北極域と南極域の海氷解析の解説

北極域と南極域の海氷の解析方法について概要を説明します。

解析に用いたデータと解析方法について

北極域と南極域の海氷の解析には、人工衛星に搭載されたマイクロ波放射計により観測された輝度温度データを用いています。

解析に用いた輝度温度データは、NASA(National Aeronautics and Space Administration:アメリカ航空宇宙局)から提供されているSMMR(Scanning Multi-channel Microwave Radiometer)データ、およびNSIDC(National Snow and Ice Data Center:アメリカ雪氷データセンター)から提供されているDMSP(Defense Meteorological Satellite Program:アメリカ国防省気象衛星)のSSM/I(Special Sensor Microwave/Imager)・SSMIS(Special Sensor Microwave Imager/Sounder)データです。各データの期間は、SMMRが1978年10月~1987年8月、SSM/Iが1987年8月~2009年4月、SSMISが2009年4月以降です。

海氷の解析には、輝度温度から海氷の密接度を算出するNASA Teamアルゴリズムを利用しました。沿岸域では疑似海氷域が現れるため、低緯度域では密接度を0とする月別のマスク処理を施しています。また、軌道の関係で低緯度域では観測の空白領域ができるため、SMMRでは前後5日、SSM/Iでは前後3日までの海氷分布を考慮して海氷分布を決定しています。海氷の解析は、まず、NSIDCより速報値として提供された観測データから作成します。その後、観測から数か月後以降に確定値として提供される観測データから再度、解析を行い海氷データの確定値としています。このため、後日、予告なしにデータが書き換わる場合があることに留意して下さい。海氷域面積は、海氷の密接度が15%以上の領域の面積としています。

平年値の作成にあたって、NSIDC提供の最新データを用いて再計算を行い、これに基づき、 「海氷分布図」、「海氷域面積の年別経過図」及び「平年値・極値」を更新しました。 令和4年(2022年)3月17日以降に発表した資料は上記の新しいデータセットを用いており、それ以前に発表した資料とは値等が異なる場合があります。

Scientific data courtesy of the National Snow and Ice Data Center, University of Colorado, Boulder.

解析範囲について

解析の範囲を下図に示します。北極域は、上下の線は西経45度-東経135度を、左右の線は東経45度-西経135度を表し、緯度は10度間隔です。南極域は、上下の線は0度-180度を、左右の線は西経90度-東経90度を表します。緯度は10度間隔です。南極大陸の棚氷は、陸地とみなしています。

北極域の海氷解析に使用した地図 南極域の海氷解析に使用した地図

北極域(左)と南極域(右)の海氷解析に使用した地図

欠測データについて

衛星のマイクロ波放射計センサーの不調や地上設備の不具合等により海氷分布や海氷域面積を解析できなかった場合、その日のデータを欠測としています。 データ(テキスト)ファイルでは、収録期間中に欠測となった日の海氷域面積値を-99.99として記載しています。

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