2006年 No.28　火山の概況　(平成18年７月７日 〜 平成18年７月13日)

▲ 桜島 ［活発な状況（レベル３）］

南岳でごく小規模な噴火が発生した。

● 雌阿寒岳 ［活発な状況］

ポンマチネシリ山頂の赤沼06火口群や北西斜面06噴気孔列で噴煙活動のやや活発な状態が続いている。

● 十勝岳 ［やや活発な状況］

62-2火口では高温状態が続いていると推定される。

● 樽前山 ［やや活発な状況］

Ａ火口及びＢ噴気孔群の高温状態が続いている。

● 浅間山 ［やや活発な状況（レベル２）］

噴煙活動のやや活発な状態が続いている。

● 三宅島 ［やや活発な状況］

噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いている。

● 福徳岡ノ場 ［やや活発な状況］

10日に変色水が認められた。

● 阿蘇山 ［やや活発な状況（レベル２）］

中岳第一火口内の熱活動のやや活発な状態が続いていると推定される。

● 薩摩硫黄島 ［やや活発な状況（レベル２）］

火山性地震のやや多い状態が続いている。

● 口永良部島 ［やや活発な状況（レベル２）］

火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。

● 諏訪ノ瀬島 ［やや活発な状況（レベル３）］

火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。

図１ 　今期間掲載した各火山の活動状況

注１　本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。

注２　記号の意味
　▲：噴火が観測された火山
　●：活動が活発もしくはやや活発な状態である火山
　◇：静穏な状態であるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
　①②等の丸付き数字：火山活動度レベル

注３　記事は、▲、●（注２参照）に該当する火山について掲載する。
　その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。

　ポンマチネシリ山頂の赤沼06火口群や北西斜面06噴気孔列の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上100〜200ｍで推移した。火山性地震は１日あたり５回以下で推移し、地震活動は低調な状態が続いている。火山性微動は観測されなかった。GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

　62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上100〜300ｍで推移した。噴煙の活動に特に変化はみられていないことから、同火口の熱活動にも大きな変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。火山性地震は少ない状態で、GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

　９日に産業総合研究所が行った現地調査では，Ａ火口の最高温度は約500℃^１）（前回6月1日の観測では約510℃^1））であり、火口内の熱的な状態に変化はなく依然として高温の状態が続いていた。Ａ火口及びＢ噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はなかった。火山性地震は少ない状態で、GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

１)赤外放射温度計による。赤外放射温度計は、物体が放射する赤外線を感知して温度を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。

　山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200ｍで推移した。今期間、火映は観測されなかった。
　13日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は１日あたり300〜600トンと、依然としてやや多い状態が続いている（前回6月14日300〜900トン／日）。
　火山性地震の回数は1日あたり8〜24回とやや少ない状態で経過した。火山性微動は３回観測された。傾斜計及びGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

　山頂火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上200〜300ｍで推移した。
　今期間は火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化はみられないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
　火山性地震の回数は１日あたり13〜45回とやや多い状態で経過した。火山性微動は観測されなかった。GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

　10日に海上自衛隊が上空から行った観測によると、福徳岡ノ場から東方へ長さ約１㎞にわたり火山活動によるとみられる緑色の変色水が確認された。付近に浮遊物は認められなかった。

　13日に行った現地観測によると、中岳第一火口の湯だまり^２） の量は10割（前回6月29日　約９割）、また、表面温度^１） は60℃（前回６月29日　59℃）であったが、この変化は降雨の影響によるものであり、中岳第一火口内の熱活動はやや活発な状態が続いていると推定される。
　火山性連続微動の振幅は小さい状態が続いている。孤立型微動および火山性地震の発生状況、噴煙活動、地殻変動等その他に特段の変化はなかった。

２）活動静穏期の中岳第一火口内には、地下水などを起源とする約50〜60℃の緑色のお湯がたまっており、これを湯だまりと呼んでいる。火山活動が活発化するにつれ、湯だまり温度の上昇や湯量の減少がみられ、その過程で湯だまり内で熱湯が沸き上がる噴湯現象や土砂を噴き上げる土砂噴出現象が起こり始めることが知られている。

　南岳山頂火口で９日にごく小規模な噴火が発生した。昭和火口では噴火は発生しなかった。
　火山性微動および火山性地震はやや多い状態が続いている。GPSなどによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

　硫黄岳山頂火口の噴煙活動は依然としてやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上200ｍで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。火山性微動は４回と少ない状態で経過した。

　火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いているが、今期間は少なかった。火山性微動は観測されず、監視カメラ（新岳の北西約４kmに設置）による観測では噴気等は認められなかった。

　時々噴火が発生するなど噴火活動は活発な状態にあるが、今期間、噴火は観測されなかった。火山性地震および火山性微動は少ない状態で経過している。

表１ 最近１か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル