樽前山(たるまえさん) Tarumaesan【常時観測火山】
北緯42°41′26″ 東経141°22′36″ 標高1,041m (樽前山)(標高点) 北緯42°43′01″ 東経141°21′32″ 標高1,102m (風不止)(三角点) |
![]() |
![]() 樽前山全景 後方は風不死岳 南東側上空から 2008 年 6 月 18 日 気象庁撮影 |
概要
樽前山は約9000年前に支笏湖の南東側に生じた後支笏カルデラ火山で、山体は山頂付近に伏在する400~600m前後のカルデラ壁上の火砕丘および火砕流堆積物で構成され、山体体積は約1km3である。 山頂部には直径南北1.2㎞、東西1.5㎞の大型の火口(山頂火口原)があり、その内部を中央火口丘と呼ばれる低い火砕丘が被っている。中央火口丘の中央には1909年に最大径約450m、比高約120mの溶岩ドームが生じた。 有史時代の噴火は全て山頂で起こっており、山頂火口原内では溶岩ドームを中心に現在も噴気・地熱が認められる。 構成岩石のSiO2量は52.0~64.0 wt.% である。
樽前山の北北西約3kmに位置する風不死岳は、約2万6千年前に支笏湖の南岸に噴出した後支笏カルデラ火山である。 約8500年前にマグマ水蒸気噴火、約4500年前に水蒸気噴火が発生した。 現在は、噴気活動は認められない。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
樽前山は約9000年前に火山活動を開始した。これまでの活動は約1000年以上の休止期を挟んで3つの活動期に区分される。 約9000年前に始まる第1活動期では、2回のプリニー式噴火により大量の火砕物を噴出し、小規模な火砕流も生じた。 その後、約6500年の休止期を経た第2活動期では、約2500年前から3回のプリニー式噴火が短い休止間隔で発生し、火砕物や火砕流、火砕サージが噴出した。 第3活動期は江戸時代から現在までの有史時代の活動である。1667年と1739年には規模の大きなプリニー式噴火が発生して大量の火砕物を噴出し、1909年噴火では現在山頂に見られる溶岩ドームを生成した。 19世紀以降は大規模噴火が発生していないが、70回以上の噴火が記録されている。
風不死岳は約8500年前にマグマ水蒸気噴火が発生して火砕サージが発生したほか、約4500年前には水蒸気噴火が発生した。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の 活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 樽前山 有史以降の火山活動
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版) (気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量 (単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が 既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数) も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラを設置し、 関係機関協力の下、樽前山の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
- 樽前山の噴火警戒レベル(PDF)
火山活動解説資料
- 樽前山の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。