御嶽山 有史以降の火山活動
有史以降の火山活動(▲は噴火年を示す)
年代 | 現象 | 活動経過・被害状況等 |
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1978~79(昭和53~54)年 | 地震 | 5月~。王滝村付近で群発。活動のピークは1978年10月。最大地震は10月7日05:44 M5.3。 |
▲1979(昭和54)年 | 中規模:水蒸気噴火 | 10月28日早朝。火砕物降下。噴火場所は剣ヶ峰(主峰)南斜面小火口群。 同夜におさまる。前橋付近まで降灰。山麓で農作物被害。噴出物の総量は約20数万トン。(VEI2) |
1984(昭和59)年 | 地震、(山体崩壊) | 9月14日。岩屑なだれ(御嶽崩れ)。場所は御嶽山南南東斜面。「昭和59(1984)年長野県西部地震(M6.8)」。御嶽山頂のやや南方に生じた山崩れは約10㎞流下して、王滝川に達するなど所々で大規模な崩壊。死者29名、住宅全半壊87棟等。地震活動は数年後にほぼ収まった。 |
1988(昭和63)年 | 地震 | 10月4~10日。低周波地震多発。 |
▲1991(平成3)年 | ごく小規模:水蒸気噴火 | 5月13~16日の間。噴火場所は1979年第7噴火口。 4月20日山体直下で地震多発、以後6月まで時々地震多発。4月27日~6月微動多発、特に5月12~16日微動活発。5月20日の現地調査で、1979噴火の第7火口から火山灰を噴出した跡を確認。第7火口はこれまで噴気もなかった。(VEI0) |
1992(平成4)年 | 地震 | 11月12日。火山性地震増加(52回) 。 |
1993(平成5)年 | 地震 | 3月下旬以降、山頂の南南東10㎞付近(長野県西部地震の余震域)で地震活動が活発化した。 |
1995(平成7)年 | 微動 | 8月下旬に、極微小な火山性微動が合計7回発生。 |
2006(平成18)年 | 地殻変動、地震、火山性微動 | 12月中旬、わずかな山体膨張が始まる。12月下旬、山頂部直下で火山性地震増加、火山性微動発生(以降、2007年3月まで消長を繰り返しながら継続)。 |
▲2007(平成19)年 | 水蒸気噴火 | 1~3月。噴火場所は79-7火口。 1月16~17日火山性地震増加(16日90回、17日164回)。1月25日一連の活動中で最大の火山性微動発生(15~20秒の超長周期成分を含む)。 3月16日噴気量増加(三岳黒沢の遠望カメラで山頂部に少量の噴気を確認、以降、ごく少量の噴気が時々認められる)。 3月後半? ごく小規模な噴火。 5月29日の現地調査で、79-7火口北東側約200mの範囲に79-7火口から噴出した火山灰を確認(噴火発生日は不明)。地震波等の研究から、御嶽山直下へのマグマ貫入(深さ4kmまで上昇)に伴って山頂直下の地震が発生。 |
▲2014(平成26)年 | 水蒸気噴火 | 9月27日11:52頃噴火。噴火は剣ヶ峰山頂南西側の北西-南東方向に伸びる火口列から発生。噴煙高度は火口縁上約7,000mと推定。大きな噴石が火口列から1km程度の範囲に飛散。火砕流が火口列から南西方向に約2.5km、北西方向に約1.5kmまで流下。 これに先立ち、9月10日から11日にかけて剣ヶ峰山頂付近の火山性地震の増加(10日52回、11日85回)。その後、9月14日から24日にかけて低周波地震が発生。噴火直前から連続した火山性微動が発生し、傾斜計では山上がりの変化。 気象庁による聞き取り調査では、岐阜県下呂市付近から山梨県笛吹市付近にかけて降灰を確認。噴出した火山灰に新鮮なマグマ由来の物質は認められず、この噴火は水蒸気噴火であったと考えられる。気象庁機動調査班(JMA-MOT)によると、10月2日、3日、5日、14日にも山麓でわずかな降灰を確認。噴火直後に実施した火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は、1日あたりおおよそ500トンから1500トンで推移。 死者・行方不明者合わせて63名。 |
2022(令和4)年 | 地殻変動、地震、火山性微動 | 2月23日。火山性地震が増加し、火山性微動に伴い地獄谷付近の隆起を示唆する地殻変動を観測(以降、火山性地震及び火山性微動の発生は、3月上旬まで消長を繰り返しながら継続)。 2月下旬~3月下旬。山体膨張を示すと考えられる地殻変動を観測。 |
日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考に、文献の追記を行った。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。