日本の年の天候 ------------------ 対象期間:
2020年の日本の天候の主な特徴は以下のとおりである。
○気温の高い状態が続き、年平均気温は全国的にかなり高かった。
○全国的に暖冬で、東・西日本で記録的な高温、日本海側で記録的な少雪となった。
○「令和2年7月豪雨」など7月は東・西日本で記録的な大雨と日照不足となった。
年間の平均気温、降水量、日照時間は以下のとおりである。
平均気温:全国的にかなり高かった。
年降水量:西日本日本海側でかなり多く、北日本日本海側と東・西日本太平洋側、沖縄・奄美では多かった。北日本太平洋側と東日本日本海側で平年並だった。
年間日照時間:東日本太平洋側と西日本で多かった。一方、北日本太平洋側で少なかった。北・東日本日本海側と沖縄・奄美で平年並だった。
 |
 |
年平均気温平年偏差、年降水量平年比、年間日照時間平年比の分布図 |
地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図 |
冬:2019年12月〜2020年2月
○東・西日本で記録的な暖冬となった。
○冬の降雪量は全国的にかなり少なく、北・東日本日本海側で記録的な少雪となった。
○冬の日照時間は東日本太平洋側でかなり少なく、降水量は西日本日本海側でかなり多かった。
12月上旬は北日本と沖縄・奄美を中心に、また、2月上旬には北日本で一時的に強い寒気の影響を受けたほかは、冬を通して冬型の気圧配置となる日が少なかったことや、寒気の流入が弱かったことから、全国的に高温となる時期が多かった。冬の平均気温は、東・西日本と沖縄・奄美でかなり高く、北日本で高かった。特に、東・西日本では度々顕著な高温となり、冬の平均気温の平年差がそれぞれ+2.2℃、+2.0℃と、冬として最も高い記録を更新した(統計開始は1946/1947年冬)。地点では、全国の気象台等153地点のうち111地点で最も高い記録を更新した(タイを含む)。
冬の降雪量は全国的にかなり少なく、北・東日本日本海側では平年比がそれぞれ44%、7%と最も少ない記録を更新した(統計開始は1961/1962年冬)。また、冬型の気圧配置となる日が少なく、低気圧の影響も受けにくかったため、冬の降水量も北日本日本海側でかなり少なく、東日本日本海側で少なかったほか、冬の日照時間は北・東日本日本海側で多かった。一方、本州付近を低気圧や前線が通過することが多かったため、冬の降水量は西日本日本海側でかなり多く、西日本太平洋側で多かったほか、冬の日照時間も東日本太平洋側でかなり少なく、西日本で少なかった。沖縄・奄美では、低気圧や前線、寒気の影響を受けにくかったため、冬の日照時間はかなり多く、降水量は少なかった。
平均気温:東・西日本と沖縄・奄美でかなり高く、北日本では高かった。
降水量:北日本日本海側でかなり少なく、東日本日本海側と沖縄・奄美では少なかった。一方、西日本日本海側でかなり多く、西日本太平洋側では多かった。北・東日本太平洋側では平年並だった。
日照時間:沖縄・奄美でかなり多く、北・東日本日本海側で多かった。一方、東日本太平洋側でかなり少なく、西日本で少なかった。北日本太平洋側では平年並だった。
春:3月〜5月
○春の気温は、北日本でかなり高く、東・西日本で高かった。
○春の日照時間は、東日本太平洋側と西日本でかなり多かった。
○春の降水量は、北日本と沖縄・奄美で多かった。
本州付近を低気圧や前線、高気圧が交互に通過したため、全国的に天気は数日の周期で変わったが、3月から4月にかけて、西日本を中心に移動性高気圧に覆われて晴れた日が多かったため、春の日照時間は東日本太平洋側と西日本でかなり多く、東日本日本海側で多かった。一方、北・東・西日本では、低気圧や前線、湿った空気の影響で大雨や大荒れの天気となった日があった。特に北日本では、3月と4月に、発達しながら通過した低気圧や前線、湿った空気の影響を時々受けたため、春の降水量は多かった。沖縄・奄美では、3月と5月に前線や湿った空気の影響を受けやすかったため、春の降水量は多かったが、湿った空気の影響を受けにくかった4月の月降水量はかなり少なく、変動が大きかった。
気温は、3月に冬型の気圧配置が現れにくく、また、南からの暖かい空気が流れ込みやすかったため、北日本で記録的な高温となるなど全国的に高かった。5月も、南からの暖かい空気に覆われやすく、東・西日本を中心に全国的に高かった。このため、春の平均気温は、北日本でかなり高く、東・西日本で高かった。その一方で、4月は、大陸からの寒気の影響を受けやすかったため、西日本と沖縄・奄美を中心に全国的に低く、月ごとの変動が大きかった。
平均気温:北日本でかなり高く、東・西日本で高かった。沖縄・奄美では平年並だった。
降水量:北日本と沖縄・奄美で多かった。東・西日本では平年並だった。
日照時間:東日本太平洋側と西日本でかなり多く、東日本日本海側で多かった。北日本と沖縄・奄美では平年並だった。
夏:6月〜8月
○「令和2年7月豪雨」など、全国各地で大雨が発生した。
○全国的に気温は高く、東日本と沖縄・奄美ではかなり高かった。
○東日本日本海側と沖縄・奄美では日照時間が少なかった。
北日本から西日本にかけては、6月上旬は高気圧に覆われて晴れの日が多かったが、6月中旬からは梅雨前線が本州付近に停滞しやすく、曇りや雨の日が多かった。特に7月になると梅雨前線の活動がたびたび活発になり本州付近に停滞した日が多かったため、東・西日本を中心に各地で長期間にわたって大雨となり、河川の氾濫や土砂災害などの甚大な被害が発生した(「令和2年7月豪雨」)。7月前半中心に、1〜72時間降水量の多い記録を九州をはじめとして多数の地点で更新した。7月の月降水量は、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側で7月として最も多い記録を更新した。7月の月間日照時間も、東・西日本(それぞれ日本海側、太平洋側)で7月としてもっとも少ない記録を更新した(統計開始はともに1946年)。梅雨明けは沖縄地方を除き全国的に遅く、東北北部では梅雨明けが特定できなかった。8月は、東・西日本では一転して太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多くなったが、北日本では低気圧や前線の影響をたびたび受けたため、天気は数日の周期で変わった。沖縄・奄美では、期間を通して前線や湿った空気の影響を受けやすかったため、夏の降水量はかなり多くなり、夏の日照時間は少なくなった。
夏の平均気温は、全国的に高く、東日本と沖縄・奄美ではかなり高かった。特に、6月は日本の南海上の高気圧が西に張り出して日本付近に暖かい空気が入りやすく、8月は太平洋高気圧に覆われ、東・西日本でそれぞれの月として最も高い記録を更新した(統計開始は1946年、西日本はともにタイ記録)。 8月17 日には浜松(静岡県)で歴代全国1 位タイの41.1℃を観測するなど、全国の気象官署のうち11 地点で通年の日最高気温の高い方から1位の値を記録した。
平均気温:東日本と沖縄・奄美でかなり高く、北・西日本では高かった。
降水量:東・西日本と沖縄・奄美でかなり多く、北日本日本海側では多かった。北日本太平洋側では平年並だった。
日照時間:東日本日本海側と沖縄・奄美で少なかった。東日本太平洋側と北・西日本では平年並だった。
秋:9月〜11月
○秋の気温は北日本と沖縄・奄美でかなり高く東日本で高かった
○秋の降水量は西日本太平洋側で多く、北日本太平洋側、東日本日本海側、沖縄・奄美で少なかった
○秋の日照時間は、北日本で少なく、東・西日本日本海側で多かった
秋の前半は、低気圧や前線及び台風の影響で、全国的に曇りや雨の日が多かった。西日本太平洋側では9月上旬に大型で非常に強い勢力で接近した台風第10号をはじめ、低気圧や前線などの影響を受けたため、降水量は多かった。日照時間は、低気圧や前線または寒気の影響を受けることが多かった北日本で少なかった。
秋の後半は、低気圧と高気圧の影響を交互に受けて、全国的に天気は数日の周期で変わったが、東・西日本を中心に移動性高気圧に覆われて晴れる日が多く、また、北日本太平洋側を含めて低気圧の影響を比較的受けにくかった。このため東・西日本日本海側の日照時間は多く、北日本太平洋側と東日本日本海側の降水量は少なかった。また、沖縄・奄美では11月を中心に低気圧の影響を受けにくかったため、降水量は少なかった。一方、北日本日本海側では低気圧や寒気の影響を受けたため、曇りや雨または雪の日が多かった。
気温は、9月前半は北・東日本を中心に高気圧周辺を回る暖かい空気が入り8月に引き続き高く、残暑が厳しかった。また、11月後半は全国的に北日本以北を通過する低気圧に向かう暖かい空気が流れ込み顕著な高温となった。沖縄・奄美では11月を中心に暖かい空気に覆われやすかった。このため、秋の平均気温は北日本と沖縄・奄美でかなり高く、東日本で高かった。
平均気温:北日本と沖縄・奄美でかなり高く、東日本では高かった。西日本では平年並だった。
降水量:西日本太平洋側で多かった。一方、北日本太平洋側と東日本日本海側、沖縄・奄美で少なく、北・西日本日本海側と東日本太平洋側では平年並だった。
日照時間:北日本で少なかった。一方、東・西日本日本海側で多く、東・西日本太平洋側と沖縄・奄美では平年並だった。
年間の台風の発生数は23個(平年値25.6個)だった。7月までの台風発生数は2個と例年よりも少なかった一方、8月以降の発生数は21個で、平年より多かった。日本への接近数は7個(平年値11.4個)、日本への上陸数は0個(平年値2.7個)だった。
※ 日本の天候のまとめに掲載している外向き長波放射量(OLR)偏差分布図は、2023年9月以降は米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)提供のBlended OLRを、2023年8月までは同センター提供のAVHRR OLRを用いて作成したものです。
このページのトップへ