活火山とは

かつて使われた「休火山」「死火山」とは

 昔は、今現在活動している、つまり噴火している火山は「活火山」、現在噴火していない火山は「休火山」あるいは「死火山」と呼ばれていました。 例えば、富士山のように歴史時代(文献による検証可能な時代)に噴火記録はあるものの、現在休んでいる火山のことを指して「休火山」、歴史時代の噴火記録がない火山のことを指して「死火山」という表現が使われていました。

「活火山」の定義と活火山数の変遷

 しかし、火山の活動の寿命は長く、数百年程度の休止期間はほんのつかの間の眠りでしかないということから、噴火記録のある火山や今後噴火する可能性がある火山を全て「活火山」と分類する考え方が1950年代から国際的に広まり、1960年代からは気象庁も噴火の記録のある火山をすべて活火山と呼ぶことにしました。 1975(昭和50)年には火山噴火予知連絡会が「噴火の記録のある火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山と定義して77火山を選定しました。
 この77火山は主として噴火記録がある火山が選ばれていましたが、噴火記録の有無は人為的な要素に左右される一方、歴史記録がなくても火山噴出物の調査から比較的新しい噴火の証拠が見出されることも多くなり、 1991年(平成3)年には、火山噴火予知連絡会が活火山を「過去およそ2000年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」と定め、83火山を選定し、その後1996(平成8)年にはさらに3火山が追加され、活火山の数は86となりました。
 しかし、数千年にわたって活動を休止した後に活動を再開した事例もあり、近年の火山学の発展に伴い過去1万年間の噴火履歴で活火山を定義するのが適当である との認識が国際的にも一般的になりつつあることから、2003(平成15)年に火山噴火予知連絡会は「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山と定義し直しました。 当初、活火山の数は108でしたが、2011(平成23)年6月に2火山、2017(平成29)年6月に1火山が新たに選定され、活火山の数は現在111となっています。


我が国の活火山の分布





「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」の選定

 2009(平成21)年6月、今後100年程度の中長期的な噴火の可能性及び社会的影響を踏まえ、「火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山」として47火山が火山噴火予知連絡会によって選定されました。さらに、2014(平成26)年11月、火山噴火予知連絡会のもとに設置された「火山観測体制等に関する検討会」においてとりまとめられた「御嶽山の噴火災害を踏まえた活火山の観測体制の強化に関する緊急提言」により、3火山が追加されました。
 これら50火山の選定を受けて、気象庁では、噴火の前兆を捉えて噴火警報等を適確に発表するために、地震計、傾斜計、空振計、GNSS観測装置、監視カメラ等の観測施設を整備し、関係機関(大学等研究機関や自治体・防災機関)からのデータ提供も受け、火山活動を24時間体制で常時観測・監視しています。

 「火山の監視」についてはこちら


※なお、平成15年1月に火山噴火予知連絡会によって発表された「火山活動度による活火山の分類(ランク分け)」は、今後の噴火の可能性や社会的な影響が考慮されていないことから、現在、気象庁では使用していません。


「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」





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