日本の月の天候 ------------------ 対象期間:

2016年(平成28年)12月の特徴

○月平均気温は東日本以南でかなり高く、沖縄・奄美では記録的高温となった

 東日本以南では北からの寒気の影響を受けにくく、月平均気温はかなり高かった。特に、沖縄・奄美では、月平均気温平年差が+1.8℃と、12月として1位の高温(統計開始は1946年)となった。

○月降水量は東日本太平洋側と西日本でかなり多く、北日本太平洋側でも多かった

 低気圧が発達しながら日本付近を通過してまとまった降水量となった日があり、月降水量は東日本太平洋側と西日本でかなり多く、北日本太平洋側でも多かった。

○東北地方以南では月降雪量が少なかった

 東北地方以南では、北からの寒気の影響が弱く、月降雪量が少なかった。

概況

地域平均気温経過図

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図

 数日の周期で低気圧が通過し、低気圧の通過後は北日本を中心に冬型の気圧配置になった。低気圧が発達しながら日本付近を通過してまとまった降水量となった日があり、月降水量は東日本太平洋側と西日本でかなり多く、北日本太平洋側でも多かった。

 北日本では、月平均気温は平年並だったものの、月の前半と月末には北海道地方を中心に低温の時期があったが、その間には高温となった時期もあり、気温の変動は大きかった。一方、東日本以南では、冬型の気圧配置は長続きせず、寒気の影響を受けにくかったため、月平均気温はかなり高かった。沖縄・奄美では、月平均気温平年差が+1.8℃と、12月として1位の高温(統計開始は1946年)となった。22日には、日本海の発達中の低気圧に向かって南よりの風が強まり、東日本日本海側と西日本の各地で12月として記録的な高温となった。

 月降雪量は、北海道地方では平年並だったものの、低気圧の影響で局地的に大雪となった日があった。一方、東北地方以南では、北からの寒気の影響は弱く、月降雪量は少なかった。

平均気温:東・西日本、沖縄・奄美でかなり高かった。北日本では平年並だった。

降水量:東日本太平洋側、西日本でかなり多く、北日本太平洋側で多かった。沖縄・奄美では少なかった。北・東日本日本海側では平年並だった。

日照時間:北日本日本海側、東日本で多かった。北日本太平洋側、西日本、沖縄・奄美では平年並だった。

月TRS分布図 旬別RS経過図
月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図

天候経過


    上旬

     北日本では気圧の谷の影響を受けやすく、旬降水量が多かった。特に9日から10日は低気圧が発達しながら北日本を通過して、札幌で10日の日最深積雪が65センチに達するなど北海道日本海側を中心に大雪となった。一方、本州付近は大陸から移動してきた高気圧に覆われやすく、冬型の気圧配置は長続きしなかった。このため、東・西日本では気温が高く、太平洋側は晴れの日が多かった。西日本日本海側でもこの時期としては旬間日照時間が多かった。沖縄・奄美では、前線の影響を受けやすく、前線に向かって南から暖かく湿った空気が流れ込みやすかった。このため、旬平均気温はかなり高く、旬降水量は多く、旬間日照時間は少なかった。

     旬平均気温:沖縄・奄美でかなり高く、東・西日本で高かった。北日本では平年並だった。

     旬降水量:北日本と沖縄・奄美で多く、西日本日本海側で少なかった。東日本と西日本太平洋側では平年並だった。

     旬間日照時間:北日本日本海側、東日本太平洋側と西日本で多かった一方、沖縄・奄美で少なかった。北日本太平洋側と東日本日本海側では平年並だった。


    中旬

     旬のはじめは、北日本から西日本に強い寒気が流れ込み、冬型の気圧配置が強まった。13日から14日にかけては、本州南岸を低気圧が発達しながら通過したため、全国的に天気が崩れ、東・西日本太平洋側では降水量が多くなった。その後は、17日頃にかけて全国的に強い寒気が流れ込み、北日本から西日本の日本海側は概ね雪や雨となり、東・西日本太平洋側の平地でも雪となった所があった。旬の終わりは冬型の気圧配置が緩んで、高気圧が勢力を強めながら本州付近を東へ移動したため、全国的に寒さが緩み、日本海側でも晴れた所が多く、北日本日本海側では旬間日照時間がこの時期としてはかなり多くなった。沖縄・奄美では、旬の中頃に一時的に気温が平年を下回ったほかは、寒気の影響を受けにくく、旬平均気温は高く、旬間日照時間も多かった。

     旬平均気温:沖縄・奄美で高く、北・東・西日本では平年並だった。

     旬降水量:東・西日本太平洋側でかなり多く、西日本日本海側で多かった。一方、北日本日本海側と沖縄・奄美で少なかった。北日本太平洋側と東日本日本海側で平年並だった。

     旬間日照時間:北日本日本海側でかなり多く、北日本太平洋側と沖縄・奄美で多かった。東日本太平洋側と東日本日本海側及び西日本では平年並だった。


    下旬

     旬の中頃にかけては、低気圧が日本海から北日本を発達しながら通過しやすく、発達中の低気圧に向かって南から暖かい空気が流れ込みやすかった。このため、北日本太平洋側と西日本では旬降水量がかなり多く、特に西日本日本海側では旬降水量が平年比320%となり、12月下旬として1位の多雨(統計開始は1961年)となった。また、東・西日本では旬平均気温がかなり高く、沖縄・奄美でも高かった。特に22日には、日本の東で高気圧の勢力が強く、日本海の発達中の低気圧に向かって南よりの風が強まり、東日本日本海側と西日本の各地で12月として記録的な高温となった。この低気圧は23日には急速に発達しながら北日本を通過したため、全国的に雨や雪となり、北日本では大荒れ、東・西日本では大雨となった所があった。また、北海道地方を中心に大雪となり、特に札幌では、この低気圧による大雪と9日から10日頃の大雪の影響なども加わり、23日の日最深積雪が96センチに達し、12月として1966年以来50年ぶりに90センチを超えた。26日から27日には低気圧が日本付近を通過し、全国的に雨や雪となり、西日本では大雨となった所もあった。旬の終わりは、ほぼ全国的に寒気が流れ込み、低温となった。

     旬平均気温:東・西日本でかなり高く、沖縄・奄美でも高かった。北日本では平年並だった。

     旬降水量:北日本太平洋側と西日本でかなり多く、北日本日本海側と東日本でも多かった。一方、沖縄・奄美では少なかった。

     旬間日照時間:北・西日本太平洋側は少なかった。北・西日本日本海側、東日本と沖縄・奄美では平年並だった。

極東循環場の特徴

      500hPa天気図:大陸東部から日本付近では高度が高く、強い寒気は日本の北に流れこみやすい一方、日本付近への南下は弱かった。また、日本の南海上も高度が高く、この付近でも暖かい空気に覆われやすかった。このため、東日本以西では月平均気温がかなり高かった一方、北日本では寒気の影響を受けた時期もあり月平均気温は平年並となった。

      海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、大陸では気圧が負偏差でシベリア高気圧は弱かった一方、日本付近から日本の東では正偏差で、東日本以南では冬型の気圧配置は弱かった。外向き長波放射量平年偏差は、インドネシア付近とインドシナ半島付近は負偏差で、この付近で対流活動が活発だった。一方、フィリピンの東と太平洋赤道域の日付変更線付近では正偏差で、対流活動が不活発だった。 850hPa温度:本州以南は広く正偏差となった一方、北海道の北は負偏差で、北海道付近では平年との隔たりが小さかった。

月平均500hPa高度・偏差分布図 月平均850hPa気温・偏差分布図
月平均500hPa高度・偏差分布図 月平均850hPa気温・偏差分布図
月平均海面更正気圧・偏差分布図 月平均外向き長波放射量(OLR)偏差分布図
月平均海面更正気圧・偏差分布図 月平均外向き長波放射量・偏差分布図

記録と台風

  • 月平均気温の高い記録
  • 西表島 宮古島 久米島 那覇 名護

  • 月降水量の多い記録
  • 萩 山口

  • 月降水量の少ない記録
  • 稚内

  • 台風の発生(速報値、日本時間)
  • 第26号(22日)

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