日本の月の天候 ------------------ 対象期間:
2020年(令和2年)8月の特徴:
○気温は、全国的に高く、東・西日本では記録的な高温となった
全国的に暖かい空気に覆われたため、気温は高かった。特に、高気圧に覆われて晴れて厳しい暑さの日が多かった東・西日本ではかなり高く、1946年の統計開始以来、8月として東日本では1位、西日本では1位タイの高温となった。
○東・西日本太平洋側では、降水量は記録的に少なく、日照時間は記録的に多かった
東・西日本太平洋側では、高気圧に覆われて湿った空気の影響を受けにくく晴れた日が多かったため、月降水量はかなり少なく、1946年の統計開始以来、8月として、東日本太平洋側で1位、西日本太平洋側で1位タイの少雨となった。また、月間日照時間はかなり多く、西日本太平洋側では8月として1位タイの多照となった。
○沖縄・奄美では降水量はかなり多かった
沖縄・奄美では、台風や湿った空気の影響を受けやすかったため、月降水量がかなり多かった。
概況

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
東・西日本では、勢力の強い太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かった。一方、北日本では、天気は数日の周期で変わり、前半は低気圧や前線の影響で日本海側を中心に曇りや雨の日が多かった。全国的に暖かい空気に覆われやすかったため、気温は高かった。月平均気温は、東・西日本ではかなり高くなり、東日本は平年差+2.1℃で、1946年の統計開始以来、8月として1位の高温となり、西日本でも平年差+1.7℃で2010年と並んで1位タイの高温となった。17日には浜松(静岡県)で歴代全国1位タイの41.1℃を観測し、全国の気象官署のうち11地点で通年の日最高気温の高い方から1位の値を記録した。また、50地点で、通年及び8月としての月平均気温の高い方から1位の値を記録した (日最高気温、月平均気温ともタイを含む)。
湿った空気の影響を受けにくく晴れた日が多かったことから、東・西日本太平洋側では月降水量がかなり少なく、月間日照時間がかなり多かった。月降水量は、東日本太平洋側で平年比29%で1946年の統計開始以来、8月として1位、西日本太平洋側で平年比32%で1967年と並んで1位タイの少雨となった。また、月間日照時間は西日本太平洋側で平年比131%となり、8月として1947年と並んで1位タイの多照となった。北日本日本海側では、上旬を中心に低気圧や前線の影響を受けやすかったため、月降水量は平年より多かった。
沖縄・奄美では、上旬と下旬に台風や湿った空気の影響を受けやすく、月降水量はかなり多かった。特に22日から24日にかけては、台風第8号の影響で大雨や大荒れとなった。
平均気温:東・西日本でかなり高く、北日本と沖縄・奄美で高かった。
降水量:東・西日本太平洋側でかなり少なく、東・西日本日本海側で少なかった。一方、沖縄・奄美でかなり多く、北日本日本海側で多かった。北日本太平洋側では平年並だった。
日照時間:東・西日本太平洋側でかなり多く、北日本太平洋側と東・西日本日本海側で多かった。北日本日本海側と沖縄・奄美では平年並だった。
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2020年8月の地域平均気候表
※本文中の北・東・西日本の降水量・日照時間の特徴は、地域平均気候表における日本海側・太平洋側の階級に基づいて記述している。
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月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 | 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
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天候経過
上旬
日本の南海上を中心に太平洋高気圧の勢力が強まり、東・西日本太平洋側は晴れの日が多く、厳しい暑さとなった日があり、旬降水量はかなり少なかった。一方、日本海から北日本付近を低気圧や前線が通りやすかったため、北・西日本日本海側ではこの時期としては晴れの日が少なかった。また、7日は台風第4号から変わった温帯低気圧の影響で、北・東・西日本日本海側では大雨となった所があった。沖縄・奄美では、2日から3日にかけては台風第4号の影響で大荒れとなった所があった。期間の中頃は高気圧に覆われておおむね晴れたが、9日から10日は台風第5号の影響で、曇りや雨となった。
旬平均気温:東・西日本と沖縄・奄美で高かった。北日本では平年並だった。
旬降水量:北・東日本日本海側と沖縄・奄美で多かった。一方、東・西日本太平洋側ではかなり少なかった。北日本太平洋側と西日本日本海側では平年並だった。
旬間日照時間:北日本と西日本日本海側で少なかった。一方、東日本太平洋側では多かった。東日本日本海側、西日本太平洋側、沖縄・奄美では平年並だった。
中旬
勢力の強い太平洋高気圧に覆われ、東・西日本を中心に晴れて厳しい暑さの日が多かった。東日本太平洋側では日最高気温が40℃を上回った地点があり、17日には、浜松(静岡県)で日最高気温の高い方から歴代全国1位タイの41.1℃を観測した。東日本の旬平均気温は平年差+2.9℃で、1961年の統計開始以来8月中旬として最も高くなった。また、東日本太平洋側と西日本太平洋側の旬間日照時間はともに平年比164%で、1961年の統計開始以来8月中旬として最も多くなった。雨の日が少なかったため東・西日本太平洋側では旬降水量がかなり少なかったが、10日から11日にかけては、台風第5号や湿った空気の影響で、西日本ではまとまった雨となった所があった。北日本では、低気圧や前線の影響で、天気は数日の周期で変わった。沖縄・奄美では、高気圧に覆われて晴れた日が多く、旬平均気温はかなり高かった。
旬平均気温:東・西日本と沖縄・奄美でかなり高く、北日本で高かった。
旬降水量:東・西日本太平洋側でかなり少なく、北日本太平洋側と西日本日本海側、沖縄・奄美で少なかった。北・東日本日本海側では平年並だった。
旬間日照時間:北・東日本太平洋側と西日本でかなり多く、東日本日本海側と沖縄・奄美で多かった。北日本日本海側では平年並だった。
下旬
日本の東海上を中心に太平洋高気圧の勢力が強く、北・東・西日本は晴れて厳しい暑さの日が多くなり、西日本の旬平均気温は1961年の統計開始以来、2010年と並んで最も高くなった。高気圧に覆われて晴れた日が多かったため、旬間日照時間は北日本日本海側と東日本でかなり多く、北日本太平洋側と西日本でも多かった。旬降水量は東・西日本日本海側で少なかった。沖縄・奄美では、湿った空気の影響も受けやすく、22日から24日にかけては台風第8号の影響で大雨となった所があったため、降水量はかなり多く、日照時間はかなり少なくなった。
旬平均気温:東・西日本でかなり高く、北日本と沖縄・奄美で高かった。
旬降水量:東・西日本日本海側では少なかった。一方、沖縄・奄美でかなり多かった。北日本と東・西日本太平洋側では平年並だった。
旬間日照時間:北日本日本海側と東日本でかなり多く、北日本太平洋側と西日本で多かった。一方、沖縄・奄美ではかなり少なかった。
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
極東循環場の特徴
500hPa天気図:日本付近は亜熱帯ジェット気流が平年より北に偏っており、亜熱帯高気圧の勢力が強かったため、平年より高度が高く、全国的に暖かい空気に覆われやすかった。
海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、日本の南では太平洋高気圧が西へ強く張り出し、日本付近は西日本の太平洋側を中心に正偏差北海道の北に東西にのびる負偏差域がかかった。外向き長波放射量平年偏差は、日付変更線付近からフィリピンの東にかけて正偏差となり対流活動が不活発だった。一方で、沖縄の南を中心に南シナ海にかけては、台風に対応する負偏差が見られた。
850hPa気温:日本付近は、朝鮮半島付近を中心とする、東西にのびる正偏差に覆われた。
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月平均500hPa高度・偏差分布図 | 月平均850hPa気温・偏差分布図 |
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月平均海面更正気圧・偏差分布図 | 月平均外向き長波放射量・偏差分布図 |
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
記録と台風
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