日本の月の天候 ------------------ 対象期間:
2017年(平成29年)11月の特徴
○北日本日本海側では日照時間が少なく、降水量・降雪量が多かった
北日本日本海側では、低気圧や寒気の影響を受けやすかったため、日照時間が少なく、降水量・降雪量が多かった。
○東・西日本では気温が低く、東日本と西日本日本海側の日照時間は多かった
東・西日本では、中旬から下旬にかけて大陸から寒気が流れ込みやすく、月平均気温が低かった。また、上旬を中心に移動性高気圧に覆われやすかったため、東日本と西日本日本海側では日照時間が多かった。
○沖縄・奄美では日照時間がかなり少なく、降水量が多かった
沖縄・奄美では、前線や南からの暖かく湿った気流の影響を受けやすかったため、日照時間がかなり少なく、降水量が多かった。
概況

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
日本付近は低気圧と高気圧が交互に通過したが、上旬は東・西日本を中心に移動性高気圧に覆われて晴れた日が多かった。中旬から下旬にかけては北日本付近を低気圧が発達しながらたびたび通過し、低気圧の通過後は北日本を中心に一時的に冬型の気圧配置となって、大陸から寒気が流れ込むことが多かった。特に中旬後半から下旬前半にかけては、偏西風が日本付近で南に蛇行し、真冬並みの強い寒気が流れ込んだ。
このため、北日本日本海側では曇りや雪または雨の日が多く、日照時間が少なく、降水量・降雪量は多かった。東・西日本では気温が低く、低気圧や寒気の影響を受けた東日本日本海側の降水量は多かった。一方、上旬を中心に移動性高気圧に覆われやすかった東日本と西日本日本海側の日照時間は多く、東日本太平洋側と西日本日本海側の降水量は少なかった。
沖縄・奄美では、中旬から下旬にかけて前線や南からの暖かく湿った気流の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多かった。このため、日照時間がかなり少なく、降水量は多かった。
平均気温:東・西日本で低かった。一方、沖縄・奄美で高かった。北日本では平年並だった。
降水量:北・東日本日本海側と沖縄・奄美で多かった。一方、北・東日本太平洋側と西日本日本海側で少なかった。西日本太平洋側では平年並だった。
日照時間:沖縄・奄美でかなり少なく、北日本日本海側で少なかった。一方、東日本と西日本日本海側で多かった。北・西日本太平洋側では平年並だった。
-
2017年11月の地域平均気候表
※本文中の北・東・西日本の降水量・日照時間の特徴は、地域平均気候表における日本海側・太平洋側の階級に基づいて記述している。
![]() |
![]() |
月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 | 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
---|
天候経過
上旬
低気圧と高気圧が交互に通過したが、東・西日本を中心に移動性高気圧に覆われて晴れた日が多かった。大陸からの寒気の南下が弱く、南から暖かい空気が流れ込みやすかった北日本と沖縄・奄美では気温が高かった。
旬平均気温:北日本と沖縄・奄美で高かった。東・西日本では平年並だった。
旬降水量:北日本日本海側と東・西日本で少なかった。北日本太平洋側と沖縄・奄美では平年並だった。
旬間日照時間:東日本でかなり多く、西日本で多かった。北日本と沖縄・奄美では平年並だった。
中旬
低気圧と高気圧が交互に通過したが、11日は低気圧が急速に発達しながら日本海からオホーツク海へ進み、北海道を中心に大荒れとなった。また、旬の後半は北日本から西日本にかけて大陸から強い寒気が流れ込んだ。このため、北・東日本日本海側を中心に曇りや雪または雨の日が多かった。北日本では広い範囲で積雪となったほか、東日本日本海側を中心に平野部でも雪が降り、山沿いや山間部では積雪となった所があった。沖縄・奄美では、前線や湿った気流の影響で、曇りや雨の日が多く、日照時間は平年比35%となり、11月中旬としては旬の統計を開始した1961年以降で最も少ない記録となった。
旬平均気温:東・西日本で低かった。北日本と沖縄・奄美では平年並だった。
旬降水量:北・東日本日本海側と沖縄・奄美でかなり多かった。北・東日本太平洋側と西日本では平年並だった。
旬間日照時間:沖縄・奄美でかなり少なく、北・東日本日本海側で少なかった。北・東日本太平洋側と西日本では平年並だった。
下旬
低気圧と高気圧が交互に通過したが、旬の前半に北日本から西日本にかけて大陸から強い寒気が流れ込み、北・東日本日本海側を中心に曇りや雪または雨の日が多かった。北日本日本海側の日照時間は平年比54%となり、11月下旬としては旬の統計を開始した1961年以降で最も少ない記録となった。沖縄・奄美では、前線や湿った気流の影響で、曇りや雨の日が多かった。
旬平均気温:北日本で低かった。一方、沖縄・奄美で高かった。東・西日本では平年並だった。
旬降水量:北日本日本海側と東日本太平洋側、沖縄・奄美で多かった。北日本太平洋側と東日本日本海側、西日本では平年並だった。
旬間日照時間:北日本日本海側でかなり少なく、北日本太平洋側と東日本日本海側、西日本、沖縄・奄美で少なかった。東日本太平洋側では平年並だった。
極東循環場の特徴
500hPa天気図:北極付近やアリューシャン近海にブロッキング高気圧が停滞し、東シベリアには極うずの一部が南下した。偏西風は日本付近で南に蛇行し、北日本から西日本にかけて寒気が流れ込みやすかった。一方、沖縄の南では亜熱帯高気圧が強く、沖縄・奄美では、前線や南からの暖かく湿った気流の影響を受けやすかった。
海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、オホーツク海から北日本付近にかけて負偏差で、北日本付近を低気圧が通過しやすかった。東・西日本付近は正偏差で、移動性高気圧に覆われやすい時期があった。沖縄の南にも正偏差がみられ、沖縄・奄美付近は、気圧の谷となって南から暖かく湿った空気が流れ込みやすかった。外向き長波放射量平年偏差は、ベンガル湾からインドネシア付近にかけて負偏差で対流活動が活発だった一方、太平洋赤道域の日付変更線付近では正偏差で対流活動が不活発だった。
850hPa気温:日本付近は、大陸から寒気が流れ込みやすかった北日本から西日本にかけて負偏差だった。一方、沖縄・奄美付近は南から暖かい空気が流れ込みやすく、正偏差だった。
![]() |
![]() |
月平均500hPa高度・偏差分布図 | 月平均850hPa気温・偏差分布図 |
---|---|
![]() |
![]() |
月平均海面更正気圧・偏差分布図 | 月平均外向き長波放射量・偏差分布図 |
記録と台風
宮古
豊岡
江差*(*はタイ記録)
第23号(2日) 第24号(9日) 第25号(18日)