日本の月の天候 ------------------ 対象期間:
2016年(平成28年)7月の特徴
○東・西日本、沖縄・奄美は高温、北日本の気温は平年並
東日本以西は、暖かい空気に覆われたため月平均気温は高く、特に沖縄・奄美では平年差+0.9℃で1946年の統計開始以来1位タイの高温だった。一方、北日本では寒気の影響を受ける時期があったため、月平均気温は平年並だった。
○東日本太平洋側と東北地方の降水量は少なかった
東日本太平洋側と東北地方では、梅雨前線の影響が弱く降水量が少なかった。
○九州南部の降水量はかなり多かった
九州南部では、月の前半はたびたび大雨となったため、月降水量はかなり多かった。
概況

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
月の前半は、本州付近に南からの暖かく湿った空気が流れ込みやすく、梅雨前線の活動が西日本付近で活発だったため、西日本では九州を中心に所々で大雨となり、九州南部の月降水量はかなり多くなった。また、日本海から北日本付近を低気圧がたびたび通過したため、北日本日本海側でも大雨となった所があった。一方、東日本付近では梅雨前線の活動は全般に不活発だったため、東日本太平洋側と東北地方の月降水量は少なかった。月の後半は、本州付近は北に偏った高気圧に覆われたため、北日本日本海側を中心に日本海側で晴れの日が多かった一方、北・東日本太平洋側では冷たく湿った東よりの風の影響で曇りの日が多かった。月の終わりころは、本州付近は太平洋高気圧に覆われ、東北以南では晴れたが、北海道では前線や低気圧の影響で雨が降り、大雨となった所があった。
沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多かったが、7日〜8日にかけて沖縄の南を西北西へ進んだ台風第1号や南からの暖かく湿った気流の影響で月降水量は多かった。
気温は、北日本では、月の初めや終わり頃は暖かい空気に覆われて高温だったが、上旬の中頃の寒気や月の後半に冷たく湿った東よりの風の影響を受けた影響で、月平均気温は平年並となった。東日本では、月の前半は暖かい空気に覆われて高温だったが、月の後半は冷たく湿った東よりの風の影響で低温となる時期があり、気温の変動が大きく、月平均気温は高かった。西日本では、上旬と月の終わり頃に暖かい空気に覆われ猛暑日となった所もあり、月平均気温は高かった。沖縄・奄美では、台風第1号や湿った気流の影響があった上旬の後半を除いて、太平洋高気圧に覆われて晴れて暖かい空気に覆われたため、月平均気温は平年差+0.9℃で1946年の統計開始以来1位タイの高温となった。
平均気温:沖縄・奄美ではかなり高く、東・西日本で高かった。北日本では平年並だった。
降水量:北日本日本海側、沖縄・奄美で多かった。一方、北・東日本太平洋側で少なかった。東日本日本海側、西日本で平年並だった。
日照時間:北日本日本海側、西日本、沖縄・奄美で多く、北日本太平洋側、東日本で平年並だった。
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2016年7月の地域平均気候表
※本文中の北・東・西日本の降水量・日照時間の特徴は、地域平均気候表における日本海側・太平洋側の階級に基づいて記述している。
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月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 | 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
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天候経過
上旬
旬の中頃までは梅雨前線が日本海に停滞し、前線上の低気圧が発達しながら北日本を通過した。このため、北日本から東日本日本海側では曇りや雨の日が多く、2日〜3日や6日は北日本の所々で大雨となった。一方、日本の南では太平洋高気圧が強まり、沖縄・奄美付近から本州南岸を覆ったため、東日本太平洋側、西日本、沖縄・奄美では晴れの日が多かった。旬の終わり頃は、梅雨前線が東・西日本付近に停滞し、台風第1号が7日〜8日にかけて沖縄の南を西北西に進み8日に台湾に上陸した後、9日には華南に進み消滅した。このため本州付近には南から暖かく湿った空気が流れ込み、全国的に雨が降り西日本太平洋側では九州を中心に大雨となった所があった。西日本と沖縄・奄美の気温は、強い日射や南からの暖かい空気に覆われたためかなり高かった。
旬平均気温:西日本、沖縄・奄美ではかなり高く、北・東日本で高かった。
旬降水量:北日本日本海側、沖縄・奄美ではかなり多く、西日本太平洋側で多かった。一方、東日本太平洋側で少なく、北日本太平洋側、東・西日本日本海側では平年並だった。
旬間日照時間:東日本太平洋側、西日本で多く、北日本、東日本日本海側、沖縄・奄美では平年並だった。
中旬
東・西日本では、旬の中頃まで梅雨前線が本州付近に停滞したため曇りや雨の日が多く、西日本付近で前線活動が活発化したため、九州を中心に大雨となった所があった。旬の終わり頃は、梅雨前線の活動が弱まり、西日本を中心に高気圧に覆われたが、湿った気流や上空の寒気の影響で、にわか雨や雷雨となった所があった。北日本では、低気圧と高気圧が交互に通過したため、天気は数日の周期で変わった。沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多かったが、南からの暖かく湿った気流の影響で、旬の初めと終わり頃は曇りや雨の所があった。
旬平均気温:沖縄・奄美ではかなり高く、北・東・西日本で平年並だった。
旬降水量:北・東日本太平洋側で少なく、北・東日本日本海側、西日本、沖縄・奄美で平年並だった。
旬間日照時間:北日本、東日本太平洋側で多く、東日本日本海側、西日本、沖縄・奄美で平年並だった。
下旬
旬の中頃までは本州付近は北に偏った高気圧に覆われたため、北日本日本海側を中心に日本海側で晴れの日が多かったが、26日〜27日は気圧の谷の影響で、東日本日本海側では記録的な大雨となった所があった。一方、北・東日本太平洋側では冷たく湿った東よりの風の影響で曇りの日が多く低温となった。旬の終わり頃は、本州付近は太平洋高気圧に覆われ、東北以南では晴れて猛暑日となった所があったが、北海道では前線や低気圧の影響で雨が降り、大雨となった所があった。
旬平均気温:東日本で低く、北・西日本で平年並だった。一方、沖縄・奄美ではかなり高かった。
旬降水量:西日本、沖縄・奄美で少なかった。一方、北・東日本日本海側で多く、北・東日本太平洋側では平年並だった。
旬間日照時間:北・西日本日本海側、沖縄・奄美で多かった。一方、北・東日本太平洋側で少なく、東日本日本海側、西日本太平洋側で平年並だった。
極東循環場の特徴
500hPa天気図:日本の南では高度が高く、亜熱帯高気圧は強かった。また、カムチャツカ半島付近を中心に日本の北でも高度が高かった一方、日本の東では負偏差が広がった。このため、沖縄・奄美を中心に暖かい空気に覆われやすかった一方、北・東日本太平洋側を中心に寒気の影響を受ける時期があった。
海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、日本付近は正偏差でカムチャツカ半島付近で正偏差が明瞭だった。一方、日本の南東海上は負偏差だった。外向き長波放射量平年偏差は、インド洋東部では負偏差でこの付近で対流活動が活発だった。一方、南シナ海からフィリピンの東にかけては正偏差で、対流活動は不活発だった。 850hPa温度:カムチャツカ半島付近やバイカル湖の東付近では正偏差が明瞭で西日本から沖縄・奄美付近は正偏差だった。一方、北日本から東日本にかけては負偏差で月の後半は寒気の影響を受ける時期があった。
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月平均500hPa高度・偏差分布図 | 月平均850hPa気温・偏差分布図 |
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月平均海面更正気圧・偏差分布図 | 月平均外向き長波放射量・偏差分布図 |
記録と台風
与那国島* 西表島* 久米島 名護* (*はタイ記録)
白河
1号(3日)、2号(24日)、3号(26日)、4号(30日)
1号(沖縄地方)
九州南部、九州北部、四国、中国、近畿、東海(18日頃) 北陸(22日頃) 関東甲信(28日頃) 東北南部、東北北部(29日頃)