日本の月の天候 ------------------ 対象期間:
2021年(令和3年)7月の特徴:
○北日本の気温はかなり高く、降水量はかなり少なく、北・東日本日本海側の日照時間はかなり多かった
中旬以降は北日本を中心に高気圧に覆われて晴れた日が多かったため、北日本の気温はかなり高く、降水量はかなり少なく、北・東日本日本海側の日照時間はかなり多かった。北日本日本海側では、7月として1946年の統計開始以降で1位の多照となった。
○東日本太平洋側の降水量はかなり多かった
東日本太平洋側は上旬に梅雨前線の影響で大雨となり、降水量はかなり多かった。
○沖縄・奄美の気温は低く、降水量は多く、日照時間は少なかった
期間の後半に台風第6号が沖縄地方にゆっくり接近し、台風の影響が長時間に渡ったため、沖縄・奄美の気温は低く、降水量は多く、日照時間は少なかった。
概況

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
28日には台風第8号が東北地方に上陸して横断したが、中旬以降は北日本を中心に高気圧に覆われて晴れることが多かったため、北・東日本日本海側の日照時間はかなり多く、北日本太平洋側と西日本日本海側で多かった。北日本日本海側の日照時間は平年比162%で、7月として1946年の統計開始以降で1位の多照となった。また、北日本で猛暑日を観測する地点があるなど気温はかなり高く、降水量はかなり少なかった。一方、東日本太平洋側は上旬に梅雨前線の影響で大雨となり、降水量はかなり多く、土砂災害等の被害が発生した所もあった。西日本は上旬を中心に暖かい空気が流れ込みやすく、気温は高かった。沖縄・奄美は期間の前半は太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多かったが、後半は台風第6号が沖縄地方にゆっくり接近し、台風の影響が長時間に渡ったため、気温は低く、降水量は多く、日照時間は少なかった。
平均気温:北日本でかなり高く、西日本で高かった。一方、沖縄・奄美で低かった。東日本では平年並だった。
降 水 量:北日本でかなり少なかった。一方、東日本太平洋側でかなり多く、沖縄・奄美で多かった。東日本日本海側と西日本では平年並だった。
日照時間:北・東日本日本海側でかなり多く、北日本太平洋側と西日本日本海側で多かった。一方、沖縄・奄美で少なかった。東・西日本太平洋側では平年並だった。
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2021年7月の地域平均気候表
※本文中の北・東・西日本の降水量・日照時間の特徴は、地域平均気候表における日本海側・太平洋側の階級に基づいて記述している。
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月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 | 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
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天候経過
上旬
梅雨前線は本州付近に停滞し、北・東・西日本では曇りや雨の日が多かったため、北・東日本太平洋側の旬間日照時間はかなり少なく、東日本日本海側と西日本で少なかった。1日は伊豆諸島で線状降水帯が発生するなど、期間のはじめは東日本太平洋側を中心に大雨となり、土砂災害等の被害が発生した所があった。東日本太平洋側の旬降水量は平年比287%でかなり多く、7月上旬として1946年の統計開始以降で1位の多雨となった。また、7日は鳥取県と島根県、10日は鹿児島県で線状降水帯が発生し、期間の中頃からは西日本を中心に大雨となり、河川氾濫等の被害が発生した所があった。東日本日本海側と西日本の旬降水量は多かった。西日本は期間の中頃までは太平洋高気圧の縁を回る暖かい空気が流れ込みやすく、旬平均気温は高かった。沖縄・奄美では高気圧に覆われて晴れた日が多く、旬降水量は少なく、旬間日照時間は多かった。2日ごろには沖縄地方で、3日ごろには奄美地方で梅雨明けしたとみられる(速報値)。
旬平均気温:西日本で高く、北・東日本と沖縄・奄美で平年並だった。
旬降水量:東日本太平洋側でかなり多く、東日本日本海側と西日本で多かった。一方、北日本日本海側と沖縄・奄美で少なかった。北日本太平洋側で平年並だった。
旬間日照時間:北・東日本太平洋側でかなり少なく、東日本日本海側と西日本で少なかった。一方、沖縄・奄美で多かった。北日本日本海側で平年並だった。
中旬
北・東日本と西日本日本海側では高気圧に覆われて晴れた日が多く、北日本と東日本日本海側の旬間日照時間はかなり多く、東日本太平洋側と西日本日本海側で多かった。北日本日本海側と北日本太平洋側の旬間日照時間はそれぞれ平年比208%と196%で、7月中旬として1961年の統計開始以降で1位の多照となった。北日本では期間の後半は猛暑日を観測する地点があるなど、旬平均気温はかなり高かった。また、北日本の旬降水量はかなり少なく、東・西日本日本海側で少なかった。太平洋高気圧は日本の東から本州付近にゆっくりと張り出したため、西日本太平洋側は高気圧の南側となり東から流入する湿った空気の影響を受けやすく、旬降水量は多かった。梅雨前線は次第に不明瞭となったが、本州付近は期間の半ばまでは上空の寒気の影響を受け、大気の状態が不安定となった所があった。上空の寒気の影響は次第に縮小し、11日ごろには九州南部で、13日ごろには九州北部地方と中国地方で、14日ごろには北陸地方で、16日ごろには関東甲信地方と東北南部と東北北部で、17日ごろには近畿地方と東海地方で、19日ごろには四国地方で梅雨明けしたとみられる(速報値)。沖縄・奄美は期間の半ばまでは太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かったが、期間の終わりは台風第6号が沖縄地方に接近して曇りや雨となり、旬平均気温、旬降水量、旬間日照時間ともに平年並だった。
旬平均気温:北日本でかなり高く、東・西日本と沖縄・奄美で平年並だった。
旬降水量:北日本でかなり少なく、東・西日本日本海側で少なかった。一方、西日本太平洋側で多かった。東日本太平洋側と沖縄・奄美で平年並だった。
旬間日照時間:北日本と東日本日本海側でかなり多く、東日本太平洋側と西日本日本海側で多かった。西日本太平洋側と沖縄・奄美で平年並だった。
下旬
北・東・西日本では、期間の半ばまでは高気圧に覆われて晴れた日が多かったが、28日に台風第8号が東北地方に上陸して横断し、北日本や東日本日本海側では曇りや雨となった。北・東日本日本海側と西日本の旬間日照時間はかなり多く、北・東日本太平洋側で多かった。北日本日本海側の旬間日照時間は平年比191%で、7月下旬として1961年の統計開始以降で1位の多照となった。北日本日本海側と西日本の旬降水量はかなり少なく、北日本太平洋側で少なかった。北日本の旬平均気温は平年差+3.0℃でかなり高く、7月下旬として1946年の統計開始以降で1位の高温となり、猛暑日を観測した地点もあった。沖縄・奄美では期間の前半に台風第6号が沖縄地方をゆっくり接近し、台風の影響が長時間に渡ったため、曇りや雨の日が多かった。沖縄・奄美の旬平均気温はかなり低く、旬降水量はかなり多く、旬間日照時間はかなり少なかった。
旬平均気温:北日本でかなり高かった。一方、沖縄・奄美でかなり低かった。東・西日本で平年並だった。
旬降水量:北日本日本海側と西日本でかなり少なく、北日本太平洋側で少なかった。一方、沖縄・奄美でかなり多かった。東日本で平年並だった。
旬間日照時間:北・東日本日本海側と西日本でかなり多く、北・東日本太平洋側で多かった。一方、沖縄・奄美でかなり少なかった。
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
極東循環場の特徴
500hPa高度:偏西風は日本付近で北へ蛇行し、高度はサハリン付近を中心に北日本で正偏差となった。北日本では上層の高気圧が強まって暖かい空気に覆われたことと、下降気流による断熱昇温やよく晴れたことで高温、少雨、多照となった。日本の南東から沖縄・奄美にかけての高度は広く負偏差となった。
海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、北・東・西日本は正偏差で、北日本を中心に高気圧に覆われやすかった。日本の東には等圧線のくびれが見られ、梅雨前線が本州付近に停滞する時期があった。日本の南東から中国大陸にかけては台風の影響で負偏差となった。外向き長波放射量平年偏差は、フィリピンの東海上から日本の南東にかけては負偏差で対流活動が活発だった。日本海から北海道にかけては高気圧に覆われやすく正偏差だった。
850hPa気温:サハリン付近を中心に北日本で正偏差となった。本州南岸から西日本の一部は負偏差に覆われた。
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月平均500hPa高度・偏差分布図 | 月平均850hPa気温・偏差分布図 |
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月平均海面更正気圧・偏差分布図 | 月平均外向き長波放射量・偏差分布図 |
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
記録と台風
稚内 羽幌 留萌 旭川 小樽 札幌 岩見沢* 釧路 江差倶知安 秋田 酒田* (*はタイ記録)
千葉
稚内* 羽幌 留萌 旭川 網走 札幌 岩見沢 倶知安 紋別 (*はタイ記録)
稚内 羽幌 留萌 小樽 札幌 岩見沢 寿都 江差 倶知安 紋別 深浦
第6号(18日) 第7号(19日) 第8号(23日)
第6号(沖縄地方) 第8号(東海地方、伊豆諸島・小笠原諸島、関東甲信地方、北陸地方、東北地方、北海道地方)
沖縄地方(2日ごろ) 奄美地方(3日ごろ) 九州南部(11日ごろ) 九州北部地方、中国地方(13日ごろ) 北陸地方(14日ごろ) 関東甲信地方、東北南部、東北北部(16日ごろ) 近畿地方、東海地方(17日ごろ) 四国地方(19日ごろ)