火山体・火山地形に関する用語

火山体・火山地形に関する用語
分類 用語 区分 説明

火山
火山活動によって生じた特徴的な地形および構造のこと。一般的には、火山噴出物の堆積によって生じた地形的高まり(火山体)をいうが、噴火によって凹んだ地形もある。
備考
  • 火山名は、「日本活火山総覧(第4版)」(2013年)にしたがう。原則として、国土地理院発行の地図にある自然地名(山や島の名)を用いるが、地元での呼称も参考にしている。
  • 火山名(英語)は、国土地理院発行の「日本の山岳標高一覧 -1003山- (平成14年4月発行、国土地理院ホームページ上に随時更新情報(内容)を記載」及び海上保安庁による「日本周辺海域火山通覧(第4版)」での呼称を参考にしている。また、火山名(英語)は、米国スミソニアン自然史博物館のGlobal Volcanism Programに登録されている。
  • 火山の緯度・経度・標高(水深)は、「日本活火山総覧(第4版)」(2013年)にしたがう。一部の火山では、標高が「日本活火山総覧(第4版)」(2013年)以降に改定されている。

活火山かつかざん
概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山(火山噴火予知連絡会によって2003年1月に定義)のこと。
日本には111の活火山がある。
活火山の説明」参照

火口かこう
地下のマグマや火山ガスが地表に放出される場所で、ふつう円形に近いくぼみ状の地形のこと。「噴火口」ともいう。
備考
  1. 既存の火口名がある場合は、それにしたがう。山頂に主要な火口があるときは、「山頂火口」を使用する。また、地名が存在し、地名を用いるほうが分かりやすい場合は「地名+火口」としている。
  2. いつ生じた火口かを明瞭に区別する場合は、西暦の下2桁と通し番号で名称を定めている。多数の火口が形成された場合には、主要な火口については英字(アルファベット)を、副次的な火口については数字(番号)を付している。
  3. 気象庁では、以下の理由の場合に新たに火口の名称を定めている。
    1. 山体表面に新たに火口が形成された場合
    2. 新たな火口が活動して、既存の火口と異なることが明瞭になった場合
    3. 防災上必要になった場合
  4. 火口内で水蒸気や火山ガスを噴出している孔を呼ぶ場合、「噴気孔」を使用する。
用例 「桜島南岳山頂火口」、「吾妻山大穴火口」、「富士山宝永火口」、「御嶽山79-4火口」、「樽前山A火口」

火口からの距離
火口の中心からの水平距離を指す。
一部の火山では、想定火口域の中心からの水平距離を指す。想定火口域の縁からの水平距離を示す場合は、文章の中で「想定火口縁からの距離」である旨を説明して使用する。
地形的な火口の外縁からの水平距離で表現する場合には、文章の中で「火口縁からの距離」である旨を説明して使用する。
用例
  • 火口から概ね2kmの範囲では、火砕流に警戒してください。
  • 想定火口縁から概ね1kmの範囲では、火砕流に警戒してください。
  • 火砕流が火口縁から西側へ約400m流下しました。

火口列かこうれつ
複数の火口が直線的に配列しているもの。火口の配列方向は応力場を反映していると考えられる。
備考 既存の火口列名がある場合は、それにしたがう。
用例 伊豆大島:1986年B火口列(カルデラ床)、C火口列(外輪山北北西斜面)

火孔かこう
火口内に新たにできた更に小さな火口のこと。
備考
  1. 読み上げ時に「火口」と間違えやすいため極力使用しない。使用する場合は、単独では使用せず、「○○火口内の○○火孔」と呼ぶ。
  2. 火口内で水蒸気や火山ガスを噴出している孔を呼ぶ場合、「噴気孔」を使用する。
  3. 既存の火孔名がある場合は、それにしたがう。
  4. いつ生じた火孔かを明瞭に区別する場合は、西暦の下2桁と通し番号を用いて名称を定めている。
  5. 火山活動に伴い、火孔の位置が変わったり、同時に複数個の火孔が開口することがある。
用例 阿蘇山:中岳第一火口内の141火孔
実例
火孔
中岳第一火口内の141火孔(阿蘇山)

噴気孔
火山ガス(噴気)が噴出する孔のこと。
備考
  1. 既存の噴気孔名がある場合は、それにしたがう。
  2. いつ生じた噴気孔かを明瞭に区別する場合は、西暦の下2桁と通し番号を用いて名称を定めている。
  3. 火口内で水蒸気や火山ガスを噴出している孔を呼ぶ場合、「噴気孔」を使用する。
  4. 噴気孔から噴火が発生した場合は火口とする。
  5. 気象庁では、以下の理由の場合に新たに噴気孔の名称を定めている。
    1. 火口内に水蒸気や火山ガスを噴出する孔が新たに形成された場合
    2. 小規模であった噴気孔が成長し、従来からの噴気孔と異なることが明瞭になった場合
    3. 防災上必要になった場合
用例 樽前山:B噴気孔群、箱根山:15-2噴気孔

噴気地帯
噴気孔が分布する領域のこと。
実例
噴気地帯
噴気地帯の例(箱根山早雲山)

カルデラ
火山活動によって形成された概ね直径2km以上の凹地形のこと。
短時間にマグマが噴出または側方に移動することで、マグマだまりの上側にある地盤が沈降または崩落することで形成されるもののほか、浸食や山体崩壊によって生じたものがある。
例として、阿蘇カルデラ、姶良カルデラ、屈斜路カルデラがある。

マグマだまり
火山の地下でマグマがたまっていると推定される場所のこと。

溶岩ドーム
高粘性の溶岩が火口上に盛り上がり形成された火山地形のこと。「溶岩円頂丘」ともいう。
実例
溶岩ドーム
溶岩ドームの例(雲仙岳 平成新山)

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