2006年 No.30　火山の概況　(平成18年７月21日 〜 平成18年７月27日)

▲ 諏訪ノ瀬島 ［活発な状況（レベル３）］

26日および27日に爆発的噴火が観測された。

● 雌阿寒岳 ［やや活発な状況］

ポンマチネシリ山頂の赤沼06火口群や北西斜面06噴気孔列で噴煙活動のやや活発な状態が続いている。

● 十勝岳 ［やや活発な状況］

62-2火口では高温状態が続いていると推定される。

● 樽前山 ［やや活発な状況］

Ａ火口及びＢ噴気孔群の高温状態が続いていると推定される。

● 浅間山 ［やや活発な状況（レベル２）］

噴煙活動のやや活発な状態が続いている。

● 三宅島 ［やや活発な状況］

噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いている。

● 福徳岡ノ場 ［やや活発な状況］

26日に変色水が認められた。

● 阿蘇山 ［やや活発な状況（レベル２）］

中岳第一火口内の熱活動はやや低調な状態となっている。

● 桜島 ［活発な状況（レベル３）］

火山性地震や微動のやや多い状態が続いている。

● 薩摩硫黄島 ［やや活発な状況（レベル２）］

火山性地震のやや多い状態が続いている。

● 口永良部島 ［やや活発な状況（レベル２）］

火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いているが、今期間は少なかった。

図１ 　今期間掲載した各火山の活動状況

注１　本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。

注２　記号の意味
　▲：噴火が観測された火山
　●：活動が活発もしくはやや活発な状態である火山
　◇：静穏な状態であるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
　①②等の丸付き数字：火山活動度レベル

注３　記事は、▲、●（注２参照）に該当する火山について掲載する。
　その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。

　ポンマチネシリ山頂の赤沼06火口群や北西斜面06噴気孔列の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上100〜300ｍで推移した。火山性地震は25日に２回発生したのみで、地震活動は低調な状態が続いている。火山性微動は観測されなかった。GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

　62-2火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上100〜200ｍで推移した。噴煙の活動に特に変化はみられていないことから、同火口の熱活動にも大きな変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。地震活動は低調な状態が続いており、GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

　Ａ火口及びＢ噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、これらの火口の熱活動にも大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。地震活動は低調な状態が続いており、GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

　山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね100ｍで推移した。今期間、火映は観測されなかった。
　火山性地震の回数は１日あたり６〜13回と少ない状態で経過した。火山性微動は観測されなかった。傾斜計及びGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

　山頂火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200ｍで推移した。
　27日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は１日あたり1,500〜2,500トン（前回7月14日900〜1,400トン/日）と依然として多量の火山ガスの放出が続いている。
　火山性地震はやや多い状態が続いている。１日あたりの回数は46〜116回と前期間（１日あたり42〜73回）に比べ増加傾向にあるが、空振を伴う低周波地震^１）や火山性微動は観測されなかった。GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

１）三宅島では、空振を伴う低周波地震が発生した時に山頂火口から火山灰噴出を伴うことがある。

　26日に海上自衛隊が上空から行った観測によると、福徳岡ノ場を中心として、幅約200ｍ、長さ約200ｍの乳白色の変色水が確認された。また、付近に浮遊物が認められた。

　25日および27日に行った現地観測によると、中岳第一火口の湯だまり^２） の量はともに10割、表面温度^３） はそれぞれ58℃、60℃で、中岳第一火口の熱活動はやや低調な状態となっている。
　火山性連続微動の振幅は小さい状態が続いている。孤立型微動および火山性地震の発生状況、噴煙活動、地殻変動等その他に特段の変化はなかった。

２）活動静穏期の中岳第一火口内には、地下水などを起源とする約50〜60℃の緑色のお湯がたまっており、これを湯だまりと呼んでいる。火山活動が活発化するにつれ、湯だまり温度の上昇や湯量の減少がみられ、その過程で湯だまり内で熱湯が沸き上がる噴湯現象や土砂を噴き上げる土砂噴出現象が起こり始めることが知られている。
３）赤外放射温度計による。赤外放射温度計は、物体が放射する赤外線を感知して温度を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。

　今期間、噴火は発生しなかった。
　火山性地震および火山性微動はやや多い状態が続いており、時折振幅の大きなものが観測されている。GPSなどによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

　硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙の最高高度は火口縁上600ｍであった。火山性地震はやや多い状態が続いている。火山性微動は少ない状態で経過した。

　昨年７月以降、火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。今期間、火山性地震の回数は１日あたり１〜４回と少なく、火山性微動は観測されなかった。監視カメラ（新岳の北西約４kmに設置）による観測では噴気等は認められなかった。

　26日から27日に爆発的噴火が４回観測された。爆発的噴火が観測されたのは３月７日以来である。27日15時54分頃の爆発的噴火では、監視カメラ（御岳の北北東約25kmの中之島に設置）により、灰白色の噴煙が火口縁上800ｍまで上がるのが確認された。また、23日にも噴火が発生し、十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、火山灰を含む噴煙が上がっているのが海上から確認され、また集落（御岳の南南西４km）で降灰が観測された。火山性地震や火山性微動はやや多い状態で経過した。

表１ 最近１か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル