2006年 No.43 火山の概況 (平成18年10月20日 〜 平成18年10月26日)

【噴火が観測された火山】

桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
21日に南岳山頂火口で爆発的噴火が発生した。

【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では高温状態が続いていると推定される。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いている。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震はやや多い状態が続いている。
諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
長期的には噴火活動は活発な状態が続いているが、今期間噴火は発生しなかった。

【静穏な状況だが観測データに変化があった火山】

阿蘇山 [静穏な状況(レベル1)
南阿蘇村吉岡の噴気地帯でごく小規模な泥などの噴出があった。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山
図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。

注2 記号の意味
 ▲:噴火が観測された火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山
 ◇:静穏な状態であるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。


● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口では依然として高温の状態が続いていると推定される。同火口からの噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100mで推移した。
 火山性地震は少ない状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
 噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。


● 三宅島  [やや活発な状況]

 噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上200〜300mで推移した。
 26日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり1,400〜2,300トン(前回16日1,700〜2,200トン/日)と、依然として多量の火山ガスの放出が続いている。
 火山性地震はやや多い状態でが続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。


◇ 阿蘇山  [静穏な状況(レベル1)]

 21日朝、中岳第一火口から西南西に約6km離れた南阿蘇村吉岡の噴気地帯で一時的に噴気が強まり、噴気孔からごく少量の泥などを噴出した。23日〜24日にかけて行った現地調査時にも噴気のやや強い状態が続いていた。
 この地域では今年3月以降、噴気がやや強まる傾向が認められており、前期間の15日深夜から16日早朝にかけても少量の泥などを噴出する現象が発生した。
 一般的に噴気地帯では今回のような現象が時々起こりえると考えられ、くぼ地などには火山ガスが滞留することもある。今後も引き続き噴気活動に注意が必要である。
 なお、中岳第一火口の熱活動および地震活動は低調な状態で、地殻変動にも特段の変化はない。阿蘇山(中岳第一火口)の火山活動度レベルは0〜5のうち、1(静穏な火山活動)である。


▲ 桜島  [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]

 南岳山頂火口では21日に爆発的噴火が発生したほか、ごく小規模な噴火が時々発生した。
 昭和火口では噴火は発生しなかったが、弱い噴気が観測された。
 火山性地震及び火山性微動は少ない状態であった。地殻変動に特段の変化はなかった。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は最高で火口縁上300mであった。
 火山性地震はやや多く、ごく小規模な火山性微動が時々発生した。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震および火山性微動が増減を繰り返しながらやや多くなっている。京都大学防災研究所附属火山活動研究センター及び産業技術総合研究所のGPSによる地殻変動観測では、9月頃から新岳火口付近の膨張を示す変化が観測されている。また、19日に同センターおよび鹿児島地方気象台が実施した上空からの観測1)では、2005年2月の観測に比べ、新岳火口付近で高温域が拡大するなど、熱活動の高まりを示す変化が認められた。
 火山活動はやや活発な状態が続いており、火口付近では注意が必要である。

 1)赤外熱映像装置による。赤外熱映像装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。


● 諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 長期にわたり噴火を繰り返すなど、火山活動は活発な状態が続いているが、今期間は噴火は観測されず、火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過した。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
三 宅 島 火山観測情報
第293〜299号
(1日1回発表)
20日〜24日
16:30
25日 16:45
26日 16:40
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。26日に実施した火山ガス観測の結果
阿 蘇 山 火山観測情報
第6号
25日
11:50
南阿蘇村吉岡の噴気地帯で噴気が強まっており、15日深夜から16日早朝にかけてと21日朝、噴気が強まり少量の泥などを噴出する現象があった。


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