2007年 No.16 火山の概況 (平成19年4月13日 〜 平成19年4月19日)
【噴火した火山】
【活発もしくはやや活発な状況の火山】
図1 活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルを言う。
注2 記号の意味
▲:噴火した火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
【各火山の活動解説】
● 樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
今期間、火山性地震は少なく、火山性微動も観測されなかったが、火山活動は現在もやや活発な状態が続いていると考えられ、山頂付近では注意が必要である。
なお、噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いており、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 御嶽山 [やや活発な状況]
火山性地震は、昨年12月から消長を繰り返しながらやや多い状態が続き、火山性微動も時々観測された。
今期間、火山性地震は少なく、火山性微動も観測されなかったが、火山活動は現在もやや活発な状態が続いていると考えられ、山頂付近では注意が必要である。
三岳黒沢みたけくろさわの遠望カメラ(剣ヶ峰けんがみねの南東約14kmに設置)では、ごく少量の噴気が時々観測された。
気象庁のGPSによる地殻変動観測では、御嶽山の地下の膨張を示すわずかな伸びの変化は、収まりつつあるように見える。
● 三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
今期間は火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化が見られないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
特に風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。また、雨による泥流にも注意が必要である。
なお、火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 硫黄島 [やや活発な状況]
国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、島内の地震活動は落ち着いた状態となっているが、昨年8月頃始まった島北部の元山もとやま地域付近での大きな隆起の地殻変動は、やや鈍化しながら継続している。
硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、従来から小規模な水蒸気爆発が見られていた領域では、今後も注意が必要である。
▲ 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
南岳山頂火口では、ごく小規模な噴火が時々発生した。昭和火口では、噴火は発生しなかったが、弱い噴気が時々観測された。
火山性地震及び火山性微動はやや多い状態が続いている。
桜島では噴火活動が継続しており、南岳山頂火口及び昭和火口から半径2km以内では注意が必要である。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
薩摩硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
遠望カメラ(新岳しんだけ火口の北西約3kmに設置)による観測では、19日に新岳火口周辺で高さ10m程度の弱い噴気が観測された。
口永良部島の火山活動はやや活発な状況が続いており、新岳火口周辺では注意が必要である。
なお、地殻変動に特段の変化はなかった。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
十島としま村役場諏訪之瀬島出張所によると、19日に御岳おたけ火口で小規模な噴火が発生した。
諏訪之瀬島の火山活動は活発な状況が続いており、御岳火口から半径2km以内では注意が必要である。
なお、火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過した。