2025年7月の天候
2025年8月1日 掲載
2025年7月の特徴
* 気温は、北・東・西日本でかなり高かった。日本の月平均気温は7月として最も高かった
平均気温は、偏西風が平年より顕著に北に偏って流れたため暖かい空気に覆われ、また、太平洋高気圧の影響で晴れた日が多かった北・東・西日本でかなり高く、1946年の統計開始以降、それぞれ7月として1位の高温となった。また、全国153の気象台等のうち98地点で、月平均気温が7月として歴代1位の高温となった。日本の月平均気温(*)の基準値からの偏差は+2.89℃となり、統計を開始した1898年以降の7月として最も高かった。
* 降水量は、北・東・西日本日本海側と北日本太平洋側でかなり少なかった一方、沖縄・奄美でかなり多かった
降水量は、太平洋高気圧に覆われやすく、梅雨前線や湿った空気の影響が弱かった北・東・西日本日本海側と北日本太平洋側でかなり少なかった。一方、台風や湿った空気の影響を受けやすかった沖縄・奄美ではかなり多かった。東日本日本海側では、1946年の統計開始以降、7月として1位の少雨となった。
* 日照時間は、北・東・西日本日本海側と北・東・西日本太平洋側でかなり多かった一方、沖縄・奄美ではかなり少なかった
日照時間は、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かった北・東・西日本日本海側と北・東・西日本太平洋側でかなり多かった。一方、台風や湿った空気の影響を受けて曇りや雨の日が多かった沖縄・奄美ではかなり少なかった。東・西日本日本海側では、1946年の統計開始以降、7月として1位の多照となった。
概況
偏西風が平年より顕著に北に偏って流れ続け、北・東・西日本は暖かい空気に覆われた。また、太平洋高気圧が本州付近に張り出し、梅雨前線の活動が弱かったため、北・東・西日本では晴れて気温が高い日が多かった。一方、太平洋高気圧の軸の南側に位置した沖縄・奄美では、台風や湿った空気の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多かった。これらのことから、北・東・西日本では記録的な高温で顕著な少雨・多照となった所が多く、対照的に沖縄・奄美では顕著な多雨・寡照となった。
月平均気温は北・東・西日本でかなり高く、月平均気温平年差がそれぞれ+4.5℃、+2.7℃、+2.2℃となり、1946年の統計開始以降、7月として1位の高温となった。また、全国153の気象台等のうち98地点で、月平均気温が7月として歴代1位の高温となった(10地点のタイ記録を含む)。地球温暖化等の長期的な気候変動の監視に用いる15地点の観測値による日本の月平均気温(*)の基準値からの偏差は+2.89℃で、統計を開始した1898年以降の7月として、2024年の記録(+2.16℃)を0.73℃上回り、最も高かった。一方、太平洋高気圧の軸の南側に位置し、台風や湿った空気の影響を受けやすかった沖縄・奄美では、月平均気温は低かった。
月降水量は、太平洋高気圧に覆われやすく、梅雨前線や湿った空気の影響が弱かったため、北・東・西日本日本海側と北日本太平洋側でかなり少なく、東・西日本太平洋側では少なかった。東日本日本海側では月降水量平年比が8%で、1946年の統計開始以降、7月として1位の少雨となった。一方、台風や湿った空気の影響を受けやすかった沖縄・奄美では月降水量はかなり多く、記録的な大雨となった所もあった。
月間日照期間は、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かった北・東・西日本日本海側と北・東・西日本太平洋側でかなり多かった。東・西日本日本海側では、月間日照時間平年比がそれぞれ190%、176%となり、1946年の統計開始以降、7月として1位の多照となった。一方、台風や湿った空気の影響を受けやすかった沖縄・奄美では月間日照時間はかなり少なかった。
(*)都市化による影響が比較的小さく、長期間の観測が行われている地点から、地域的に偏りなく分布するように選定した15地点(網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島)の気象台等の観測値を用いた1898年以降の統計。
降水量は、沖縄・奄美ではかなり多かった。北日本日本海側、北日本太平洋側、東日本日本海側、西日本日本海側ではかなり少なかった。東日本太平洋側、西日本太平洋側では少なかった。
日照時間は、北日本日本海側、北日本太平洋側、東日本日本海側、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側ではかなり多かった。沖縄・奄美ではかなり少なかった。
気温、降水量、日照時間等の気候統計値
平均気温平年差、降水量平年比、日照時間平年比の分布 | 地域平均平年差、地域平均平年比の1位の値の更新状況 |
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* 平均気温の高い記録を更新した地域北日本、東日本、西日本、北海道地方、東北地方、北陸地方、近畿地方、中国地方、四国地方、九州北部地方 関東甲信地方(タイ) * 平均気温の低い記録を更新した地域なし * 降水量の多い記録を更新した地域なし * 降水量の少ない記録を更新した地域東日本日本海側、東北日本海側、北陸地方
* 日照時間の多い記録を更新した地域東日本、東日本日本海側、西日本日本海側、東北日本海側、東北南部、北陸地方、東海地方、近畿地方、近畿日本海側、近畿太平洋側、中国地方、山陰、山陽 西日本(タイ) * 日照時間の少ない記録を更新した地域なし |
旬降水量の地域平均平年比、旬間日照時間の地域平均平年比の経過 | 平均気温の地域平均平年差の経過(5日移動平均) |
![]() この図は翌月はじめに作成したものです。数日後により新しいデータを反映して図を作成していますので、引用等する場合は可能な限りこちらに掲載の図をご利用ください。(※1) |
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旬別の天候経過
上旬
北・東・西日本では、湿った空気の影響で大雨となった所もあったが、西日本日本海側を中心に太平洋高気圧に覆われて、この時期としては晴れの日が多かった。このため、旬降水量は北・東・西日本日本海側と北・西日本太平洋側でかなり少なく、東日本太平洋側で少なかった。特に東日本日本海側では平年比6%、西日本日本海側では平年比3%(2000年と並ぶ1位タイ)と、1946年以降、7月上旬として降水量の少ない方からの極値を更新した。また、旬間日照時間は、北・東・西日本太平洋側と東・西日本日本海側でかなり多く、北日本日本海側で多かった。特に西日本日本海側では、平年比247%と1961年の統計開始以降、7月上旬として最も多照となった。東海地方では4日頃、梅雨明けしたとみられる(速報値)。沖縄・奄美では、期間のはじめは、太平洋高気圧に覆われて晴れの日があったが、その後は沖縄地方では、台風第4号や湿った空気などの影響で曇りや雨の日が多かった。このため、旬降水量は沖縄地方では多かった。また、旬間日照時間は、沖縄地方では少なかったが、奄美地方では、台風第4号や湿った空気の影響を受けにくく多かった。旬平均気温は、偏西風が平年よりも大きく北を流れたため暖かい空気に覆われやすかった北・東・西日本でかなり高かった。旬平均気温平年差は、北日本で+5.2℃、東日本で+3.9℃、西日本で+3.7℃となり、1946年の統計開始以降、7月上旬として1位の高温となった。
旬降水量は、沖縄・奄美では多かった。北日本日本海側、北日本太平洋側、東日本日本海側、西日本日本海側、西日本太平洋側ではかなり少なかった。東日本太平洋側では少なかった。
旬間日照時間は、北日本太平洋側、東日本日本海側、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側ではかなり多かった。北日本日本海側では多かった。沖縄・奄美では平年並だった。
中旬
北日本では、東北地方を中心に前線や湿った空気の影響を受けにくかったほか、太平洋高気圧の北への張り出しが強く、この時期として晴れの日が多かった。このため、旬間日照時間は、北日本日本海側ではかなり多く、北日本太平洋側では多かった。また、旬降水量は、北日本太平洋側では少なかった。東・西日本では、太平洋側を中心に太平洋高気圧の縁を回る湿った空気の流れ込みや台風第5号の影響で曇りや雨の日があったが、東日本日本海側を中心に、前線や湿った空気の影響を受けにくく、この時期として晴れの日が多かった。このため、東日本日本海側では、旬降水量はかなり少なく、旬間日照時間はかなり多かった。また、西日本日本海側と西日本太平洋側では、旬間日照時間は多かった。一方、東・西日本太平洋側では、湿った空気により大雨となった所があり、旬降水量は多かった。なお、関東甲信地方、北陸地方と東北南部では18日頃に、東北北部では19日頃に梅雨明けしたとみられる(速報値)。沖縄・奄美では、熱帯低気圧や湿った空気などの影響で曇りや雨の日が多かった。このため、旬降水量は多く、旬間日照時間はかなり少なかった。気温は、北・東・西日本では、暖かい空気に覆われやすかったことに加え、北日本を中心に南からの暖かい空気の流れ込みもあり、北日本でかなり高く、東・西日本で高かった。一方、沖縄・奄美では平年並だったが、湿った空気の影響で低い所もあった。
旬降水量は、東日本太平洋側、西日本太平洋側、沖縄・奄美では多かった。東日本日本海側ではかなり少なかった。北日本太平洋側では少なかった。北日本日本海側、西日本日本海側では平年並だった。
旬間日照時間は、北日本日本海側、東日本日本海側ではかなり多かった。北日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側では多かった。沖縄・奄美ではかなり少なかった。東日本太平洋側では平年並だった。
下旬
偏西風が平年よりも大きく北に偏って流れ、また、太平洋高気圧が本州付近に張り出したため、北・東・西日本は暖かい空気に覆われるとともに晴れて顕著に気温が高い日が多く、日最高気温35℃以上の猛暑日が続いた所も多かった。30日には兵庫県丹波市柏原で日最高気温が41.2℃となり、全国の気象台等とアメダスにおける観測史上1位の高温を記録した。一方、沖縄・奄美では台風第7号、8号や湿った空気の影響を受けやすかった。このため、旬平均気温は北・東・西日本でかなり高く、沖縄・奄美では低かった。旬平均気温平年差は、北日本で+4.7℃で、1946年の統計開始以降、7月下旬として1位の高温となった。旬降水量は、北・東日本太平洋側と東・西日本日本海側でかなり少なく、北日本日本海側と西日本太平洋側で少なかった。一方、沖縄・奄美ではかなり多かった。旬降水量平年比は、東日本日本海側で0%、西日本日本海側で1%で、1946年の統計開始以降で7月下旬として1位タイの少雨となった。旬間日照時間は、東・西日本日本海側と北・東・西日本太平洋側でかなり多く、北日本日本海側で多かった。一方、沖縄・奄美ではかなり少なかった。旬間日照時間平年比は、東・西日本日本海側と東日本太平洋側で、それぞれ198%、178%、179%となり、1961年の統計開始以降で7月下旬として1位の多照となった。
旬降水量は、沖縄・奄美ではかなり多かった。北日本太平洋側、東日本日本海側、東日本太平洋側、西日本日本海側ではかなり少なかった。北日本日本海側、西日本太平洋側では少なかった。
旬間日照時間は、北日本太平洋側、東日本日本海側、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側ではかなり多かった。北日本日本海側では多かった。沖縄・奄美ではかなり少なかった。
循環場
500hPa高度場等の特徴
亜熱帯ジェット気流が大きく北に偏って流れたため、500hPa高度は平年に比べ北日本付近を中心に顕著に高く、北・東・西日本は暖かい空気に覆われやすかった。海面気圧では、太平洋高気圧が本州付近に張り出した一方、日本の南では低圧部となった。このため、北・東・西日本は、梅雨前線の影響が弱く、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かった。一方、沖縄・奄美では台風や湿った空気の影響を受けやすかった。
月別値で作成した図を表示しています。 (※2、翌月はじめに暫定版として作成・掲載している日別値の図はこちら) 翌月はじめに暫定的に日別値で作成した図で、月末までのデータを含まない事があります。6日頃に月別値で作成した図を掲載します。(月別値の図は掲載後にこちらで確認できます) | |
2025年7月平均500hPa高度・偏差の分布(単位:m) | 2025年7月平均850hPa気温・偏差の分布(単位:℃) |
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2025年7月平均海面気圧・偏差の分布(単位:hPa) | 2025年7月平均外向き長波放射量の偏差の分布(単位:W/m2) |
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外向き長波放射量(OLR)の図は翌月数日経ってから作成しています。 |
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※ 米国海洋大気庁(NOAA)が作成する外向き長波放射量(OLR)のデータが欠損により利用できない場合には、OLR偏差図は描画されません。 |
資料
※ : 特に作成日の言及がない図は、本資料を掲載した月初時点に作成したものです。
※1 : リンク先の図表類は、平年値更新時などに再作成されることがあります。リンク先にある平年値期間などの記述をご確認ください。
※2 : こちらに掲載しているものと同じ図を表示しています。平年値が変わった場合などには図を再作成することがあるため、解説内容と齟齬が生じることもあります。