平成26年 No.03 週間火山概況 (平成26年1月10日〜1月16日)

【火山現象に関する警報等の発表状況】

 いずれの火山についても、噴火に関する予報警報事項(警戒が必要な事項)に変更はありません。

表1 火山現象に関する警報等の発表履歴(平成26年1月10日〜1月16日)

発表日時 火山名 特別警報・
警報・予報
概要
毎日07時、17時 三宅島 火山ガス予報 島内の火山ガスの分布予想

表2 1月16日現在の火山現象に関する警報等の発表状況

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベル及びキーワード 該当火山
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 桜島
レベル2(火口周辺規制) 三宅島、阿蘇山、霧島山(新燃岳)、諏訪之瀬島
火口周辺危険 西之島※、硫黄島※
噴火警報(周辺海域) 周辺海域警戒 福徳岡ノ場※
噴火予報 レベル1(平常) 雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳、秋田焼山、岩手山、秋田駒ヶ岳、吾妻山、安達太良山、磐梯山、那須岳、草津白根山、浅間山、新潟焼山、焼岳、御嶽山、富士山、箱根山、伊豆東部火山群、伊豆大島、九重山、雲仙岳、霧島山(御鉢)、薩摩硫黄島、口永良部島
平常 上記以外の活火山
※印のついた火山は火山現象に関する海上警報も発表中。

図1  噴火警報発表中の火山

図1 噴火警報及び火山現象に関する海上警報を発表中の火山(1月16日)




【警報発表中の火山の活動状況及び警報事項】


三宅島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 今期間、噴煙高度は、火口縁上100〜200mで経過しました。
 火山性地震は、少ない状態で経過しました。
 三宅村によると、山麓ではまれにやや高濃度の二酸化硫黄が観測されています。
 山頂火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、山頂火口周辺(雄山環状線内側)では噴火に警戒してください。また、火山ガス予報で火山ガスの濃度が高くなる可能性があると予想される地域では、火山ガスに警戒してください。


西之島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]

 西之島では、活発な噴火活動が続いています。
 12日に海上保安庁、13日に第三管区海上保安本部が行った上空からの観測によると、2つの火口が活動中であり、南側の火口(図2の①)からは数分毎に灰色の噴煙を放出していることが確認されました。北側の火口(図2の②)からは、連続的に白色の噴煙を高さ約1,200mまで放出し、その火口周辺には白色の噴気が立ち昇っていることが認められました。新島は溶岩流により、四方に拡大しているのが確認されました(図2の点線)。新島東海岸付近から黄土色の変色水が、南東方向から南方向へ帯状に幅約50〜100m、長さ約500mで流出しているのが確認されました。
 西之島では、今後も噴火が続くおそれがありますので、西之島付近では噴火に警戒してください。また、周辺海域では浮遊物に注意してください。

図2 西之島 12日の噴火の状況(海上保安庁提供)

図2 西之島 12日の噴火の状況(海上保安庁提供)


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]

 今期間、火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動は観測されませんでした。
国土地理院の観測によると、地殻変動は2013年9月頃からほぼ停滞していましたが、11月頃から沈降に転じています。
硫黄島の島内は全体に地温が高く、多くの噴気地帯や噴気孔があり、過去には各所で小規模な噴火が発生しています。火山活動はやや活発な状態で推移しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されますので、従来から小規模な噴火が発生している地点(旧噴火口等)及びその周辺では噴火に警戒してください。


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]

 13日に第三管区海上保安本部が行った上空からの観測によると、福徳岡ノ場付近では変色水域等は認められませんでした。
 海上保安庁海洋情報部、第三管区海上保安本部、海上自衛隊及び気象庁によるこれまでの上空からの観測によると、福徳岡ノ場付近の海面には長期にわたり火山活動によるとみられる変色水等が確認されており、今後も小規模な海底噴火が発生すると予想されますので、周辺海域では噴火に警戒してください。


阿蘇山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制規制)]

 阿蘇山では、13日12時15分頃、中岳第一火口でごく小規模な噴火が発生し、灰白色の噴煙が火口縁上600mまで上がり南に流れました(図3)。阿蘇山で噴火が発生したのは2011年6月9日以来です。14日以降、噴火は発生していません。
 13日及び14日に実施した現地調査及び聞き取り調査(図4)では、火口南側で火山灰が堆積しているのを確認し、火口から南側600m付近では約133g/m2の降灰を観測しました。また、火口から南東約7kmの高森町にかけての範囲で降灰を確認しました。
 火山性微動は1月2日以降小さい状態が続いていましたが、12日8時頃から19時頃にかけて一時的に大きくなり、再び小さい状態へ戻りました。
 10日に実施した現地調査では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり1500トン(前回7日、1200トン)と多い状態でした。
 孤立型微動及び火山性地震は少ない状態で経過しています。
 阿蘇山では、中岳第一火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石1)に注意してください。

図3 阿蘇山 噴火の状況

図3 阿蘇山 噴火の状況
13日12時15分、草千里遠望カメラによる

図4 阿蘇山 山上ロープウェイ火口西駅における降灰の状況(14日10時54分)

図4 阿蘇山 山上ロープウェイ火口西駅における降灰の状況(14日10時54分)


霧島山(新燃岳) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制規制)]

 新燃岳では今期間、噴火は発生しませんでした。
 火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動は観測されませんでした。
 傾斜計2)では、火山活動に伴う特段の変化は認められませんでした。
 国土地理院の広域的な地殻変動観測によると、新燃岳の北西地下深くのマグマだまりへのマグマの供給に伴う地盤の伸びの傾向は2011年12月以降鈍化・停滞しています。一部の基線で、2012年5月頃からわずかな縮みの傾向がみられ、同年9月頃から停滞しています。
 新燃岳の火山活動は落ち着いた状態が続いています。しかし、火口内に溜まった溶岩は依然高温状態にあり、火口周辺に影響のある小規模な噴火が発生する可能性は残っています。火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。噴火時には、風下側で火山灰だけでなく小さな噴石1)(火山れき3))が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。降雨時には、泥流や土石流に注意してください。


桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 桜島では、噴火活動が続いています。
 昭和火口では、ごく小規模な噴火が断続的に発生しています。
 南岳山頂火口では、噴火は発生しませんでした。
 GPS連続観測では桜島島内の基線で、2013年2月頃からわずかな伸びの傾向がみられましたが、同年7月頃から停滞またはわずかな縮みの傾向がみられます。国土地理院の地殻変動観測結果によると、鹿児島(錦江)湾を挟む一部の基線では、長期的な伸びの傾向が続いていましたが、6月頃から停滞気味です。
 昭和火口及び南岳山頂火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)(火山れき3))が遠方まで風に流されて降るため注意してください。爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。また、降雨時には土石流に注意してください。


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 諏訪之瀬島の御岳(おたけ)では、やや活発な噴火活動が続いています。
 御岳火口では、ごく小規模な噴火が時々発生しました。夜間には、期間を通して高感度カメラで火映を観測しました。また、噴煙の最高高度は火口縁上700mでした。
 火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動を時々観測しています。
 今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、火口から概ね1km の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。


【噴火予報発表中の火山の活動状況及び予報事項】


 上記以外の火山では、期間中、火山活動に特段の変化はなく、予報事項に変更はありません。

1)噴石については、その大きさによる風の影響の程度の違いによって到達範囲が大きく異なります。本文中「大きな噴石」とは、「風の影響を受けず弾道を描いて飛散する大きな噴石」のことであり、「小さな噴石」とは、それより小さく「風に流されて降る小さな噴石」のことです。
2)火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがあります。
3)霧島山・桜島では「火山れき」の用語が地元で定着していると考えられることから、付加表現しています。

注)本資料には速報的な内容を含みます。データについては精査により、後日修正することがあります。
  詳細については、毎月発表の火山活動解説資料を参照してください。
  


【参考】 火山現象に関する警報等と噴火警戒レベル等の対応表

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベルとキーワード 噴火警戒レベルを運用していない火山に対するキーワード
噴火警報※ レベル5(避難) 居住地域厳重警戒
レベル4(避難準備)
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 入山危険
レベル2(火口周辺規制) 火口周辺危険
噴火予報 レベル1(平常) 平常

海底火山については、噴火警報(周辺海域)(キーワード:周辺海域警戒)と噴火予報(キーワード:平常)で発表します。

※印のついた噴火警報は、特別警報に位置づけられています。


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