日本の月の天候 ------------------ 対象期間:
2017年(平成29年)6月の特徴
○東日本で日照時間がかなり多く、東日本太平洋側で降水量がかなり少なかった
梅雨前線の影響を受けにくく、移動性高気圧に覆われやすかったため、東日本の日照時間はかなり多く、東日本太平洋側の降水量はかなり少なかった。
○北日本で降水量がかなり多かった
北日本では、低気圧の影響で降水量がかなり多かった。
○西日本で気温が低かった
西日本は冷涼な高気圧に覆われやすく、気温が低かった。
概況

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
梅雨前線は日本の南海上に停滞することが多かった。東・西日本では、上・中旬は梅雨前線の影響を受けにくく、移動性高気圧に覆われやすかったため、平年に比べて曇りや雨の日が少なかった。このため、月間日照時間は東日本でかなり多く西日本で多くなり、月降水量は東日本太平洋側でかなり少なく東・西日本日本海側で少なかった。東・西日本では4月下旬から少雨の状態が続いたところがあり、取水制限が行われた河川があった。
低気圧の影響を受けやすかった北日本では、北海道を中心に平年に比べて曇りや雨の日が多く、月降水量はかなり多かった。また、西日本は冷涼な高気圧に覆われやすく、月平均気温が低かった。
沖縄・奄美では梅雨前線や湿った気流の影響で曇りや雨の日が多く、月間日照時間が少なかったが、下旬の梅雨明け後は太平洋高気圧に覆われて晴れる日が多かった。
なお、梅雨前線の活動が活発化したため、中旬には九州南部から沖縄・奄美で、下旬には東日本太平洋側や西日本を中心に大雨となったところがあった。
平均気温:西日本で低かった。北・東日本と沖縄・奄美では平年並だった。
降水量:東日本太平洋側でかなり少なく、東・西日本日本海側で少なかった。一方、北日本でかなり多かった。西日本太平洋側と沖縄・奄美では平年並だった。
日照時間:東日本でかなり多く、北日本太平洋側と西日本で多かった。一方、北日本日本海側と沖縄・奄美では少なかった。
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2017年6月の地域平均気候表
※本文中の北・東・西日本の降水量・日照時間の特徴は、地域平均気候表における日本海側・太平洋側の階級に基づいて記述している。
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月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 | 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
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天候経過
上旬
北日本は低気圧の影響で曇りや雨の日が多く、旬降水量はかなり多くなった。旬降水量の平年比は北日本日本海側で352%、北日本太平洋側で290%で、それぞれ1961年の統計開始以来6月上旬として1位の多い記録となった。冷たい空気が流れ込みやすかった北・東日本では、日本海側を中心に気温が低いところが多かった。東・西日本では、中頃まで高気圧に覆われて晴れる日が多かったが、6〜8日に梅雨前線上の低気圧が東シナ海から本州の南岸を通過し、九州北部と九州南部では6月6日ごろ、関東甲信、東海、近畿、中国、四国では6月7日ごろに梅雨入りした(速報値)。沖縄・奄美では、前半は梅雨前線の影響で曇りや雨の日が多かったが、後半は高気圧に覆われて晴れる日が多かった。
旬平均気温:沖縄・奄美で高かった。一方、北・東日本で低く、西日本で平年並だった。
旬降水量:沖縄・奄美でかなり少なく、東日本太平洋側で少なかった。一方、北日本でかなり多く、東日本日本海側で多かった。西日本で平年並だった。
旬間日照時間:東・西日本太平洋側でかなり多く、西日本日本海側と沖縄・奄美で多かった。一方、北日本で少なく、東日本日本海側で平年並だった。
中旬
梅雨前線は日本の南海上に停滞することが多く、本州付近では移動性高気圧に覆われて平年に比べて曇りや雨の日が少なかった。旬降水量の平年比は東日本日本海側で4%、東日本太平洋側で20%で、1961年の統計開始以来6月中旬として東日本日本海側は1位タイ、東日本太平洋側は1位の少ない記録となった。旬間日照時間の平年比は東日本太平洋側で176%で、1961年の統計開始以来6月中旬として1位の多い記録となった。冷涼な高気圧に覆われやすかったため、北・東・西日本の旬平均気温は低くなった。沖縄・奄美では梅雨前線や湿った気流の影響で曇りや雨の日が多く、旬平均気温はかなり低く、旬間日照時間はかなり少なかった。九州南部から沖縄・奄美では大雨となった日があり、14日には名護と東(以上沖縄県)で共に日降水量231.5mm、19日には糸数(沖縄県)で日降水量245.0mmを観測するなど、6月としての1位の記録となった地点があった。
旬平均気温:沖縄・奄美でかなり低く、北・東・西日本で低かった。
旬降水量:北日本太平洋側と東日本でかなり少なく、北日本日本海側と西日本で少なかった。一方、沖縄・奄美で多かった。
旬間日照時間:東・西日本でかなり多く、北日本で多かった。一方、沖縄・奄美でかなり少なかった。
下旬
梅雨前線は本州の南岸に停滞しやすく、東日本太平洋側や西日本を中心に大雨や大荒れの天気となったところがあった。21日には日置川(和歌山県)で1時間降水量89.5mm、西川(和歌山県)で1時間降水量84.5mmを、29日には芦辺(長崎県)で1時間降水量120.0mmを観測し、それぞれ年としての1位の記録となった。梅雨前線の北上に伴い、東北北部、東北南部、北陸では6月21日ごろに梅雨入りして、沖縄では6月22日ごろ、奄美では6月29日ごろに梅雨明けした(速報値)。北海道では低気圧の影響で曇りや雨の日が多かった。沖縄では高気圧に覆われて晴れる日が多かった。
旬平均気温:沖縄・奄美で高く、北・東・西日本で平年並だった。
旬降水量:東・西日本日本海側で少なかった。一方、北日本日本海側でかなり多く、北・西日本太平洋側で多かった。東日本太平洋側と沖縄・奄美で平年並だった。
旬間日照時間:北日本太平洋側と東日本日本海側で多かった。一方、西日本太平洋側でかなり少なく、北日本日本海側で少なかった。東日本太平洋側、西日本日本海側、沖縄・奄美で平年並だった。
極東循環場の特徴
500hPa天気図:中央シベリアは正偏差、本州付近からカムチャツカの東からは負偏差となっていた。偏西風は日本付近で南へ蛇行し、上空にはこの時期としては強い寒気が南下して、北日本を中心に気圧の谷や寒気の影響を受けやすかった。亜熱帯高気圧は沖縄の南で平年より強かった。
海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、バイカル湖の東を中心に大陸は正偏差、北日本からカムチャツカの東にかけては負偏差で、低気圧が北日本を通過しやすかった。外向き長波放射量平年偏差は、梅雨前線が停滞しやすかった東シナ海から日本の南海上では帯状に負偏差で、積乱雲の発生・発達が活発だったことを示している。また、フィリピン付近は正偏差で、積乱雲の発生・発達が不活発だった。 850hPa温度:中央シベリアでは4℃以上の正偏差だった一方、日本付近は本州を中心に負偏差だった。
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月平均500hPa高度・偏差分布図 | 月平均850hPa気温・偏差分布図 |
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月平均海面更正気圧・偏差分布図 | 月平均外向き長波放射量・偏差分布図 |
記録と台風
小樽 倶知安 紋別
諏訪
第2号(11日)
九州南部、九州北部(6日ごろ) 四国、中国、近畿、東海、関東甲信(7日ごろ) 北陸、東北南部、東北北部(21日ごろ)
沖縄(22日ごろ) 奄美(29日ごろ)