日本の月の天候 ------------------ 対象期間:

令和3年7月15日 作成

2021年(令和3年)6月の特徴:

○全国的に気温は高く、特に北日本ではかなり高かった

本州付近では晴れた日が多く、また全国的に南から暖かい空気が流れ込んだ時期があったため、気温は北日本でかなり高く、東・西日本と沖縄・奄美で高かった。

○北・東・西日本では、降水量が少なく日照時間が多い地方が多かった

本州付近は梅雨前線の影響を受けにくく、高気圧に覆われやすかったため、北・西日本と東日本太平洋側の降水量は少なかった。また、日照時間は北・東日本と西日本日本海側で多く、特に北日本太平洋側と北日本日本海側ではかなり多く、それぞれ1946年の統計開始以降で6月として最も多い記録を更新した。

○沖縄・奄美の降水量はかなり多く、日照時間はかなり少なかった

梅雨前線が日本の南海上に停滞しやすかったため、沖縄・奄美の降水量はかなり多く、日照時間はかなり少なかった。

概況

地域平均気温経過図

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図

太平洋高気圧の北への張り出しが例年より弱く、梅雨前線は日本の南海上に停滞しやすかった。梅雨前線の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多かった沖縄・奄美では、月降水量がかなり多く、月間日照時間がかなり少なかった。29日は沖縄本島地方で線状降水帯が発生し、記録的な大雨となった。一方、本州付近は梅雨前線の影響を受けにくく、高気圧に覆われやすかったため晴れた日が多かった。東・西日本では上空に寒気が流れ込んで大気の状態が不安定となり、局地的に雷雨が発生した日もあったが、北日本では気圧の谷の影響を受けにくかった。このため、北・西日本と東日本太平洋側の月降水量は少なかった。また、北・東日本と西日本日本海側では月間日照時間が多く、特に北日本の月間日照時間はかなり多く、北日本太平洋側と北日本日本海側の平年比はそれぞれ132%、136%となり、1946年の統計開始以降で6月として最も多い記録を更新した。

本州付近では晴れた日が多かったため、強い日射の影響を受けやすかった。また、北日本では上旬を中心に高気圧の通過後に南から暖かい空気が流れ込みやすく、沖縄・奄美では台風第3号の前面や梅雨前線に向かう南よりの風の影響で暖かい空気が流れ込みやすい時期があった。このため、月平均気温は全国的に高く、特に北日本ではかなり高かった。

平均気温:北日本でかなり高く、東・西日本と沖縄・奄美で高かった。

降 水 量:沖縄・奄美でかなり多かった。一方、北・西日本と東日本太平洋側で少なかった。東日本日本海側では平年並だった。

日照時間:北日本でかなり多く、東日本と西日本日本海側で多かった。一方、沖縄・奄美でかなり少なかった。西日本太平洋側では平年並だった。

月TRS分布図 旬別RS経過図
月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図

天候経過


    上旬

     梅雨前線は日本の南海上に停滞しやすく、5日頃は台風第3号の影響を受けたため、沖縄・奄美では曇りや雨の日が多く、旬降水量は多かった。本州付近は高気圧に覆われやすく晴れた日が多かったため、旬間日照時間は北日本でかなり多く、東・西日本で多かった。北日本太平洋側の旬間日照時間平年比は156%で、1961年の統計開始以降で6月上旬として1位の多照だった。一方、3日から4日に前線を伴った低気圧が通過したため全国的にまとまった雨が降り、北日本を中心に大荒れの天気となった。このため、北日本と東・西日本日本海側の旬降水量は多かった。期間の終わりは北・東・西日本では暖かい空気に覆われやすく、晴れて強い日射の影響を受け、9日には猛暑日となった所もあった。暖かい空気が流れ込みやすい日もあったため、全国的に旬平均気温は高く、特に北・西日本ではかなり高くなった。

     旬平均気温:北・西日本ではかなり高く、東日本と沖縄・奄美で高かった。

     旬降水量:北日本、東・西日本日本海側、沖縄・奄美では多く、東・西日本太平洋側で平年並だった。

     旬間日照時間:北日本ではかなり多く、東・西日本で多かった。沖縄・奄美では平年並だった。


    中旬

     北日本では、期間のはじめを中心に高気圧に覆われやすく晴れた日が多かったが、15日頃からは北海道オホーツク海側ではオホーツク海高気圧の影響で気温が平年を下回る日が多かった。気圧の谷の影響を受けやすかった東日本日本海側や、九州付近に停滞した梅雨前線の影響を受けやすかった西日本の旬間日照時間は少なかったが、湿った空気が流れ込みにくかった沖縄・奄美の旬降水量は少なかった。関東甲信地方では14日ごろ、北陸地方は18日ごろ、東北南部と東北北部は19日ごろに梅雨入りしたとみられる(速報値)。

     旬平均気温:全国的に高かった。

     旬降水量:北日本日本海側と沖縄・奄美では少なく、北日本太平洋側と東・西日本で平年並だった。

     旬間日照時間:北日本日本海側では多かった。一方、東日本日本海側と西日本では少なかった。北・東日本太平洋側と沖縄・奄美で平年並だった。


    下旬

     梅雨前線が日本の南海上に停滞しやすかったため、沖縄・奄美では曇りや雨の日が多く、29日は沖縄本島地方で線状降水帯が発生し、記録的な大雨となった。このため、旬平均気温はかなり低く、旬降水量はかなり多く、旬間日照時間はかなり少なかった。沖縄・奄美の旬降水量平年比は650%で1946年の統計開始以降、旬間日照時間平年比は33%で1961年の統計開始以降、それぞれ6月下旬として1位の多雨と寡照となった。一方、北・東・西日本では、上空に寒気が入って大気の状態が不安定となって雷雨となった所があり、27日頃は台風第5号に伴って湿った空気が流れ込んで東・西日本太平洋側を中心に曇りや雨となったが、梅雨前線の影響を受けにくく、高気圧に覆われて晴れる日があった。このため、北日本太平洋側、東日本日本海側、西日本の旬降水量はかなり少なく、西日本日本海側の旬間日照時間はかなり多かった。

     旬平均気温:沖縄・奄美でかなり低かった。一方、北日本で高かった。東・西日本では平年並だった。

     旬降水量:沖縄・奄美でかなり多かった。一方、北日本太平洋側、東日本日本海側、西日本でかなり少なく、北日本日本海側と東日本太平洋側で少なかった。

     旬間日照時間:西日本日本海側でかなり多く、北日本、東日本日本海側、西日本太平洋側で多かった。一方、沖縄・奄美でかなり少なかった。東日本太平洋側では平年並だった。

    ※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。

極東循環場の特徴

      500hPa高度:亜熱帯ジェット気流が日本付近で南へ蛇行しやすかったことに対応して日本の南海上は負偏差で、亜熱帯高気圧の西への張り出しは弱かった。寒帯前線ジェット気流はユーラシア大陸の東部で分流し、中国東北区付近では南へ大きく蛇行したことに対応して負偏差で、寒気を伴った気圧の谷となっていた。本州付近には一時的にこの寒気が流れ込んで大気の状態が不安定となることもあったが、北日本を中心に正偏差だった。

      海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、日本海から日本の東海上は正偏差で、北日本を中心に高気圧に覆われやすかった一方、中国東北区からオホーツク海は負偏差で、日本の北を低気圧が通過しやすかった。華中から日本の南は負偏差で等圧線のくびれが見られ、沖縄・奄美では梅雨前線の影響を受けやすかった。外向き長波放射量平年偏差は、フィリピンの東は正偏差で対流活動が不活発だったのに対して、梅雨前線が停滞しやすかった沖縄・奄美付近は負偏差で対流活動が活発だった。

      850hPa気温:北日本は正偏差に覆われたが、本州南岸は負偏差がみられた。日本の南海上は広く正偏差だった。

月平均500hPa高度・偏差分布図 月平均850hPa気温・偏差分布図
月平均500hPa高度・偏差分布図 月平均850hPa気温・偏差分布図
月平均海面更正気圧・偏差分布図 月平均外向き長波放射量(OLR)偏差分布図
月平均海面更正気圧・偏差分布図 月平均外向き長波放射量・偏差分布図

    ※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。

記録と台風

  • 月平均気温の高い記録
  • 小樽* 帯広 広尾 (*はタイ記録)

  • 月降水量の多い記録
  • 与那国島 久米島 那覇

  • 月間日照時間の少ない記録
  • 小樽 岩見沢 倶知安

  • 台風の発生(速報値、日本時間)
  • 第4号(12日) 第5号(23日)

  • 台風の接近(速報値)
  • 第3号(沖縄地方) 第5号(伊豆諸島・小笠原諸島)

  • 梅雨入り(速報値)
  • 関東甲信地方(14日ごろ) 北陸地方(18日ごろ) 東北南部、東北北部(19日ごろ)

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