2025年10月の天候

2025年11月4日 掲載

2025年10月の特徴

* 気温は、西日本と沖縄・奄美でかなり高かった

気温は、上・中旬を中心に暖かい空気に覆われた西日本と沖縄・奄美でかなり高く、沖縄・奄美では1946年の統計開始以降、10月として1位の高温となった。

* 降水量は、東日本日本海側と沖縄・奄美で多かった

降水量は、低気圧や前線の影響を受けやすかった東日本日本海側と、下旬を中心に熱帯低気圧、湿った空気や前線の影響を受けやすかった沖縄・奄美で多かった。

* 日照時間は、東日本太平洋側でかなり少なく、沖縄・奄美でかなり多かった

日照時間は、停滞前線の影響を受けやすく曇りの日が多かった東日本太平洋側でかなり少なかった。一方、上・中旬に高気圧に覆われて晴れた日が多かった沖縄・奄美でかなり多かった。

概況

上・中旬には、華北から日本海付近にかけて偏西風が平年より北に偏って流れたため、上旬には全国的に、中旬には西日本と沖縄・奄美を中心に暖かい空気に覆われた。また、西日本では低気圧や前線に向かって暖かい空気が流れ込んだ時期もあり、沖縄・奄美では高気圧に覆われて晴れた日が多かった。これらのことから、西日本と沖縄・奄美では月平均気温がかなり高く、沖縄・奄美では月平均気温平年差が+2.3℃となり、1946年の統計開始以降、10月として1位の高温となった。一方、上旬には気温がかなり高かった北・東日本では、月の半ば以降にこの時期としては顕著に強まったシベリア高気圧などによる寒気の影響で、下旬の旬平均気温がかなり低くなるなど、平年に比べ月内の気温の低下が顕著に大きかった。

北・東・西日本では、上旬は低気圧と高気圧が交互に通り、天気は数日の周期で変わった。中旬は、低気圧や停滞前線、湿った空気の影響を受けやすかった北日本と東・西日本日本海側を中心に、曇りや雨の日が多かった。下旬は、北日本日本海側では低気圧や寒気の影響で曇りや雨の日が多く、東・西日本太平洋側では日本の南に停滞した前線の影響で曇りの日が多かった。これらのことから、月間日照時間は平年を下回った所が多く、特に東日本太平洋側ではかなり少なかった。月降水量は、東日本日本海側で多かった。

沖縄・奄美では、上・中旬に高気圧に覆われて晴れの日が多かったため、月間日照時間がかなり多かった。また、下旬を中心に熱帯低気圧、湿った空気や停滞前線の影響を受けやすかったため、月降水量は多かった。

平均気温は、西日本、沖縄・奄美ではかなり高かった。東日本では高かった。北日本では平年並だった。

降水量は、東日本日本海側、沖縄・奄美では多かった。北日本日本海側、北日本太平洋側、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側では平年並だった。

日照時間は、沖縄・奄美ではかなり多かった。東日本太平洋側ではかなり少なかった。北日本日本海側、北日本太平洋側、東日本日本海側、西日本日本海側では少なかった。西日本太平洋側では平年並だった。

気温、降水量、日照時間等の気候統計値

平均気温平年差、降水量平年比、日照時間平年比の分布 地域平均平年差、地域平均平年比の1位の値の更新状況
(図表)気温平年差、降水量平年比、日照時間平年比の分布

* 平均気温の高い記録を更新した地域

沖縄・奄美、九州北部地方、九州南部・奄美地方、九州南部、奄美地方、沖縄地方

四国地方(タイ)

* 平均気温の低い記録を更新した地域

なし

* 降水量の多い記録を更新した地域

なし

* 降水量の少ない記録を更新した地域

なし

* 日照時間の多い記録を更新した地域

なし

* 日照時間の少ない記録を更新した地域

なし

旬降水量の地域平均平年比、旬間日照時間の地域平均平年比の経過 平均気温の地域平均平年差の経過(5日移動平均)
(図表)旬降水量の地域平均平年比、旬間日照時間の地域平均平年比の経過
この図は翌月はじめに作成したものです。数日後により新しいデータを反映して図を作成していますので、引用等する場合は可能な限りこちらに掲載の図をご利用ください。(※1
(図表)気温の地域平均平年差の経過(5日移動平均) この図は翌月はじめに作成したものです。数日後により新しいデータを反映して図を作成していますので、引用等する場合は可能な限りこちらに掲載の図をご利用ください。(※1

旬別の天候経過

上旬

北・東・西日本では、天気は数日の周期で変わったが、北・西日本では高気圧に覆われて晴れた日が多く、北日本日本海側と北・西日本太平洋側の旬降水量はかなり少なかった。また、北日本日本海側では旬間日照時間がかなり多かった。西日本では、3日から4日にかけて本州付近を通過した低気圧や前線の影響で大雨となった所があり、3日には長崎県の厳原で日降水量278.0mmを観測し10月の極値を記録した。また、9日には、本州の南岸を通過した台風第22号の影響で、伊豆諸島では暴風や大雨となった所があり、伊豆諸島南部では線状降水帯が発生した。沖縄・奄美では、高気圧に覆われて晴れた日が多く、旬降水量はかなり少なく、旬間日照時間平年比は160%と1961年の統計開始以降10月上旬として1位の多照となった。旬平均気温は、暖かい空気に覆われやすく、低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ日もあったため、全国的にかなり高かった。旬平均気温平年差は、北日本で+2.2℃、西日本で+3.0℃、沖縄・奄美で+2.9℃となり、1946年の統計開始以降10月上旬として、沖縄・奄美では1位、北・西日本では1位タイの高温となった。

旬平均気温は、北日本、東日本、西日本、沖縄・奄美ではかなり高かった。

旬降水量は、西日本日本海側では多かった。北日本日本海側、北日本太平洋側、西日本太平洋側、沖縄・奄美ではかなり少なかった。東日本太平洋側では少なかった。東日本日本海側では平年並だった。

旬間日照時間は、北日本日本海側、沖縄・奄美ではかなり多かった。北日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側では多かった。東日本日本海側では少なかった。東日本太平洋側では平年並だった。

中旬

北・東・西日本では、北日本と東・西日本日本海側を中心に、低気圧や停滞前線、湿った空気の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多かった。旬間日照時間は、北日本太平洋側と東日本日本海側でかなり少なく、北・西日本日本海側と東・西日本太平洋側で少なかった。旬降水量は北・東・西日本日本海側と北日本太平洋側で多かった。13日には、台風第23号の影響を受けた伊豆諸島で大雨となった。沖縄・奄美では、高気圧に覆われて晴れた日が多く、旬間日照時間はかなり多かったが、期間の 終わりに湿った空気の影響を受けた日があり、旬降水量は多かった。旬平均気温は、東・西日本では、暖かい空気に覆われやすく、低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ日があったため、沖縄・奄美では、暖かい空気に覆われやすく、晴れた日が多かったため、かなり高かった。旬平均気温平年差は、西日本で+4.6℃、沖縄・奄美で+2.8℃となり、1946年の統計開始以降10月中旬として1位の高温となった。12日には、鹿児島県の肝付前田で、歴代で最も遅い猛暑日を観測した。

旬平均気温は、東日本、西日本、沖縄・奄美ではかなり高かった。北日本では平年並だった。

旬降水量は、北日本日本海側、北日本太平洋側、東日本日本海側、西日本日本海側、沖縄・奄美では多かった。東日本太平洋側、西日本太平洋側では平年並だった。

旬間日照時間は、沖縄・奄美ではかなり多かった。北日本太平洋側、東日本日本海側ではかなり少なかった。北日本日本海側、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側では少なかった。

下旬

期間前半には、強いシベリア高気圧が西日本付近まで張り出すとともに、日本の南には前線が停滞した。期間後半には、低気圧と高気圧が交互に日本付近を通過し、低気圧通過後には北日本には寒気が流れ込んだ。このため、全国的に曇りや雨の日が多く、旬間日照時間は全国的に少ない所が多く、北日本日本海側と沖縄・奄美ではかなり少なかった。沖縄・奄美では、旬間日照時間平年比が43%で、1961年の統計開始以降、10月下旬として最も少なかった。旬降水量は、熱帯低気圧や湿った空気、停滞前線の影響を受けた沖縄・奄美ではかなり多かった。旬平均気温は、寒気の影響を受け、また、晴れの日が少なかった北・東日本でかなり低かった。一方、停滞前線の南側に位置し、暖かい空気に覆われやすかった沖縄・奄美ではかなり高かった。

旬平均気温は、沖縄・奄美ではかなり高かった。北日本、東日本ではかなり低かった。西日本では平年並だった。

旬降水量は、沖縄・奄美ではかなり多かった。北日本日本海側、東日本日本海側、東日本太平洋側、西日本太平洋側では多かった。北日本太平洋側、西日本日本海側では平年並だった。

旬間日照時間は、北日本日本海側、沖縄・奄美ではかなり少なかった。東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側では少なかった。北日本太平洋側、東日本日本海側では平年並だった。

※ 下旬の循環場の図は翌月数日経ってから掲載します。掲載までお待ちください。

循環場

500hPa高度場等の特徴

亜熱帯ジェット気流が華北から日本海にかけて平年より北に偏って流れ、500hPa高度は日本付近で高く、西日本と沖縄・奄美を中心に暖かい空気に覆われやすかった。一方、中央シベリア付近にはリッジ、カムチャツカ半島付近にはトラフがあり、これらの影響で、海面気圧ではシベリア高気圧がこの時期としては顕著に強く、日本海付近まで張り出し、850hPa気温は大陸から日本海北部にかけて広く負偏差となった。一方、日本の南では平年より気圧が高く、沖縄・奄美は高気圧に覆われやすかった。これらのことより、日本付近では850hPa気温の南北の傾きが大きくなり、本州から日本の南にかけて前線が停滞しやすかった。

月別値で作成した図を表示しています。 (※2、翌月はじめに暫定版として作成・掲載している日別値の図はこちら 翌月はじめに暫定的に日別値で作成した図で、月末までのデータを含まない事があります。6日頃に月別値で作成した図を掲載します。(月別値の図は掲載後にこちらで確認できます)
2025年10月平均500hPa高度・偏差の分布(単位:m) 2025年10月平均850hPa気温・偏差の分布(単位:℃)
2025年10月平均海面気圧・偏差の分布(単位:hPa) 2025年10月平均外向き長波放射量の偏差の分布(単位:W/m2
外向き長波放射量(OLR)の図は翌月数日経ってから作成しています。
※ 米国海洋大気庁(NOAA)が作成する外向き長波放射量(OLR)のデータが欠損により利用できない場合には、OLR偏差図は描画されません。

資料





: 特に作成日の言及がない図は、本資料を掲載した月初時点に作成したものです。

※1 : リンク先の図表類は、平年値更新時などに再作成されることがあります。リンク先にある平年値期間などの記述をご確認ください。

※2 : こちらに掲載しているものと同じ図を表示しています。平年値が変わった場合などには図を再作成することがあるため、解説内容と齟齬が生じることもあります。

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