2007年 No.48 火山の概況 (平成19年11月23日 〜 平成19年11月29日)

【噴火した火山】

桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
26日に南岳山頂火口でごく小規模な噴火が発生した。
諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
29日に御岳火口で爆発的噴火が発生した。

【活発もしくはやや活発な状況の火山】

樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
三宅島 [やや活発な状況]
多量の火山ガス放出が続いていると推定される。
硫黄島 [やや活発な状況]
島全体が大きく隆起する地殻変動が継続している。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動はやや活発で、火山性地震はやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。

図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山
図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルを言う。

注2 記号の意味
 ▲:噴火した火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
 ◇:静穏な状況であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火した火山 ●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山 ◇:静穏な状況であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山


● 樽前山 [やや活発な状況]

 A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
 樽前山の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
 なお、地震活動及び噴煙活動は低調な状態が続いており、地殻変動に特段の変化はなかった。


● 三宅島 [やや活発な状況]

 噴煙高度は火口縁上200〜300mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
 今期間、火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されている。
 三宅島の火山活動はやや活発な状況が続いており、多量の火山ガス放出は当分続くと考えられる。風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。また、雨による泥流にも注意が必要である。
 なお、地殻変動に特段の変化はなかった。
 


● 硫黄島 [やや活発な状況]

 国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、島全体が大きく隆起する地殻変動は2007年1月頃に鈍化したものの現在も継続しており、島内の地震活動もやや活発な状態が続いている。
 硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、従来から小規模な水蒸気爆発が見られていた領域では、今後も注意が必要である。


▲ 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]

 26日に南岳山頂火口でごく小規模な噴火が発生した。
 火山性地震及び火山性微動は、消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 国土地理院のGPS観測によると、姶良(あいら)カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ注入によると考えられる長期的な膨張が続いている。
 桜島では長期にわたり噴火活動が続いており、南岳山頂火口及び昭和火口から半径2km以内では注意が必要である。


● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね400mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
 薩摩硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、硫黄岳山頂火口周辺では注意が必要である。


● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 口永良部島の火山活動はやや活発な状況が続いており、新岳(しんだけ)火口周辺では注意が必要である。
 なお、遠望カメラ(新岳火口の北西約3kmに設置)では、新岳火口周辺の噴気等は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。


▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)

 29日に御岳(おたけ)火口で爆発的噴火が発生したほか、十島(としま)村役場諏訪之瀬島出張所によると、28〜29日に小規模な噴火が発生し、集落(御岳の南南西約4km)で少量の降灰が確認された。
 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 諏訪之瀬島では、長期にわたり噴火を繰り返すなど火山活動は活発な状況が続いており、御岳火口から半径2km以内では注意が必要である。





表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル
記号の意味
 ▲:噴火した火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
 ◇:静穏な状況であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル

 ※ 火山情報発表状況
 今期間、火山情報の発表はなかった。



 噴火警報、噴火予報及び噴火警戒レベルについて
 気象庁は平成19年12月1日より噴火警報、噴火予報及び噴火警戒レベルの発表を開始します。それに伴い、従来の火山活動度レベルは廃止します。週間地震・火山概況でお知らせするレベルは次号から噴火警戒レベルとなります。詳しくは気象庁ホームページ(http://www.jma.go.jp)を参照ください。

このページのトップへ