日本の月の天候 ------------------ 対象期間:

2016年(平成28年)9月の特徴

○東日本以西で日照時間がかなり少なく、西日本では降水量がかなり多い

 前線が本州付近に停滞しやすかった影響や台風がたびたび接近・上陸したことにより、東・西日本、沖縄・奄美では月間日照時間がかなり少なく、西日本日本海側では平年比64%で統計を開始した1946年以降で最も少なくなった。また、西日本では月降水量がかなり多かった。

○台風第16号により西日本中心の大雨

 台風第16号が中旬後半に東シナ海から東海道沖へと東進したため、九州や四国では降水量(17〜20日)が400mmを超える大雨となり、土砂災害や浸水害など大きな被害が発生した。

○全国的に高温

 南から暖かい空気が入りやすかったため、全国的に気温は高く、沖縄・奄美ではかなり高かった。

概況

地域平均気温経過図

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図

 前線が本州付近に停滞しやすかった影響や台風がたびたび接近・上陸したことにより、東・西日本、沖縄・奄美では曇りや雨の日が多く、月間日照時間がかなり少なかった。特に、西日本日本海側では月間日照時間が平年比64%で統計を開始した1946年以降で最も少なくなった。また、月降水量は、西日本でかなり多く、平年比が180%以上となったほか、東日本や沖縄・奄美でも多かった。北日本でも、前線の影響や上旬に北海道付近を低気圧が通ることが多かったことから、曇りや雨の日が多く、月間日照時間は少なかった。

上旬前半は、台風第12号が、沖縄の東から九州の南を通り、東シナ海を北上後、5日未明に長崎市付近に上陸し、九州では大雨となった所もあった。上旬後半は、台風第13号が、先島諸島から九州の南に進んだのち、温帯低気圧に変わり、本州の太平洋岸沿いを北上して北海道付近に達した。北日本太平洋側では各地で浸水害や土砂災害が発生した。中旬後半は、台風第16号が、先島諸島付近から東シナ海を北上し、20日には鹿児島県大隅半島に上陸した後、高知県室戸岬付近を通過し、和歌山県田辺市付近に再上陸した。九州や四国では17日から20日の降水量が400mmを超えた所もあり、この大雨により土砂災害や河川の増水、浸水害等が発生した。また、下旬後半には先島諸島では台風第17号の接近により大荒れの天気となった。

中旬の終わりから下旬の初めにかけて北・東日本を中心に一時的に寒気が流れ込んだ他は、強い寒気の南下はなく、日本の南海上で太平洋高気圧が強かったため、南から暖かい空気が入りやすく、気温は全国的に高く、沖縄・奄美ではかなり高かった。

平均気温:沖縄・奄美ではかなり高く、北・東・西日本で高かった。

降水量:西日本でかなり多く、東日本と沖縄・奄美で多かった。北日本は平年並だった。

日照時間:東・西日本と沖縄・奄美でかなり少なく、北日本で少なかった。

月TRS分布図 旬別RS経過図
月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図

天候経過


    上旬

     日本の南東海上で高気圧の勢力が強く、東日本はおおむね晴れた一方、北・西日本と沖縄・奄美では、低気圧や湿った気流の影響で曇りや雨の日が多かった。旬の前半は、九州や北海道では湿った空気が入りやすく、天気がぐずついた、1日に沖縄の南で発生した台風第12号は、沖縄の東から東シナ海へと北上し、5日未明に長崎市付近に上陸し、九州では大雨となった所もあった。旬の後半は、北日本では北海道を中心に低気圧の影響により、沖縄・奄美では、台風や前線の影響により、天気がぐずついた。北海道では6日から7日に低気圧による大雨で河川がはん濫し浸水害が発生した。また、台風第13号が6日に先島諸島、7日に九州の南に進み、8日から9日には温帯低気圧となって本州の太平洋岸沿いを北上し、10日には北海道付近に達した。このため8日から9日は、北日本太平洋側では大雨となり、各地で浸水害や土砂災害が発生した。

     旬平均気温:東日本でかなり高く、北日本と沖縄・奄美で高かった。西日本は平年並だった。

     旬降水量:北日本、西日本太平洋側、沖縄・奄美で多かった。一方、東日本日本海側で少なかった。東日本太平洋側と西日本日本海側は平年並だった。

     旬間日照時間:沖縄・奄美でかなり少なく、北日本と西日本日本海側で少なかった。一方、東日本で多かった。西日本太平洋側は平年並だった。


    中旬

     北日本から西日本にかけては、本州南岸沿いに停滞した前線や台風第16号の影響で、曇りや雨の日が続き、大雨となる日もあった。沖縄・奄美では、旬の中頃までは太平洋高気圧に覆われ概ね晴れたが、17日以降は台風第16号の接近などにより曇りや雨の日が多かった。旬間日照時間は、東日本日本海側で平年比38%、東日本太平洋側で平年比26%、西日本日本海側で平年比44%といずれも統計開始(1961年)以降最も少なかった。また。西日本日本海側では旬降水量が平年比348%と統計開始(1961年)以降最も多かった。台風第16号は、17日に先島諸島付近を通り、18日から19日は東シナ海を北上し、20日0時過ぎに鹿児島県大隅半島に上陸した。その後、高知県室戸岬付近を通過し、20日13時半頃和歌山県田辺市付近に再上陸した。この台風第16号や前線の影響により各地で大雨となり、九州や四国では17日〜20日の降水量が400mmを超えた所もあった。この大雨により土砂災害や河川の増水、浸水害等が発生した。

     旬平均気温:沖縄・奄美でかなり高かった。北・東・西日本は平年並だった。

     旬降水量:東・西日本でかなり多く、沖縄・奄美で多かった。北日本は平年並だった。

     旬間日照時間:東・西日本でかなり少なく、北日本と沖縄・奄美で少なかった。


    下旬

     前線が、旬の前半は本州南岸付近に、旬の後半は日本海から東北地方に停滞したため、東北地方以南では曇りや雨の日が多かった。28日から29日にかけては、九州北部では前線の影響で大雨となり、日降水量が400mmを超えた所もあった。また、九州各地で突風災害が発生した。一方、北海道は、移動性高気圧に覆われおおむね晴れた。27日には台風第17号が沖縄地方に接近したため、先島諸島では暴風や大雨となった。全国的に暖かい空気が流れ込みやすかったため、気温が高く、北・西日本ではかなり高かった。

     旬平均気温:北・西日本でかなり高く、東日本、沖縄・奄美で高かった。

     旬降水量:北日本で少なかった。一方、東・西日本日本海側で多かった。東・西日本太平洋側と沖縄・奄美は平年並だった。

     旬間日照時間:北日本太平洋側と東・西日本で少なかった。北日本日本海側と沖縄・奄美は平年並だった。

極東循環場の特徴

      500hPa天気図:華中で高度が低く、日本付近から日本の東海上で高度が高かった。また、日本の南海上の高度が高く、太平洋高気圧の勢力が強かった。このため、日本付近には南からの暖かく湿った空気が流れ込みやすかった。

      海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は日本の南東海上で高く、この付近では太平洋高気圧の勢力が強く、日本付近には南から暖かく湿った空気が流れ込みやすかった。一方、沖縄の南から本州付近は台風や前線の影響で海面気圧が相対的に低くなった。外向き長波放射量平年偏差は、インドネシアからフィリピン付近では負偏差で対流活動が活発だった一方、日本の南東海上では高気圧の勢力が強く対流活動が抑えられ、正偏差となった。高気圧の縁にあたる沖縄の南から本州付近では、台風や前線の影響で負偏差となった。 850hPa温度:日本付近は正偏差となった。

月平均500hPa高度・偏差分布図 月平均850hPa気温・偏差分布図
月平均500hPa高度・偏差分布図 月平均850hPa気温・偏差分布図
月平均海面更正気圧・偏差分布図 月平均外向き長波放射量(OLR)偏差分布図
月平均海面更正気圧・偏差分布図 月平均外向き長波放射量・偏差分布図

記録と台風

  • 月平均気温の高い記録
  • 名瀬

  • 月降水量の多い記録
  • 延岡

  • 月降水量の少ない記録
  • 留萌* (*はタイ記録)

  • 月間日照時間の少ない記録
  • 松江 浜田 下関 福山 山口 飯塚 雲仙岳 那覇

  • 台風の発生(速報値、日本時間)
  • 第12号(1日) 第13号(6日) 第14号(10日) 第15号(13日) 第16号(13日) 第17号(23日) 第18号(28日)

  • 台風の接近(速報値)
  • 第12号(沖縄地方、奄美地方、九州南部、九州北部地方、四国地方、中国地方) 第13号(沖縄地方、奄美地方、九州南部、九州北部地方、四国地方、近畿地方、東海地方、伊豆諸島・小笠原諸島) 第16号(沖縄地方、奄美地方、九州南部、九州北部地方、四国地方、中国地方、近畿地方、東海地方、伊豆諸島・小笠原諸島、関東甲信地方、北陸地方) 第17号(沖縄地方)

  • 台風の上陸(速報値、日本時間)
  • 第12号(長崎県長崎市付近、5日) 第16号(鹿児島県大隅半島、20日、和歌山県田辺市付近、20日=再上陸)

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