日本沿岸の海面水位の長期変化傾向

2024年2月28日 気象庁発表
(次回発表予定 2025年2月17日)

診断(2023年)

日本沿岸の平均海面水位は、過去約110年間では上昇傾向は見られないものの、1980年代後半以降は上昇傾向が見られます(図1)。GPSを併設した検潮所の地盤上下変動を補正したデータでは、平均海面水位が2004~2023年の間に1年あたり3.5[2.5~4.5]mm上昇しました(図2、表1)。

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図1

図1 日本沿岸の海面水位変化(1906~2023年)
1991~2020年の平均を0としています。
〇は4地点の、△は4海域の各年の平均海面水位を平均したもの、青線と赤線は〇と△をさらに5年(前2年と当年と後2年)で平均したものです。

図1の数値データ[CSV形式:2KB]

データの見直し等により、過去に遡って数値データが変更される場合があります。

図1の計算方法及び海域ごとの海面水位変化

図2

図2 GPS併設13地点の海面水位変化(2004~2023年)
2004年を0としています。

図2の数値データ(地盤上下変動補正後) (地盤上下変動補正前)[CSV形式:各2KB]

データの見直し等により、過去に遡って数値データが変更される場合があります。

図2の計算方法及び地点ごとの海面水位変化


表1 日本と世界の平均海面水位上昇率(mm/年)

  日本の16地点4海域平均(図1) 日本の13地点平均(図2) 世界平均(IPCC,2021)
2004~2023年 3.7 [2.2~5.2] 3.5 [2.5~4.5]
2006~2018年 2.9 [0.8~5.0] 3.4 [1.1~5.6] 3.7 [3.2~4.2]

解説

日本沿岸の海面水位は、1906~2023年の期間では上昇傾向は見られません。この期間では、10~20年周期の海面水位の変動(図1の1930年頃、1950年頃、1970年頃に海面水位が高くなっているような現象)があり、この要因として、大気現象による日本周辺の十年規模変動が地球温暖化による海面水位の上昇より顕著であったと考えられます。また、最新の研究では、地球温暖化の影響より地盤上下変動の影響の方が大きかった可能性が指摘されています(Nakano et al., 2023)。一方、1980年代後半以降の上昇傾向は、地球温暖化による世界平均海面水位の上昇が加速し、日本沿岸でもその影響が顕在化したものと考えられます。2023年の日本沿岸の海面水位は、平年値(1991~2020年平均)と比べて72mm高く、統計を開始した1906年以降で最も高い値でした(図1)。
GPSで地盤上下変動の影響を補正した13地点の平均海面水位は2004年と比べて57mm高く、2004年以降で最も高い値でした(図2)。 第1位となった主な要因として、地球温暖化による世界的な海面水位上昇の影響が考えられます。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC,2021)では、「世界平均海面水位は、1901~2018年の期間に0.20[0.15~0.25]m上昇した。その平均上昇率は、1901~1971年の間は1年あたり1.3[0.6~2.1]mmだったが、1971~2006年の間は1年あたり1.9[0.8~2.9]mmに増大し、2006~2018年の間にはさらに加速して1年あたり3.7[3.2~4.2]mm増大した(確信度が高い)。世界平均海面水位上昇の原因として、地球温暖化の進行に伴う海水の熱膨張と陸氷(氷床と氷河)の減少が大部分を占める(確信度が高い)。」ことが示されています。
IPCC(2021)とほぼ同じ期間で日本沿岸の海面水位の変化を求めると、1906~2018年の期間では上昇傾向は見られませんでした。一方、2006~2018年の期間では、16地点4海域の平均海面水位は1年あたり2.9[0.8~5.0]mm上昇、GPSを併設した13地点の平均海面水位は、1年あたり3.4[1.1~5.6]mm上昇しました。近年だけで見ると、日本沿岸の海面水位上昇率は世界平均と同程度になっています(表1)。
IPCC(2021)では、「エルニーニョ現象といった年~10年単位の大気現象は、その地域の年~10年規模の平均海面水位の周期変動に影響を及ぼす(信頼度が高い)。地球温暖化の進行に伴う風系と海水温および(河川や陸氷からの淡水の流入量の変化による)海水の塩分の変化に伴う、3次元的な海水循環の変化の地域的な平均海面水位への影響は、2100年までにほとんどの地域で顕在化する(確信度が中程度)。」ことが示されています。


参考文献

  • Nakano, H., S. Urakawa, K. Sakamoto, T. Toyoda, Y. Kawakami and G. Yamanaka, 2023: Long-term sea-level variability along the coast of Japan during the 20th century revealed by a 1/10° OGCM. J. Oceanogr., 79, 123-143.
  • IPCC, 2021: Summary for Policymakers. In: Climate Change 2021: The Physical Science Basis. Contribution of Working Group I to the Sixth Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change [Masson-Delmotte, V., P. Zhai, A. Pirani, S. L. Connors, C. Pean, S. Berger, N. Caud, Y. Chen, L. Goldfarb, M. I. Gomis, M. Huang, K. Leitzell, E. Lonnoy, J.B.R. Matthews, T. K. Maycock, T. Waterfield, O. Yelekci, R. Yu and B. Zhou (eds.)]. Cambridge University Press. In Press.

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