《顕著な天候事例》顕著な低温と寡照(2013年5月)の詳しい参考資料

図1 海面気圧の平年偏差 左:5月上旬 右:5月中旬 
(黒線は等圧線を、色合いは暖色ほど平年より気圧が高いことを示します)

<5月上旬> カムチャツカ半島の東からオホーツク海にかけて暖色が、北海道の東海上で寒色が顕著となっており、図2の500hPa平均天気図にあるように、概ね上空の高気圧や低気圧とも一致しています。 これらは、ブロッキング高気圧や低気圧が停滞しやすかったことを反映しています。

<5月中旬> オホーツク海では暖色が顕著で、オホーツク海高気圧が発生していたことを反映しています。5月上旬に比べると、カムチャツカ半島東の高圧部は弱まり、北海道の東海上の低圧部も東へ移動していることが分かります。 図2の500hPa平均天気図と重ねると、夏に現れやすいオホーツク海高気圧の特徴がみられます。

図2 500hPa高度の平年偏差 左:5月上旬 右:5月中旬 
(黒線は等高度線を、色合いは暖色ほど平年より高度が高いことを示します)

<5月上旬> 沿海州とカムチャツカ半島付近が明瞭な気圧の尾根で、顕著な暖色となっています。 一方、千島近海に閉じた等高度線があり、日本の東海上では顕著な寒色となっています。 ブロッキング現象が発生し、大気の流れから切り離された寒冷渦が、北海道の東で長く居座ったことが分かります。

<5月中旬> 沿海州の気圧の尾根は、5月上旬に引き続き明瞭となっています。 カムチャツカ半島付近の気圧の尾根は不明瞭となり、南側が気圧の谷で負偏差となっています。

図3 気温平年偏差の経度断面図と稚内上空の気温鉛直プロファイル 上:5月上旬 下:5月中旬

<5月上旬> 北海道の上空は、地上付近から対流圏の上層付近まで寒色となっています。 また、稚内上空でも600hPa付近まで平年より顕著に低くなっており、地上付近から大気上層にいたるまで強い寒気が流入していたことが分かります。 一方、ブロッキング高気圧が明瞭だった北緯55°以北では地上付近から対流圏上層まで平年より顕著に気温が高くなっています。

<5月中旬> オホーツク海の南部に相当する北緯45°付近を中心に北緯25°から北緯60°付近(オホーツク海の北端に概ね相当)が、ごく下層で海面を這うように寒色となっており、その上空では比較的平年より暖かい空気に覆われています。 稚内上空でも上層は概ね平年を上回っていますが、地上付近のごく低い高度では、逆に平年より低くなっています。 オホーツク海高気圧から吹き出す冷たい気流が北海道のごく下層に流れ込んでいたことが分かります。 オホーツク海高気圧の特徴がよく現れていると言えます。