日本の月の天候 ------------------ 対象期間:
2020年(令和2年)5月の特徴:
○気温は、全国的に高く、北・東・西日本でかなり高かった
南からの暖かい空気に覆われやすかったため、月平均気温は北・東・西日本でかなり高く、沖縄・奄美では高かった。
○東日本日本海側では、降水量がかなり少なかった
東日本日本海側では、南からの湿った空気の影響を受けにくかったため月降水量がかなり少なかった。
○沖縄・奄美では、降水量がかなり多く、日照時間は少なかった
沖縄・奄美では、前線や南からの湿った空気の影響を受けやすかったため、月降水量がかなり多く、月間日照時間は少なかった。
概況

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
北・東・西日本では、月の前半は、低気圧と高気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変わったが、低気圧は日本海から北海道付近を通過しやすかった。後半は、オホーツク海高気圧が発生し、北日本太平洋側を中心に冷たく湿った気流の影響を受けた時期があった。また、低気圧や前線の影響で九州南部で日降水量が200mmを超えた所があるなど、西日本から東日本太平洋側にかけて大雨となった所もあったが、東日本を中心に高気圧に覆われ晴れる日が多かった。月降水量は、南からの湿った空気の影響を受けにくかった東日本日本海側でかなり少なく、北・東日本太平洋側で少なかった。月間日照時間は、高気圧に覆われやすかった東日本太平洋側で多かった。
気温は、オホーツク海高気圧の影響を受けた時期があったものの、月を通して見ると南からの暖かい空気に覆われやすかったため全国的に高く、晴れやすい時期のあった北・東・西日本ではかなり高かった。沖縄・奄美では、月を通して、前線や南からの暖かく湿った空気の影響を受けやすかった。曇りや雨の日が多く、大雨となった所もあったため月降水量はかなり多く、月間日照時間は少なかった。
平均気温:北・東・西日本でかなり高く、沖縄・奄美で高かった。
降水量:沖縄・奄美でかなり多かった。一方、東日本日本海側でかなり少なく、北・東日本太平洋側で少なかった。北日本日本海側と西日本では平年並だった。
日照時間:東日本太平洋側で多かった。一方、沖縄・奄美で少なかった。北・西日本と東日本日本海側では平年並だった。
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2020年5月の地域平均気候表
※本文中の北・東・西日本の降水量・日照時間の特徴は、地域平均気候表における日本海側・太平洋側の階級に基づいて記述している。
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月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 | 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
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天候経過
上旬
北・東・西日本では、高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変わった。北日本太平洋側と東・西日本は高気圧に覆われて晴れた所が多く、旬降水量は少なかった。一方、北日本日本海側は気圧の谷や湿った空気の影響を受けやすく、旬間日照時間は少なかった。北・東・西日本では期間の中頃に寒気の影響を受けた所があったが、期間のはじめと終わりに沿海州付近を通過する低気圧に向かって南から暖かい空気が流れ込んだため、気温は全国的に高く、特に北・西日本でかなり高かった。沖縄・奄美は、前線や南からの暖かく湿った空気の影響を受けやすかったため曇りや雨の日が多く、2日には日降水量が沖縄県渡嘉敷で198.5mmと5月の記録を更新するなど、旬降水量はかなり多かった。奄美地方は10日ごろに梅雨入りしたとみられる。
旬平均気温:北・西日本でかなり高く、東日本と沖縄・奄美で高かった。
旬降水量:沖縄・奄美でかなり多かった。一方、北日本太平洋側と東・西日本で少なかった。北日本日本海側では平年並だった。
旬間日照時間:北日本日本海側で少なかった。北日本太平洋側と東・西日本、沖縄・奄美では平年並だった。
中旬
北・東・西日本では、高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変わったが、期間の前半は高気圧に覆われて晴れた日が多かった。期間の後半は低気圧や前線の影響で、16日には日降水量が宮崎県加久藤で228.5mmと5月の記録を更新したほか、18日には鹿児島県紫尾山で215.5mmなど九州南部を中心に、西日本から東日本太平洋側にかけて大雨となった所があった。旬降水量は、東日本太平洋側と西日本で多かった。気温は、低気圧や前線に向かって暖かい空気が流れ込みやすかった東日本でかなり高く、西日本でも高かったが、期間の後半にはオホーツク海高気圧が発生し、北日本を中心に寒気の影響を受けたため、北日本では平年並だった。沖縄・奄美は、前線や台風第1号から変わった熱帯低気圧や、南からの暖かく湿った空気の影響を受けやすかったため、曇りや雨の日が多く大雨となった所があった。このため、旬降水量はかなり多く、旬間日照時間は少なかった。沖縄地方は11日ごろに梅雨入りしたとみられる。
旬平均気温:東日本でかなり高く、西日本と沖縄・奄美で高かった。北日本では平年並だった。
旬降水量:沖縄・奄美でかなり多く、東日本太平洋側と西日本で多かった。北日本と東日本日本海側では平年並だった。
旬間日照時間:東日本太平洋側で多かった。一方、沖縄・奄美で少なかった。北・西日本と東日本日本海側では平年並だった。
下旬
北・東・西日本では、期間のはじめは北日本を中心にオホーツク海高気圧からの冷たく湿った気流の影響で、期間の中頃は上空の寒気を伴った低気圧の影響を受けやすかったため、北日本から東日本太平洋側を中心に曇りの日が多かった。その後は移動性高気圧に覆われ、北日本中心に晴れた。旬間日照時間は北日本で多く、東日本太平洋側で少なかった。一方、南からの湿った気流の影響を受けにくかったため、西日本日本海側の旬降水量はかなり少なく、東日本と北・西日本太平洋側では少なかった。気温は、期間のはじめは冷たい高気圧の影響を受けた北日本を中心に低かったが、その後は、南からの暖かい空気に覆われたことや晴れた日も多かったため、北・東日本では高かった。なお、九州南部では5月30日ごろ、四国地方では5月31日ごろに梅雨入りしたとみられる。沖縄・奄美では、前線が停滞しやすく、22日には日降水量が沖縄県西表島で207.5mmの大雨となるなど、曇りや雨の日が多かったため旬降水量は多く、旬間日照時間は少なかった。
旬平均気温:北・東日本、沖縄・奄美で高かった。西日本では平年並だった。
旬平均気温:沖縄・奄美でかなり高く、北・東・西日本で高かった。
旬降水量:西日本日本海側でかなり少なく、東日本と北・西日本太平洋側で少なかった。一方、沖縄・奄美で多かった。北日本日本海側では平年並だった。
旬間日照時間:北日本で多かった。一方、東日本太平洋側と沖縄・奄美で少なかった。東日本日本海側と西日本では平年並だった。
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
極東循環場の特徴
500hPa天気図:華北やカムチャツカ半島付近で平年より高度が低い所が広がる一方、本州付近から日本の南では広く平年より高度が高かった。このため全国的に南からの暖かい空気に覆われやすく、沖縄・奄美では南からの湿った空気の影響も受けやすかった。また、アラスカからシベリアにかけて気圧の尾根がみられ、オホーツク海高気圧が発生した時期もあった。
海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、日本付近が広く負偏差の一方、日本のはるか南は東西に正偏差となっており、日本付近は南からの暖かい空気に覆われやすかった。外向き長波放射量平年偏差は、インド洋からインドネシア付近が負偏差で対流活動が活発な一方、南シナ海から日本のはるか南にかけて正偏差で対流活動は不活発だった。
850hPa気温:日本付近は広く正偏差に覆われ、南からの暖かい空気に覆われやすかった。
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月平均500hPa高度・偏差分布図 | 月平均850hPa気温・偏差分布図 |
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月平均海面更正気圧・偏差分布図 | 月平均外向き長波放射量・偏差分布図 |
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
記録と台風
銚子 洲本
南大東島
広尾 輪島 金沢 伏木 富山 尾鷲
第1号(12日)
奄美(10日ごろ) 沖縄(11日ごろ) 九州南部(30日ごろ) 四国(31日ごろ)