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臨時診断表 2012年夏季の北極域の海氷域面積

平成24年10月3日発表
気象庁地球環境・海洋部

診断(2012年)

北極域の2012年夏季の海氷域面積は、観測データのある1979年以降で最小の342万平方キロメートルとなりました。

北極域の海氷域面積の年最小値の経年変化(1979年~2012年)
北極域の海氷域面積の年最小値の経年変化(1979年~2012年)
青色の折れ線は北極域年最小値の海氷域面積の経年変化を示す。点線は変化傾向。


北極域の海氷分布図(2012年9月13日)
北極域の海氷分布図(2012年9月13日)


解説

2012年の北極域の海氷域面積の経過

北極域の海氷域面積は例年3月初め頃から減少に転じます(図:北極域の海氷域面積の推移)。 2012年は3月5日に年最大値(1548万平方キロメートル)となり、年最大値としてはほぼ平年並でした。 これ以降、海氷域面積は減少に転じ、5月末まではほぼ平年並のペースで減少しました。しかし6月上旬に海氷域面積が急速に減少し、6月中旬以降は過去最小かそれに近い海氷域面積で経過しました。 例年は8月に入ると海氷域面積の減少速度が鈍りますが、2012年は8月を通じて海氷域面積の急速な減少が続きました。8月19日には、これまでの最小だった2007年の記録(431万平方キロメートル)を下回り、9月13日に海氷域面積は観測史上最小の342万平方キロメートルとなりました。その後、海氷域面積は増加に転じています。

海氷域面積年最小時の北極域の海氷分布

2012年の海氷域面積年最小時には、カナダの多島海、アラスカの北に面するボーフォート海、ロシアの北に面するラプテフ海とカラ海で、海氷が平年と比べ著しく減少していました。
  これまで最小だった2007年9月と比較すると、多島海、ラプテフ海、カラ海の海氷が減少したことで、北アメリカ大陸とユーラシア大陸の北側に海氷のない海域がより広がりました(図:海氷域面積年最小時の北極域の海氷分布)。

北極域における2012年夏季の気象経過と海氷域面積が著しく減少した要因

2012年6月から8月にかけての気圧配置は、グリーンランド付近に高気圧、北極海のシベリア側に低気圧が分布する傾向でした。この北極海の低気圧の東側では南から暖気が流入し、カナダの多島海やボーフォート海の気温が平年より高く経過したことが海氷域面積が減少した一因として挙げられます。また、8月上旬に北極海中央部で発達した低気圧の影響で海氷の融解が速まり、海氷の著しい減少に寄与した可能性が考えられます。
  一方、夏季の海氷域面積が2番目に小さかった2007年は6月から8月にかけて、また3番目に小さかった2011年は6月と7月の気圧配置は2012年と異なり、ボーフォート海に高気圧、シベリアに低気圧が分布する傾向でした。この気圧配置では、ベーリング海から北極海のシベリア沿岸に向け暖気が流入するとともに、北極海のシベリア側にある海氷が西に流れ、グリーンランド東岸から大西洋に流出したことが要因として挙げられます (図:北極域の気象状況)。
  北極域の海氷域面積は長期的に減少しており、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書では、地球温暖化との関連を指摘していますが、2012年夏季の顕著な海氷減少は、長期的な海氷域面積の減少に加え、海氷域面積を減少させる気象条件が重なった結果と考えられます。

その他

2012年10月19日に、海氷域面積の長期変化傾向(北極域)の定期診断表を発表します。


備考

この「2012年夏季の北極域の海氷域面積」の臨時診断は、NSIDC(アメリカ雪氷データセンター)提供の観測データを用いており、2012年7月1日以降はその速報値を用いて解析しています。観測や解析の方法については、北極域と南極域の海氷解析の解説を参照して下さい。

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