男体山[なんたいさん] Nantaisan
北緯 36°45′54″ 東経 139°29′27″ 標高 2,486m (男体山)(測定点) |
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![]() 男体山全景 南側から 2008年9月9日 及川輝樹 撮影 |
概要
日光火山群に属し、基底径約6km、基底からの比高約1200mのほぼ円錐状をした成層火山。山頂に、直径約1kmの火口をもつ。山体南西に位置する中禅寺湖は、この火山の活動によりつくられた堰止湖である 。約3万年前から安山岩~デイサイト(SiO2:52.6~67.5 wt.%)を噴出する活動をおこなっており、3つの活動期に分けられる(高橋・他,2009;石崎・他,2014)。第1期(約3~1.7万年前)は主に安山岩を噴出する噴火を繰り返し、現在の火山体主要部を形成した。第2期(約1.7万年前)は 、本火山における最大規模の噴火が発生した時期で、安山岩~デイサイト質マグマによる大規模なプリニー式噴火と火砕流が発生した。この噴火の後、山頂火口の北側が崩壊して馬蹄形の崩壊地形(馬蹄形火口)を形成、北側に岩屑なだれが発生した。第3期(約1.4~0.7万年前)の活動は、約1.4 万年前の安山岩~デイサイトの御沢溶岩の流出に始まった。その後しばらくは、山頂火口内に火口湖が形成されていた。山頂火口内からは、その後も複数回の水蒸気噴火・マグマ水蒸気噴火が発生した。確認された最新の噴火は約7000年前のマグマ水蒸気噴火である。現在、噴気活動は認められない。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
最近1万年間には、山頂火口内に位置する小火口を噴出口とする噴火が、少なくとも4回発生した。それら噴火はマグマ噴火(湖底での水中溶岩噴火)、マグマ水蒸気噴火ないし水蒸気噴火であり、その噴出物は、山頂火口内と北東山麓に分布する 。また、山頂火口内には一時期、火口湖が形成されていた。最新の噴火は約7000年前に発生したマグマ水蒸気噴火で、それ以降に噴火の痕跡は確認されていない(石崎・他, 2014)。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 男体山 有史以降の火山活動
年代 現象 活動経過・被害状況等 2011~12(平成23~24)年 地震 11年3月~12年秋。『平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震』の発生(3月11日)以降、山頂西側及び山頂から北へ5km付近で構造性の地震活動が活発化。最大規模の地震は、3月11日17時40分に山頂西側の深さ4kmで発生したM4.2の地震(日光市等で震度3を観測)。 噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考に、文献の追記を行った。
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。