福徳岡ノ場 有史以降の火山活動

有史以降の火山活動(▲は噴火年を示す)

年代 現象 活動経過・被害状況等
▲1904~05年 (明治37~38年) マグマ水蒸気噴火 あるいは マグマ噴火 04年1月14日~05年1月下旬。火砕物降下、(海上浮遊軽石)。噴火場所は福徳岡ノ場(新硫黄島)。11月14日に爆発音、28日に噴気、12月5日に新島生成を発見。その後の測量で新島は高さ145m、周囲約4.5km、ほぼ円形。1905年6月15日には新島は高さ2.5~3mに減少、やがて礁岩に変化。
▲1914(大正3)年 マグマ噴火、マグマ水蒸気噴火 1月13日~2月12日。火砕物降下、(海上浮遊軽石)。噴火場所は福徳岡ノ場(新硫黄島)。1月23日に大噴煙、溶岩流出。1月25日に新島出現(高さ300m、周囲11.8km)、12月には新島は各所で決壊、翌々年には消滅していた。
▲1973~ 74(昭和48~49)年 噴火、海水変色 12月18~19日、翌年1月1日、2月16日。噴火場所は福徳岡ノ場。硫黄状のもの流出。
▲1986(昭和61)年 マグマ水蒸気噴火、(海水変色) 1~12月に観測。火砕物降下、(海上浮遊軽石)。噴火場所は福徳岡ノ場。海面上に姿を現す顕著な噴火は1986年1月18~21日に発生し、新島を形成したが1986年3月26日には消滅している。
▲1992~93(平成4~5)年 ?→(海水変色)→マグマ噴火 or マグマ水蒸気噴火→(海水変色) 92年 6、8、9、11、12月。噴火場所は福徳岡ノ場。92 年6月6日、水柱の発生。8月、9月に変色水を認めた。92年11月10日噴火、軽石浮遊、変色水。11、12月に変色水を認めた。93年 2、3、6、9 月に海水変色を観測。
▲2005~07(平成17~19)年 小規模:(海水変色)→マグマ噴火 or マグマ水蒸気噴火→(海水変色) (海上浮遊軽石)。噴火場所は福徳岡ノ場。 2005年7月2~3日に小規模な海底噴火。浮遊物、変色水。マグマ噴出量は 0.0003 DRE km3。(VEI1)
▲2010~(平成22~)年 噴火、海水変色 2005年の噴火以降もたびたび海水変色が認められる状況が続く中、2010年2月3日に小規模な海底噴火。浮遊物、変色水。噴火場所は福徳岡ノ場。その後も断続的に海水変色が認められている(2020年9月現在)。
▲2021(令和3)年~ 噴火、海水変色 8月13~15日:8月13日05時57分頃から、噴火によると思われる噴煙を観測(気象衛星ひまわりによる)。同日(13日)、上空からの観測で噴火を確認(海上保安庁による)。噴煙は15日にかけて観測され、13日12時頃から18時頃にかけては噴煙高度が16,000m以上に達した。15日昼頃の上空からの観測で、噴火活動の継続、直径約1㎞の馬蹄型の新島及び噴火による浮遊物(軽石等)が蛇行しながら北西方向に約60㎞まで流れていることを確認(海上保安庁による)。福徳岡ノ場から約320㎞離れた父島の検潮所では、消長を繰り返しながら継続する微弱な潮位変化(福徳岡ノ場の噴火に伴うとみられる津波)を観測。
8月16日~:上空からの観測では、16日以降噴火は認められていないが、福徳岡ノ場付近で変色水を確認。その後も海水変色が認められている。また、16日には新島の形状が、直径約1㎞の括弧型に変化していることが確認された。その後も新島の面積は徐々に減少し、2021年12月に確認されたのを最後に2022年3月15日の上空からの観測では認められなかった(海上保安庁による)。2021年10月4日頃、南大東島に浮遊物(軽石)が漂着して以降、報道機関等により、各地の沿岸での漂着が確認されている。

日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006) および海域火山データベース(海上保安庁海洋情報部、2006)を参考に、文献の追記を行った。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。

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