日本の月の天候 ------------------ 対象期間:
2019年(令和元年)12月の特徴:
○気温は東・西日本でかなり高く、沖縄・奄美で高かった
本州付近への寒気の南下が弱かったため、月平均気温は東・西日本ではかなり高く、沖縄・奄美で高かった。
○東日本太平洋側、西日本の日照時間はかなり少なかった
冬型の気圧配置が続かず、本州の南を低気圧や前線が通過することが多かったため、月間日照時間は東日本太平洋側と西日本でかなり少なかった。
○日本海側の降雪量は記録的に少なかった
冬型の気圧配置が続かなかったため、日本海側の月降雪量はかなり少なく、北・西日本日本海側の月降雪量は1961年の統計開始以降で最も少なかった。
概況

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
冬型の気圧配置が続かず、低気圧や前線が本州の南と日本の北を通過することが多かったため、全国的に天気は数日の周期で変わり、日照時間は東日本太平洋側と西日本でかなり少なかった。一方、東日本日本海側の日照時間は多く、北・東日本日本海側の降水量は少なかった。また、日本海側の降雪量はかなり少なく、月降雪量は北日本日本海側、西日本日本海側でそれぞれ平年比47%、0%となり、12月としては1961年の統計開始以降で最も少ない記録を更新し、東日本日本海側でも平年比3%で2015年に次いで少ない方から第2位の記録となった。
上旬は大陸からの寒気が日本付近に流れ込んだため全国的に寒気の影響を受けたが、東・西日本と沖縄・奄美ではその後は寒気の影響を受けにくく、低気圧に向かって南からの暖かい空気がたびたび流れ込んだため、月平均気温は東・西日本ではかなり高く、沖縄・奄美で高かった。一方、北日本では、中旬は寒気の影響が弱かったが、下旬はシベリアからの寒気が北海道を中心に流れ込んだため、月平均気温は平年並となった。
平均気温:東・西日本でかなり高く、沖縄・奄美で高かった。北日本では平年並だった。
降水量:北・東日本日本海側で少なかった。一方、東日本太平洋側、西日本、沖縄・奄美では多かった。北日本太平洋側は平年並だった。
日照時間:東日本太平洋側と西日本でかなり少なかった。一方、東日本日本海側で多かった。北日本と沖縄・奄美では平年並だった。
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2019年12月の地域平均気候表
※本文中の北・東・西日本の降水量・日照時間の特徴は、地域平均気候表における日本海側・太平洋側の階級に基づいて記述している。
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月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 | 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
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天候経過
上旬
低気圧と高気圧が本州付近を交互に通過し、低気圧の通過後は冬型の気圧配置となり、大陸から寒気が流れ込んだ。このため、北・東日本日本海側では、曇りや雨または雪の日が多く、4日から6日にかけては東北日本海側を中心に大雪となった所があった。東日本太平洋側と西日本では、天気は数日の周期で変わり日照時間が少なく、西日本では降水量が多かった。沖縄・奄美では、気圧の谷や湿った気流の影響で、曇りや雨の日が多く、日照時間はかなり少なく、降水量はかなり多かった。気温は大陸からの寒気の影響が強かった北日本と西日本から沖縄・奄美で低くなった。
旬平均気温:北・西日本と沖縄・奄美で低く、東日本で平年並だった。
旬降水量:沖縄・奄美ではかなり多く、北・東日本日本海側、西日本で多かった。北・東日本太平洋側では平年並だった。
旬間日照時間:沖縄・奄美ではかなり少なく、東日本太平洋側と西日本で少なかった。北日本と東日本日本海側で平年並だった。
中旬
冬型の気圧配置が続かず、前線を伴った低気圧が日本海から北日本付近を通過することが多かった。このため北日本から西日本にかけては天気は数日の周期で変わり、北・東日本太平洋側では日照時間が少なかったが、東・西日本日本海側では日照時間が多く、降水量が少なかった。沖縄・奄美では、高気圧に覆われて晴れの日が多かったが、旬のはじめと終わり頃は前線や湿った気流の影響で曇りや雨の日があった。気温は、寒気の南下が弱く、低気圧に向かって南からの暖かい空気がたびたび流れ込んだため、全国的にかなり高かった。
旬平均気温:全国的にかなり高かった。
旬降水量:東日本日本海側ではかなり少なく、北日本、西日本日本海側で少なかった。東・西日本太平洋側と沖縄・奄美では平年並だった。
旬間日照時間:沖縄・奄美でかなり多く、東・西日本日本海側で多かった。一方、北・東日本太平洋側で少なく、北日本日本海側、西日本太平洋側で平年並だった。
下旬
冬型の気圧配置が続かず、日本付近を低気圧と高気圧が交互に通過し、全国的に天気は数日の周期で変わり、27日は低気圧の影響で東北北部を中心に大雪となった所があった。日照時間は西日本ではかなり少なく、東日本太平洋側で少なかった。一方、東日本日本海側の日照時間は多く、北・東日本日本海側の降水量は少なかった。旬平均気温は、本州以南では大陸からの寒気の影響が弱く、低気圧に向かって南からの暖かい空気がたびたび流れ込んだため、東日本と沖縄・奄美ではかなり高く、西日本で高かった。
旬平均気温:東日本と沖縄・奄美ではかなり高く、西日本で高かった。北日本では平年並だった。
旬降水量:西日本ではかなり多く、北・東日本太平洋側と沖縄・奄美で多かった。一方、北・東日本日本海側では少なかった。
旬間日照時間:西日本ではかなり少なく、東日本太平洋側で少なかった。一方、東日本日本海側で多く、北日本と沖縄・奄美で平年並だった。
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
極東循環場の特徴
500hPa天気図:日本付近から日本の東海上を中心に平年に比べ高度が高い一方、インドシナ半島の北を中心に平年に比べ高度が低かった。これは、日本付近を流れる偏西風が日本付近から日本の東海上で北へ蛇行し、日本付近には南からの暖かく湿った空気が流れ込みやすかったことに対応している。一方、オホーツク海の北を中心に平年に比べ高度が低かった。これは、極渦が一時的に南下し、北海道を中心に寒気の影響を受ける時期があったことに対応している。
海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、日本付近から日本の東海上で正偏差、大陸で負偏差が見られ、冬型の気圧配置は弱かった。外向き長波放射量平年偏差は、インドネシア付近を中心に広く正偏差でこの付近の対流活動は不活発だった。 850hPa温度:日本の北に負偏差が見られ、大陸の寒気はオホーツク海を東進することが多かった。一方、日本付近から日本の南海上を中心に正偏差に覆われ、本州以南では大陸からの寒気の影響が弱かった。
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月平均500hPa高度・偏差分布図 | 月平均850hPa気温・偏差分布図 |
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月平均海面更正気圧・偏差分布図 | 月平均外向き長波放射量・偏差分布図 |
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
記録と台風
御前崎* 静岡* 大島* 三宅島* 父島 (*はタイ記録)
網走 新潟
第29号(22日)