若尊[わかみこ] Wakamiko
北緯31°39.8′ 東経130°47.9′ 水深 -77m (中央火口丘) |
![]() |
概要
若尊は、鹿児島湾の奥にある姶良(あいら)カルデラの北東部の一角を占める、海底に位置するカルデラである。 約29,000年前の大規模な入戸(いと)火砕流噴火の主要な噴火地点と推定されている。カルデラの地形は、北部から 東部にかけての輪郭は姶良カルデラと一致するが、南部から西部にかけての輪郭は水没している。 カルデラの直径は約10kmであり、カルデラの底は水深約200mの比較的平坦な海底面(南北2.5km東西3.5km)をなしている。 カルデラの北縁には天降川の沖積平野がせまっているが、カルデラの埋積は進んでいない。 カルデラの東側斜面には高さ約100mの溶岩ドーム状の火山(水深77m)があり、南縁上にも浅い高まり(平瀬:水深43m)が存在している。 約29,000年前以降の活動としては、新島火砕流や高野ベースサージ等がこのカルデラ起源と推定されているが、 噴出源を特定する証拠は得られていない。 また過去1万年以内に噴火した明確な証拠も認められていない。若尊カルデラの海底やカルデラ東部の海丘上では 噴気活動が活発であり、海面に泡が湧出する現象(地元で「たぎり」とよばれる)がみられる。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。 また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
過去1万年間に起こった噴火イベントは今のところ知られていない。カルデラ内には後カルデラ丘とみられるドーム状の地形が見られる。 カルデラ底では活発な熱水噴気活動が起こっており、このことを根拠に活火山に指定されている。 若尊カルデラは新島(燃島)を構成する新島火砕流の噴出源である可能性が高い 。新島の軽石の年代は16 ka (FT)である。 カルデラ東壁斜面には高野ベースサージが分布しており、軽石の記載岩石学的特長は燃島火砕流と酷似する。 しかし高野ベースサージの噴出年代は約19 cal ka BP(約1.9万年前?)であり、両者が層序的に対比できるかどうかは不明である。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の 活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 若尊 有史以降の火山活動
記録に残る火山活動はない。
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」) またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。 また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。 詳しくはこちらを参照のこと。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
火山活動解説資料
- 若尊の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。

このサイトには、Adobe社Adobe Readerが必要なページがあります。
お持ちでない方は左のアイコンよりダウンロードをお願いいたします。