2006年 No.40 火山の概況 (平成18年9月29日 〜 平成18年10月5日)

【噴火が観測された火山】

桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
南岳山頂火口でごく小規模噴火な噴火が時々発生した。
諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
小規模な噴火が時々発生した。

【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では高温状態が続いていると推定される。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
10月4日に変色水が認められた。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震はやや多い状態が続いている。

【その他の記事を掲載した火山】

箱根山 [静穏な状況]
10月2日〜3日にかけて地震がややまとまって発生した。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山
図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。

注2 記号の意味
 ▲:噴火が観測された火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山
 ◇:静穏な状態であるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。


● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口では依然として高温の状態が続いていると推定される。同火口からの噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。
 地震活動は低調な状態が続いている。GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
 噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。傾斜計及びGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


◇ 箱根山  [静穏な状況]

 9月27日〜28日(前期間)および10月2日〜3日に駒ヶ岳付近の浅い所を震源とする地震が一時的にややまとまって発生した。最大の地震は2日05時36分に発生したM(マグニチュード)2.2(暫定値)であった。震源に近い箱根町強羅や元箱根では身体に感じる揺れや地鳴りがあったもようである。気象庁の体積歪(ひずみ)計1)や神奈川県温泉地学研究所の傾斜計2)等による地殻変動観測では特段の変化はなかった。また、10月2日に同研究所が行った調査によると、噴気などの表面現象には特段の異常はなかった。
 10月4日以降、地震活動は落ち着いてきている。箱根山ではこれまでにもしばしば地震がややまとまって発生することがあり、2005年8月14日にも駒ヶ岳付近を震源とする同様な地震活動があった。

1)センサーで周囲の岩盤から受ける力による体積の変化をとらえ、岩石の伸びや縮みを観測する機器。
2)膨張や収縮による地面の傾きを観測する機器。


● 三宅島  [やや活発な状況]

 噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上300〜400mで推移した。
 今期間は火山ガス放出量の観測は行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化はみられないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いているものと推定される。
 火山性地震の回数は1日あたり35〜95回とやや多い状態で経過した。10月5日00時26分に空振を伴う低周波地震3)が発生し、三宅村神着で震度1を観測した。地震発生時の噴煙の状況は雲のため確認できなかったが、10月5日早朝に行った現地調査では降灰は確認されず、その他の観測データにも特段の変化はなかった。火山性微動は観測されなかった。
 GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

3)三宅島では、空振を伴う低周波地震が発生した時に山頂火口から火山灰噴出を伴うことがある。


● 福徳岡ノ場   [やや活発な状況]

 10月4日に第三管区海上保安本部が上空から行った観測によると、福徳岡ノ場付近の海域で、火山活動によるとみられる変色水が確認された。変色水は中心付近が黄土色で、そこから東南東方向に延びる長さ約1700m、幅約200mの緑色のものであった。なお、付近に浮遊物等は認められなかった。


▲ 桜島  [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]

 南岳山頂火口ではごく小規模な噴火が時々発生した。
 昭和火口では噴火は発生しなかったが、今期間も白色の噴煙が観測されており、噴煙高度は火口縁上概ね50mであった。
 火山性地震及び火山性微動はやや多い状態が続いている。GPSなどによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は最高で火口縁上600mであった。
 火山性地震はやや多い状態が続いている。22日にごく小規模な火山性微動が1回発生した。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震はやや多く、10月2日〜4日にかけてごく小規模な火山性微動が時々発生した。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。


▲ 諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 引き続き小規模な噴火が時々発生した。十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、9月29〜10月2日にかけて火山灰を含む噴煙が確認され、10月2日には集落(御岳の南南西約4km)で降灰があった。
 噴火活動に伴い、9月29日〜30日と10月2日〜3日に時々火山性連続微動が発生した。火山性地震は少ない状態で経過した。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
三 宅 島 火山観測情報
第272〜278号
(1日1回発表)
9月29日〜10月5日
16:30
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。


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