岩手山 有史以降の火山活動

有史以降の火山活動(▲は噴火年を示す)

年代 現象 活動経過・被害状況等
▲1686(貞享3)年 中規模:マグマ水蒸気噴火→マグマ噴火 3月~12月。火砕サージ→火砕物降下。噴火場所は東岩手火山妙高岳。
山頂御室火口で噴火。東山麓を中心に降灰(盛岡城下でも激しい降灰)。3月25日~27日に融雪型泥流が発生し、家畜及び家屋が被災。
マグマ噴出量は0.034 DRE km3。(VEI3)
▲1732(享保16~17)年 中規模:マグマ噴火 1月22~31日。溶岩流、火砕物降下。噴火場所は東岩手火山北東山腹。
北東山腹に溶岩流出(焼走り溶岩流)。長さ3.4km、最大幅1.1km。最盛期は初期数日。鳴動、地震を伴う。 マグマ噴出量は0.0064 DRE km3。(VEI2)
▲1919(大正8)年 小規模:水蒸気噴火 7月15日。火砕物降下。噴火場所は西岩手火山大地獄谷。
大地獄谷で水蒸気噴火。噴石が大地獄脇の登山道に飛散。
新火口生成、降灰。(VEI1)
1934~35 (昭和9~10)年 噴気 7月~。東岩手火山薬師岳山頂部・妙高岳で噴気活動活発化。
1959(昭和34)年 噴気 東岩手山の妙高岳南東斜面と御室火口西壁で噴気活動が活発化。
1972(昭和47)年 噴気 4月10日。東岩手火山薬師岳山頂部で噴気活動活発化。妙高岳から白色噴煙300m。
1995(平成7)年 地震・微動 9、10月。やや深部低周波地震・微動の活動始まる。
1997~2004(平成9~16)年頃 地震・地殻変動・噴気 1997年12月末から山体西側浅部で地震活動が始まり、1998年2月頃から超長周期地震を含む地震活動が活発化。同時に、東北大学、国土地理院等の地殻変動観測データにも変化が現れる。
1998年4月29日に短時間で多数の火山性地震を観測、傾斜計に大きな変化。
活動は6~7月をピークに、8月以降徐々に低下。9月3日岩手山の南西約10kmでM6.2の地震が発生し、直後に地震活動が一時活発化したが、10月には元の傾向に戻った。1999年以降、浅部の地震活動はさらに低下したが、やや深部の低周波地震・微動の活動は継続した。岩手山西側では噴気活動が1999年6月頃から活発化し、2002年から2003年をピークに徐々に平常に戻った。噴火には至らなかった。
2011(平成23)年 地震 3月。東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)以降、山頂の西北西約10kmで地震活動が活発化。

日本活火山総覧(第4版)(気象庁編,2013)による。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考に、文献の追記を行った。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付加している。詳しくはこちらを参照のこと。



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