2006年 No.38 火山の概況 (平成18年9月15日 〜 平成18年9月21日)

【噴火が観測された火山】

桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
南岳山頂火口では20日に爆発的噴火が発生した。
諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
19〜21日に小規模な噴火が時々発生した。

【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では高温状態が続いていると推定される。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いている。
三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いている。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震は消長を繰り消しながらやや多い状態が続いているが、今期間は少なかった。

【その他の記事を掲載した火山】

浅間山 [静穏な状況(レベル1)←22日(期間外)にやや活発な状況(レベル2)から引き下げ
噴煙活動のやや活発な状態が続いている。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山
図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。

注2 記号の意味
 ▲:噴火が観測された火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山
 ◇:静穏な状態であるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル

注3 記事は、▲、●(注2参照)に該当する火山について掲載する。
 その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。


● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口では依然として高温の状態が続いていると推定される。同火口からの噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。
 地震活動は低調な状態が続いている。GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 17日に実施した観測では、A火口の最高温度は約490℃1)(前回8月9日約490℃1))であり、火口内の熱的な状態に変化はなく依然として高温の状態が続いていた。
 噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。傾斜計及びGPSによるによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

1)赤外放射温度計または赤外熱映像装置による。これらの装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。


● 浅間山  [静穏な状況 (レベル1)]←22日(期間外)にやや活発な状況(レベル2)から引き下げ

 浅間山では、2005年6月以降もやや活発な状況で推移してきたが、最近は火山性地震や火山性微動の回数、火山ガス放出量が低下していることから、火山活動は静穏になったと判断し、22日(期間外)に火山活動度レベルを2(やや活発な状況)から1(静穏な状況)に引き下げた。
 今期間、噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね100mで推移した。今期間、山麓に設置した高感度カメラ2)では火映は観測されなかった。
 19日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり100〜200トンと前回(8月29日100〜200トン/日)と同程度で、やや少ない状態が続いている。
 火山性地震の回数は1日あたり2〜9回と少ない状態で経過した。火山性微動は観測されなかった。傾斜計及びGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

2) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が設置。


● 三宅島  [やや活発な状況]

 噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね300mで推移した。
 火山性地震の回数は、17日まではやや少ない状態で経過していたが、18日から山頂火口直下を震源とするやや低周波の地震が1日あたり50回前後とやや多い状態となっている。火山性微動は観測されず、GPSによる地殻変動観測でも特段の変化はなかった。
 今期間は火山ガス放出量の観測は行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化はみられないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いているものと推定される。


▲ 桜島  [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]

 南岳山頂火口では20日に爆発的噴火が発生した。また、19日と21日には噴煙高度が火口縁上1,200〜1,800mに達する噴火が発生したほか、ごく小規模な噴火も時々発生した。
 昭和火口では噴火は発生しなかったが、今期間も白色の噴煙が観測されており、噴煙高度は火口縁上概ね100mであった。
 振幅のやや大きな火山性地震及び火山性微動はやや多い状態が続いている。
 GPSなどによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙の高さは概ね火口縁上100mであった。
 火山性地震はやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されなかった。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 2005年7月以降、火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 今期間、火山性地震の回数は0〜7回と少なく、火山性微動は観測されなかった。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。


▲ 諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 今期間、爆発的噴火は発生しなかったが、19〜21日に小規模な噴火が時々発生した。十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、19〜21日に火山灰を含む噴煙が確認され、噴煙の高さは火口縁上600〜1,500mであった。
 16日、19〜21日に火山性地震がやや増加し、19〜21日に火山性連続微動が断続的に発生した。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
浅 間 山 火山観測情報第37号 15日16:00 9月8日〜9月15日15時の活動状況。レベルは2。
三 宅 島 火山観測情報
第258〜264号
(1日1回発表)
15日〜21日
16:30
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。11日に実施した火山ガス観測の結果。


このページのトップへ