箱根山[はこねやま] Hakoneyama【常時観測火山】
北緯35°14′00″ 東経139°01′15″ 標高1,438m (神山)(三角点・冠ケ岳) |
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![]() 中央火口丘北部 外輪山長尾峠から 2011年12月8日 神奈川県温泉地学研究所撮影 |
概要
カルデラ火山であり、カルデラはおおよそ東西8km、南北12km、外輪山は玄武岩~安山岩の成層火山群からなる。前期中央火口丘(新期外輪山)は安山岩~デイサイトの溶岩および溶岩ドームからなる。後期中央火口丘は安山岩で、成層火山である神山や駒ヶ岳および二子山などの溶岩ドーム群からなる。主峰の神山の北側に活発な噴気地帯である大涌谷と早雲山があり、駒ヶ岳東麓にも湯の花沢・硫黄山噴気地帯がある。噴火の歴史記録はないが、噴気の活発化や、崩壊・土石流がしばしば発生するほか、群発地震が観測される。最新のマグマ噴火では、神山の北側斜面に溶岩ドームが貫入して現在の冠ヶ岳が形成された一方、山体崩壊により岩屑なだれが発生。岩屑なだれ堆積物は早川をせき止めて、芦ノ湖が現在の形になった。その後、大涌谷周辺で数回の水蒸気爆発があったことが地質調査により知られている。安山岩・デイサイトのSiO2量は55.6~67.8wt.%である。玄武岩のSiO2量は報告されていないが、流紋岩のSiO2量76.5 wt.%が報告されている。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
最近1万年間の活動は、カルデラ内の後期中央火口丘群に限られ、マグマ噴火は溶岩または溶岩ドームの形成と、それに伴うブロックアンドアッシュフロー型火砕流の発生を特徴とする。このほか、水蒸気爆発も認識されている。マグマ噴火としては、約8000年前の神山山頂付近の噴火、約5700年前の二子山溶岩ドームの噴火があげられる。最後に発生したマグマ噴火は約3200年前の神山のものでこのときは、神山の北側が山体崩壊し、冠ヶ岳が形成された。以降、水蒸気爆発として約3000年前、約2000年前、12世紀後半~13世紀の短い期間に3回の計5回が認識されているが、噴出物から本質物質は見つかっていない。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 箱根山 有史以降の火山活動
- 箱根山 群発地震リスト(~2022年3月)(PDF)
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラ、体積ひずみ計を設置し、関係機関の協力の下、箱根山の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
- 箱根山の噴火警戒レベル(PDF)
火山活動解説資料
- 箱根山の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。