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農業分野における気候リスクへの対応の実例:
2週目の気温予測を使った水稲の冷害・高温障害対策

このページでは、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)との共同研究で得られた成果のうち、東北地方の水稲の冷害・高温障害の被害軽減に活用できる2週間先の予測情報作成にむけた取り組みを紹介します。

この予測情報は、農研機構東北農業研究センター(以下、東北農研)および岩手県立大学が共同で運営する「Google Mapによる気象予測データを利用した農作物警戒情報」web(別ウィンドウで開きます)で試行的に提供されています。 このページで紹介している予測情報の画像は、許可を得て上記webより転載したものです。


背景と目的

東北地方は日本の水稲生産の約3割を占める米どころです(東北農政局より)。 東北地方の夏はやませの影響などにより低温となる年がある一方、近年では顕著な高温となる年もあるなど、気温の年々の変動が大きく水稲もたびたびその影響を受けてきました。

表1 水稲の警戒気温(東北農研提供)

水稲の警戒気温

農業分野では気候が農作物に与える影響について様々な研究が行われています。水稲はその生育ステージに応じて表1のような気温による影響があることがわかっています。 また、田の水深を深くし低温から穂を守る深水管理といった気候の影響を軽減するための対策技術も存在します(図1)。

深水管理

図1 深水管理のイメージ図(東北農研提供)

将来の気温を予測し、適切な対策の実施を支援するため、東北農研および岩手県立大学は、 1週間先までの気温の予測等を用いた農作物警戒情報を作成し、ウェブサイトを通じて利用者に提供しています。

深水管理などの対策には一定の準備期間を要することから、さらに早い時期から低温・高温のリスクの高まりを把握することができれば、対策をより効果的に行うことができます。
そこで今回の共同研究では、農業分野における気候リスクへの対応に活用できる情報を作成することを目的に、 異常天候早期警戒情報の確率予測資料 2週目(予測発表日の8日後から14日後)までの気温の予測)を用いた情報の開発・情報の試験的な提供を実施して、その有効性を検証しています。


2週目の気温の予測情報

空間的にきめ細かく、かつ定量的な気温の予測情報を作成するために、 東北農研が作成した東北地方の1kmメッシュ平年値と気象庁が作成している2週目までの気温の予測値を用いて1kmメッシュの気温予測値を作成しました(図2)。

1kmメッシュの作成方法

図2 東北地方1kmメッシュ気温予測値の作成方法

ウェブサイトではGoogle Map上に表示された気温予測値とともに、利用者が必要とするメッシュの詳細な予測情報も見ることができます(図3)。 予測の不確実性を考慮し、最も出現する可能性が高いと予測される気温の値に加え、予測の幅も併せて描画しています。

2週目までの気温の予測情報の例

図3 2週目までの気温の予測情報の例


低温・高温リスクの高まりを伝える予測情報

水稲への低温・高温の影響が懸念される7日間平均気温20℃以下、27℃以上の確率の予測情報も作成しています。 確率が20%以上となった場合には注意を呼び掛けるメッセージが表示されます(図4)。

2週目の予測情報文の例

図4 2週目の高温障害リスクの高まりを伝える予測情報の例

平年と比べたリスクの高まりを伝えるために、予測された確率に加えて平年の出現確率も記述しています。 例えば予測された確率が20%であっても、平年の出現確率が5%であれば影響を受けるリスクがいつもの4倍に高まっているといえます。
このような場合には、今後の情報にいつも以上に注意し、さらなるリスクの高まりが予測された場合には深水管理などの対策を実行する、といった状況に合わせた対応を行うことが考えられます。


過去の顕著な低温時の予測事例

図5はヤマセにより顕著な低温となった2003年7月末ごろを対象に予測実験を行った結果です(7月20日初期値のおよそ2週間先の予測)。
中央の図は予測による7日間平均気温が20℃以下となる確率です。左の平年の出現確率の図と比較すると、青色が濃くこの期間は平年に比べ低温のリスクが高まっていることが見て取れます。 右の図は実際の気温を表わした図です。広い範囲で気温が20℃以下となっていることがわかります。 中央の確率の予測図の20%以上の地域に着目すると、実際に20℃以下となった地域をよく捉えているといえます。

このように、過去の事例から予測情報の精度を検証し、リスクの高まりを適切に伝えることのできる情報の作成に取り組んでいます。

予測実験の例

図5 ヤマセにより顕著な低温となった2003年7月末頃を対象とした、東北地方1kmメッシュの7日間平均気温が20度を下回る平年確率(左図)と7月20日時点での予測確率(中図)、実況値(右図)


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