日本の月の天候 ------------------ 対象期間:

2020年(令和2年)6月の特徴:

○気温は、全国的にかなり高かった

日本付近には暖かい空気が入りやすく、晴れて強い日射の影響を受ける日もあったため、月平均気温は全国的にかなり高かった。東日本では、1946年の統計開始以来6月として1位の高温となり、西日本では2005年と並び最も高温となった。

○降水量は、沖縄・奄美でかなり多かった

日本の南海上の高気圧の縁を回って湿った空気が入りやすく、梅雨前線の活動が活発となった時期があったため、沖縄・奄美でかなり多く、北日本日本海側と東日本太平洋側、西日本で多かった。

○日照時間は、東日本日本海側でかなり多かった

高気圧に覆われやすい時期があったため、東日本日本海側でかなり多く、東日本太平洋側と西日本日本海側、沖縄・奄美で多かった。

概況

地域平均気温経過図

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図

 北・東・西日本では、上旬を中心に高気圧に覆われて晴れの日が多かったが、中旬は梅雨前線が本州付近に停滞しやすく、曇りや雨の降る日が多かった。沖縄・奄美では、上旬は梅雨前線の影響で曇りや雨の日が多かったが、中旬を中心に高気圧に覆われて晴れの日が多かった。このため、月間日照時間は東日本日本海側でかなり多く、東日本太平洋側と西日本日本海側、沖縄・奄美で多かった。一方、太平洋高気圧は日本の南海上で西へ張り出しやすく、高気圧の縁を回って日本付近に湿った空気が入りやすい時期もあったことから、梅雨前線の活動が一時的に活発となって、沖縄・奄美と西日本では土砂災害や浸水害を伴う大雨となった所があった。このため、月降水量は沖縄・奄美でかなり多く、東日本太平洋側と西日本で多かった。また、下旬を中心に北日本では低気圧の影響を受けやすい時期があったため、北日本日本海側の月降水量も多かった。

 気温は、太平洋高気圧が日本の南海上で西へ張り出し、日本付近には暖かい空気が入りやすく、晴れて強い日射の影響を受けた日もあったため、全国的にかなり高かった。東・西日本では平年差がそれぞれ+1.9℃、+1.4℃で、東日本では1946年の統計開始以来6月として1位の高温となり、西日本では2005年と並び最も高温となった。

平均気温:全国的にかなり高かった。

降水量:沖縄・奄美でかなり多く、北日本日本海側と東日本太平洋側、西日本で多かった。北日本太平洋側と東日本日本海側では平年並だった。

日照時間:東日本日本海側でかなり多く、東日本太平洋側と西日本日本海側、沖縄・奄美で多かった。一方、北日本日本海側で少なかった。北・西日本太平洋側では平年並だった。

月TRS分布図 旬別RS経過図
月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図

天候経過


    上旬

     北・東日本と西日本日本海側では、高気圧に覆われて晴れる日が多かった。このため、旬降水量は東日本太平洋側と西日本日本海側でかなり少なく、旬間日照時間は、北日本太平洋側と東日本日本海側でかなり多かった。北日本太平洋側の旬間日照時間は平年比154%で、1961年の統計開始以来6月上旬として1978年と並び最も多かった。その一方で、低気圧や前線が沖縄・奄美から西日本の南岸に停滞したため、沖縄・奄美と九州南部では活発な梅雨前線の影響を受けた時期があり、8日には沖縄県で浸水害が発生するなど、大雨となった所があった。このため、沖縄・奄美の旬降水量はかなり多く、旬降水量平年比は277%で1961年の統計開始以来6月上旬として1位の多雨となった。気温は、日本の南海上で太平洋高気圧が強く、中国東北区からオホーツク海南部付近を低気圧が通過しやすかったため、日本付近には暖かい空気が入りやすかったことや、北・東・西日本では晴れて強い日射の影響を受けた日もあり、全国的にかなり高かった。特に、東日本の旬平均気温は平年差+2.8℃で、1961年の統計開始以来6月上旬として最も高かった。なお、10日ごろには中国地方、近畿地方、東海地方で梅雨入りしたとみられる(速報値)。

     旬平均気温:全国的にかなり高かった。

     旬降水量:沖縄・奄美でかなり多かった。一方、東日本太平洋側と西日本日本海側でかなり少なく、北日本と東日本日本海側、西日本太平洋側で少なかった。

     旬間日照時間:北日本太平洋側と東日本日本海側でかなり多く、北・西日本日本海側と東日本太平洋側で多かった。西日本太平洋側と沖縄・奄美では平年並だった。


    中旬

     沖縄・奄美では太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多かった。一方、梅雨前線は本州付近に停滞しやすく、また、沿海州から北海道付近を低気圧が通過しやすかったため、北・東・西日本では曇りや雨の日が多く、大雨となった所もあった。このため、旬降水量は、沖縄・奄美ではかなり少なかったが、東・西日本ではかなり多く、西日本日本海側では平年比329%で1961年の統計開始以来6月中旬として1位の多雨となった。また、旬間日照時間は西日本太平洋側でかなり少なかったが、沖縄・奄美ではかなり多かった。太平洋高気圧の縁を回って暖かい空気が日本付近に入りやすかったことから、気温は全国的にかなり高く、特に北日本では期間のはじめに太平洋側を中心に晴れて強い日射の影響も受けたこともあって、旬平均気温は平年差+2.5℃で1961年の統計開始以来6月中旬として2010年などと並び最も高かった。なお、12日ごろには沖縄地方で梅雨明けしたとみられる(速報値)ほか、11日ごろには九州北部地方、関東甲信地方、北陸地方、東北南部で、14日ごろには東北北部で梅雨入りしたとみられる(速報値)。

     旬平均気温:全国的にかなり高かった。

     旬降水量:東・西日本でかなり多く、北日本太平洋側で多かった。一方、沖縄・奄美でかなり少なかった。北日本日本海側では平年並だった。

     旬間日照時間:沖縄・奄美でかなり多かった。一方、西日本太平洋側でかなり少なく、北・東・西日本日本海側で少なかった。北・東日本太平洋側では平年並だった。


    下旬

     太平洋高気圧が日本の南海上で西へ張り出し、オホーツク海でも高気圧が明瞭だった。梅雨前線は期間のはじめは奄美地方付近に、その後は本州南岸付近に停滞しやすかった。太平洋高気圧の縁を回って湿った空気が入り、梅雨前線の活動が活発となって25日には長崎県で土砂災害が発生するなど、大雨となった所もあった。また、北日本では北からの湿った空気や低気圧の影響を受けて曇りや雨の日が多かった。このため、旬降水量は北日本と東日本太平洋側、沖縄・奄美で多かった。旬間日照時間は、北日本と沖縄・奄美でかなり少なかった。また、北日本太平洋側の旬間日照時間は、平年比43%で1961年の統計開始以来6月下旬として1位の寡照となった。一方、東・西日本日本海側では前線や湿った空気の影響を受けにくく晴れた時期があったため、旬降水量は東日本日本海側で少なく、旬間日照時間は東・西日本日本海側かなり多かった。気温は、太平洋高気圧の縁を回って暖かい空気の入りやすかった東・西日本と沖縄・奄美では高かったが、北からの冷たい空気の影響を受けた日もあった北日本では平年並だった。

     旬平均気温:東・西日本と沖縄・奄美で高かった。北日本では平年並だった。

     旬降水量:北日本と東日本太平洋側、沖縄・奄美で多かった。一方、東日本日本海側で少なかった。西日本では平年並だった。

     旬間日照時間:東・西日本日本海側でかなり多く、西日本太平洋側で多かった。一方、北日本と沖縄・奄美でかなり少なかった。東日本太平洋側では平年並だった。

    ※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。

極東循環場の特徴

      500hPa天気図:バイカル湖付近からサハリン付近にかけては平年より高度が低く、気圧の谷となりやすかった一方、亜熱帯高気圧が日本の南海上で西へ張り出し、東シナ海から本州付近にかけては平年より高度が高かった。このため、日本付近には南からの暖かい空気が入りやすかった。

      海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、華中から本州南岸付近にかけて停滞しやすった梅雨前線に対応して負偏差に、また、モンゴル付近から北海道付近は低気圧が通りやすかったことに対応して負偏差になった。一方、太平洋高気圧の勢力が強かった日本の南海上では正偏差だった。外向き長波放射量平年偏差は、フィリピンの北海上は正偏差で対流活動が不活発だった一方、インドネシア西部付近では負偏差で対流活動が活発だった。

      850hPa気温:東シナ海付近から本州付近を中心に正偏差となっており、日本付近には南からの暖かい空気が入りやすかったことに対応している。

月平均500hPa高度・偏差分布図 月平均850hPa気温・偏差分布図
月平均500hPa高度・偏差分布図 月平均850hPa気温・偏差分布図
月平均海面更正気圧・偏差分布図 月平均外向き長波放射量(OLR)偏差分布図
月平均海面更正気圧・偏差分布図 月平均外向き長波放射量・偏差分布図

    ※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。

記録と台風

  • 月平均気温の高い記録
  • 釧路* 苫小牧 若松 深浦* 富山* 高山* 前橋* 岐阜 名古屋 飯田* 甲府 河口湖 上野 津 伊良湖 浜松 御前崎 静岡 三島 尾鷲 石廊崎 横浜 館山 大島 三宅島 千葉* 四日市 西郷* 米子* 萩 京都 彦根 大阪* 洲本 和歌山 奈良 厳原 平戸 福岡 飯塚 佐世保* 佐賀 日田 雲仙岳* 鹿児島* 都城 福江 宇和島* 与那国島 父島 (*はタイ記録)

  • 月降水量の少ない記録
  • 仙台

  • 台風の発生(速報値、日本時間)
  • 第2号(12日)

  • 梅雨入り(速報値)
  • 中国、近畿、東海(10日ごろ) 九州北部、関東甲信、北陸、東北南部(11日ごろ) 東北北部(14日ごろ)

  • 梅雨明け(速報値)
  • 沖縄(12日ごろ)

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