2006年 No.45 火山の概況 (平成18年11月3日 〜 平成18年11月9日)

【噴火した火山】

桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
4日に南岳山頂火口で爆発的噴火が発生した。 
諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
7日に爆発的噴火が発生した。

【活発もしくはやや活発な状況の火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では高温状態が続いていると推定される。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震及び火山性微動がやや多い状態が続いている。

【静穏な状況であるが、観測データ等に変化のあった火山】

雲仙岳 [静穏な状況(レベル1)
6日夜から発光現象等がみられたが、火山活動の活発化を示すものではなく、静穏な状態が続いている。 



図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山
図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。

注2 記号の意味
 ▲:噴火した火山
 ●:活発もしくはやや活発な状況の火山
 ◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。


● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口では、今年1月以降、噴煙活動及び火口温度に低下傾向がみられるものの、依然として熱活動はやや活発な状態にあり、噴煙高度は火口縁上概ね100mで推移した。
 火山性地震は少ない状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
 噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。


● 三宅島  [やや活発な状況]

 噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね300mで推移した。
 今期間は火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化はみられないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
 火山性地震は9月中旬以降やや多い状態が続いており、5日には地震回数が201回と多発した。地震多発中の5日午前には空振1)を伴った低周波地震2)が3回発生したが、これらの地震発生時に噴煙の状況やその他の観測データに特段の変化はなかった。その後、地震回数は減少し、6日以降は1日あたり21〜56回となった。
 その他、9日04時53分には振幅のやや大きな高周波地震3)が発生し、三宅村神着と三宅村坪田で震度1を観測した。
 期間中、火山性微動は観測されなかった。GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

1)噴火などで発生した空気の急激な圧力変化が大気中を周囲に伝わる現象。
2)周期の長い波を特徴とした地震。三宅島では、空振を伴う低周波地震が発生した場合には、山頂火口から火山灰噴出を伴うことがある。
3)周期の短い波を特徴とした地震で、一般の構造性地震と同様に岩盤の破壊によって生じる。


◇ 雲仙岳  [静穏な状況(レベル1)]

 6日夜、南島原消防署布津分署から、平成新山の南側斜面で赤い光が見えるとの通報があった。気象庁の野岳遠望カメラ及び国土交通省の赤松谷川上流監視カメラでは、平成新山の南側中腹斜面の一部で発光現象が確認され、白煙が認められた。
 7日に九州地方整備局の協力により実施した上空からの調査、及び8日に実施した岩床山からの調査の結果、当初発光現象が見られた場所には火山ガスの噴出や噴気孔と見られるものは確認されなかった。
 9日以降、発光現象は見られていない。
 なお、雲仙岳の火山活動は、火山性地震及び微動の発生はなく、また地殻変動にも特段の変化はなく、静穏な状態が続いている。


▲ 桜島  [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]

 南岳山頂火口では4日に爆発的噴火が発生し、噴煙高度が火口縁上2,000mに達した。また、4日と5日には噴煙高度が火口縁上1,000〜1,100mに達する噴火が発生したほか、ごく小規模な噴火も時々発生した。
 昭和火口では噴火は発生しなかった。
 火山性地震及び火山性微動はやや少ない状態で経過した。地殻変動に特段の変化はなかった。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね300mであった。
 火山性地震はやや多く、ごく小規模な火山性微動が時々発生した。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震及び火山性微動が増減を繰り返しながらやや多い状態が続いている。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では、10月30日(期間外)以降、新岳火口付近に弱い噴気が時々認められている。


▲ 諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 7日に爆発的噴火があったほか、小規模な噴火が時々発生した。十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、3日〜7日に火山灰を含む噴煙が確認され、4日には集落(御岳の南南西約4km)で降灰が認められた。
 火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過した。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
三 宅 島 火山観測情報
第307〜313号
(1日1回発表)
11月3日〜11月9日
16:30
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。
雲 仙 岳 火山観測情報第1号 11月7日
00:15
平成新山南東側斜面で発光現象が見られている。 原因については、局所的に小規模な高温の火山ガス噴出があった可能性もそのひとつと考えられるが、詳細は調査中。


このページのトップへ