榛名山[はるなさん] Harunasan
北緯 36°28′38″ 東経 138°51′03″ 標高 1,449m (掃部ヶ岳(かもんがたけ))(標高点) 北緯 36°28′37″ 東経 138°52′42″ 標高 1,390m (榛名富士)(三角点) |
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![]() 榛名山全景 前橋市内から 2003年12月4日 気象庁撮影 |
概要
底面の直径約20kmの大型の複成火山。侵食が進んだ輝石安山岩の主成層火山の頂部に、径2km×3kmの小型のカルデラがあり、数個の角閃石デイサイトの後カルデラ溶岩ドームがある。活動史は複雑で、主成層火山の形成後、山体の破壊・再構築、数回の火砕流の流出、2回のカルデラ形成などが起きた。溶岩ドームはカルデラ中央の榛名富士のほか、主山体の東斜面にかけて東西方向に数個あり、その最新のものが二ツ岳である。二ツ岳北麓に伊香保温泉があるが、山頂付近では噴気活動は見られない。構成岩石のSiO2 量は50.6~74.6 wt.%である。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
約1万年前に山体の東部で山体崩壊(行幸田(みゆきだ)岩屑なだれ)が発生し、その直後に水沢山溶岩ドームが形成された。この活動以降、顕著な火山活動は発生しなかったが、5世紀に活動が再開し、6世紀中頃までに3回の噴火が発生した。6世紀の2回の噴火は規模が大きく、大量の降下火砕物や火砕流も噴出した。現在の二ッ岳溶岩ドームは、最新の噴火に伴って形成されたものである。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 榛名山 有史以降の火山活動 (▲は噴火年を示す)
記録に残る火山活動はない。
噴火記録はないが、噴出物と考古遺跡との関係から3回の噴火が知られている。年代 現象 活動経過・被害状況等 ▲400←→500年 マグマ水蒸気噴火 二ッ岳有馬火山灰噴火:火砕物降下。 ▲489←→498年の初夏 大規模:マグマ水蒸気噴火→(泥流) 二ッ岳渋川噴火:火砕物降下・火砕流→泥流。噴火場所は二ツ岳火口。
現在の二ツ岳付近からマグマ水蒸気爆発、水蒸気爆発、火砕流など。
マグマ噴出量は0.32 DREkm3。(VEI4)▲525←→550年の初夏 大規模:マグマ噴火→マグマ水蒸気噴火→マグマ噴火→(泥流) 二ッ岳伊香保噴火:火砕物降下・火砕流→溶岩ドーム、泥流。噴火場所は二ツ岳火口。
プリニー型噴火による降下軽石・火砕流と二ツ岳溶岩ドームの生成。
マグマ噴出量は0.74 DREkm3。(VEI5)噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006-)を参考とした。
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。