平成25年 No.16 週間火山概況 (平成25年4月12日〜4月18日)

【火山現象に関する警報及び予報の発表状況】

 いずれの火山についても、噴火に関する予報警報事項(警戒が必要な事項)に変更はありません。

表1 火山現象に関する警報及び予報の発表履歴(4月12日〜4月18日)

発表日時 火山名 警報・予報 概要
毎日07時、17時 三宅島 火山ガス予報 島内の火山ガスの分布予想

表2 4月18日現在の噴火警報・予報等の発表状況

警報・予報 噴火警戒レベル及びキーワード 該当火山
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 霧島山(新燃岳)、桜島
レベル2(火口周辺規制) 三宅島、諏訪之瀬島
火口周辺危険 硫黄島※
噴火警報(周辺海域) 周辺海域警戒 福徳岡ノ場※
噴火予報 レベル1(平常) 雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳、岩手山、秋田駒ヶ岳、吾妻山、安達太良山、磐梯山、那須岳、草津白根山、浅間山、新潟焼山、焼岳、御嶽山、富士山、箱根山、伊豆東部火山群、伊豆大島、九重山、阿蘇山、雲仙岳、霧島山(御鉢)、薩摩硫黄島、口永良部島
平常 上記以外の活火山
※印のついた火山は火山現象に関する海上警報も発表中。

図1  噴火警報発表中の火山

図1 噴火警報及び火山現象に関する海上警報を発表中の火山(4月18日現在)




【警報発表中の火山の活動状況及び警報事項】


三宅島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 17日10時頃から、三宅島の西方沖約10㎞を震源とする地震活動が活発化しました。17日17時57分にはマグニチュード6.2の地震が発生し、東京都三宅村で最大震度5強を観測しました。17日から18日24時までに震度1以上を観測する地震は49回(うち最大震度5強が1回、最大震度3が7回、最大震度2が11回、最大震度1が30回)発生しました。また、18日に海上保安庁が実施した上空からの観測によると、三宅島周辺海域では変色水等は確認されませんでした。
 17日と18日を含めて今期間、三宅島島内の地震活動や地殻変動、噴煙活動に特段の変化はなく、三宅島の火山活動に特段の変化はありません。
 三宅村によると、山麓ではまれにやや高濃度の二酸化硫黄が観測されています。
 山頂火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、山頂火口周辺(雄山環状線内側)では噴火に警戒してください。また、火山ガス予報で火山ガスの濃度が高くなる可能性があると予想される地域では、火山ガスに警戒してください。三宅島西方沖で発生した地震の余震活動にも注意して下さい。


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]

 今期間、火山性地震は少ない状態で経過しました。
 国土地理院の観測によると、地殻変動は2013年1月頃から、わずかに隆起の傾向がみられていましたが、4月からはほぼ停滞しています。
 硫黄島の島内は全体に地温が高く、多くの噴気地帯や噴気孔があり、過去には各所で小規模な噴火が発生しています。火山活動はやや活発な状態で推移しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されますので、2012年4月末に新たに噴気が確認された島北部や変色水がみられた北東沖、従来から小規模な噴火がみられていた島東部の海岸付近、島西部(旧噴火口等)及び南東沖(翁浜沖)では噴火に警戒してください。


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]

 4月10日(期間外)に海上自衛隊が実施した上空からの観測では、福徳岡ノ場付近の海面に火山活動によるとみられる緑色の変色水が湧出点を中心に半径約630m程度の範囲に確認されました。
 海上保安庁海洋情報部、第三管区海上保安本部、海上自衛隊及び気象庁によるこれまでの上空からの観測によると、福徳岡ノ場付近の海面には長期にわたり火山活動によるとみられる変色水等が確認されており、今後も小規模な海底噴火が発生すると予想されますので、周辺海域では噴火に警戒してください。


霧島山(新燃岳) [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動は観測されませんでした。
 傾斜計1)では、火山活動に伴う特段の変化は認められませんでした。
 新燃岳の北西数㎞の地下深くにあると考えられるマグマだまりの膨張は、2011年12月以降鈍化・停滞しています。国土地理院の地殻変動観測結果によると、2012年5月頃からわずかに地盤の縮みの傾向がみられていましたが、2012年9月頃から停滞しています。
しかし、火口には高温の溶岩が溜まっており、火口直下の火山性地震も発生していることから、現在でも小規模な噴火が発生する可能性は否定できません。新燃岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石2)に警戒してください。噴火時には、風下側で火山灰だけでなく小さな噴石2)(火山れき3))が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。噴火警報や霧島山上空の風情報に留意してください。降雨時には泥流や土石流に警戒してください。降雨に関する情報に留意してください。


桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 桜島では、噴火活動が続いています。
 昭和火口では、17日10時20分に爆発的噴火が発生し、噴煙が火口縁上1,500mまで上がり、大きな噴石2)が4合目(昭和火口より800〜1,300m)まで達しました。また、同火口では、高感度カメラ4)で明瞭に見える火映を時々観測しました。
 南岳山頂火口では、噴火の発生はありませんでした。
 火山性地震は少ない状態で経過し、噴火に伴う火山性微動が時々発生しました。国土地理院の地殻変動観測結果によると、姶良(あいら)カルデラ(鹿児島湾奥部)深部の膨張は2012年11月頃から停滞しているように見えますが、一部の基線ではわずかながら伸びの傾向が続いています。
 昭和火口及び南岳山頂火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石2)(火山れき3))が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。
 また、降雨時には土石流に注意してください。


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 御岳(おたけ)火口では今期間、13日にごく小規模な噴火が発生しました。同火口では夜間に高感度カメラで確認できる程度の微弱な火映を観測しました。連続した火山性微動は引き続き発生しています。
 今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されるので、火口から概ね1kmの範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石2)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石2)が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。


【噴火予報発表中の火山の活動状況及び予報事項】

 上記以外の火山では、期間中、火山活動に特段の変化はなく、予報事項に変更はありません。

1)火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがあります。
2)噴石については、大きさによる風の影響の程度の違いによって到達範囲が大きく異なります。本文中「大きな噴石」とは、「風の影響を受けず弾道を描いて飛散する大きな噴石」のことであり、「小さな噴石」とは、それより小さく「風に流されて降る小さな噴石」のことです。
3)霧島山・桜島では「火山れき」の用語が地元で定着していると考えられることから、付加表現しています。
4)九州地方整備局大隅河川国道事務所が黒神河原上流に設置したカメラ等によります。

注)本資料には速報的な内容を含みます。データについては精査により、後日修正することがあります。
  詳細については、毎月発表の火山活動解説資料を参照してください。
  


【参考】 噴火警報・予報と噴火警戒レベル等の対応表

警報・予報 噴火警戒レベルとキーワード 噴火警戒レベルを運用していない火山に対するキーワード
噴火警報 レベル5(避難) 居住地域厳重警戒または山麓厳重警戒*
レベル4(避難準備)
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 入山危険
レベル2(火口周辺規制) 火口周辺危険
噴火予報 レベル1(平常) 平常

*居住地域が不明確な場合

海底火山については、噴火警報(周辺海域)(キーワード:周辺海域警戒)と噴火予報(キーワード:平常)で発表します。


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