇行し、ブロッキング高気圧を形成した。これは、月の前半はオホーツク海高気圧が強かったことや、日本付近の上空に寒気が入りやすかったことに対応している。また、亜熱帯ジェット気流は、月の前半は日本付近で平年より南を流れ、沖縄・奄美から日本の南にかけて梅雨前線が停滞しやすかった。月の後半は日本付近で平年より北を流れ、上層の高気圧が強まって暖かい空気に覆われたことと、下降気流による断熱昇温で高温となった。
海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、日本の東は負偏差だが、本州付近では正偏差で、梅雨前線が本州付近に停滞する時期があったものの、月の後半は太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、東日本から沖縄・奄美にかけて高気圧に覆われたことと対応している。また、オホーツク海付近は正偏差で、月の前半はオホーツク海高気圧が強かった。外向き長波放射量偏差は、太平洋赤道域の西部から日付変更線付近にかけて正偏差が見られ、対流活動が不活発だった。一方、インド洋熱帯域の東部と東シナ海は負偏差で、対流活動が活発だった。
850hPa気温:北日本は負偏差で、月の前半は北日本を中心に冷たく湿った空気が流れ込みやすかった。一方、東日本から沖縄・奄美にかけては正偏差で、月の後半を中心に暖かい空気に覆われた。
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月平均500hPa高度・偏差分布図 | 月平均850hPa気温・偏差分布図 |
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月平均海面更正気圧・偏差分布図 | 月平均外向き長波放射量・偏差分布図 |
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
記録と台風
金沢 富山 松江 境 米子 鳥取 萩 浜田 彦根 厳原 平戸 宇和島 宿毛
旭川 江差
第3号(30日)
関東甲信地方(6日ごろ) 九州南部、九州北部地方(11日ごろ) 四国地方(13日ごろ) 中国地方、近畿地方、東海地方、北陸地方(14日ごろ) 東北南部、東北北部(15日ごろ)
沖縄地方(20日ごろ) 奄美地方(22日ごろ) 九州南部、東海地方、関東甲信地方(27日ごろ) 九州北部地方、四国地方、中国地方、近畿地方、北陸地方(28日ごろ) 東北南部(29日ごろ)